第5回CICPEに世界ブランド集結 中国市場の「今」を読む
2025年4月に海南省で開かれた第5回中国国際消費品博覧会(CICPE)は、世界のブランドにとって中国市場がどれほど重要な舞台になっているかを改めて印象づけました。71の国と地域から過去最多となる4100以上のブランドが参加し、「消費財の展示会」を超えた国際ビジネスのハブとしての性格を強めています。
海南で開かれた「世界のショーケース」
今回の中国国際消費品博覧会は、4月13日から18日にかけて、南国ムード漂う海南省で開催されました。出展したのは71の国と地域から集まった4100超のブランド。日用品からファッション、高級品、さらには自動車やテクノロジーまで、多様な企業が中国の消費者との接点を求めて集結しました。
参加ブランドの多さは、国際企業が中国の巨大な消費市場と、その変化するビジネス環境に引き続き強い関心を持っていることを物語っています。
英国・スロバキア・日本…それぞれの狙い
英国は「グリーン」と「デジタル」で攻める
今年のゲスト国に選ばれたのは英国でした。ファッションやビューティーなどの分野から27社が参加し、バーバリーやベントレーといった旗艦ブランドが最新の製品やコンセプトを披露しました。ブースでは、環境負荷を抑えた素材や省エネ技術など、グリーンテクノロジーと持続可能な開発を前面に出した展示が目立ちました。
英国ビジネス・通商省のダグラス・アレクサンダー国務大臣は、中国経済ではデジタル技術、ライフサイエンス、グリーンエネルギーといった分野で近年めざましいイノベーションが起きていると述べています。こうした分野は双方にとって大きなビジネス機会であり、英国は中国との経済関係をいっそう深めていく考えを強調しました。
バーバリー大中華区プレジデントのジョシー・チャン氏も、CICPEの意義を強調します。各種の関係者と協力を深めることで、新たな市場機会を探り、相互の成長につなげていきたいと語りました。
スロバキアは初の国家パビリオン
スロバキアは今回、初めて国家パビリオンを設置し存在感を示しました。スロバキアブランド「Truscada」の最高経営責任者アンドレア・ヤンチェコバ氏は、CICPEが世界中の人々とつながることのできる場だと評価しました。
スロバキアのデニサ・サコヴァ副首相は、中国が欧州連合(EU)域外で最も重要な貿易相手の一つであると指摘します。増加を続ける貿易額は、両国の経済関係の力強さとダイナミズムを映し出していると述べ、今後の関係深化への期待をにじませました。
日本企業も「海南発」で中国市場を狙う
今回の博覧会には、日本からも新顔が登場しました。高級和牛で知られる江田畜産株式会社は、初参加ながら注目を集めました。同社の田中麗・最高執行責任者は、海南に対外貿易会社を設立し、そこを中国市場への戦略的な入口とする計画を明らかにしています。海南を足がかりに、より広い中国の消費者にプレミアムな食体験を届ける構想です。
若いラグジュアリー消費者が集まる市場
第5回CICPEでは、ラグジュアリーブランドの存在感も際立ちました。リシュモンのタイムピースセレクトショップ「TimeValle9e」が独立した出展者として初参加したほか、LVMHやケリンググループ傘下のブランドも相次いで姿を見せ、中国市場のプレミアム消費の成長性への期待を示しました。
ラグジュアリー旅行小売を手がけるDFSチャイナのナンシー・リウ総裁は、中国の高級品消費者は多くの海外市場と比べて年齢層が若いと指摘します。この「若い富裕層」は、ブランドストーリーや体験価値へのこだわりが強い世代でもあります。DFSは、こうした新しい消費者層の期待に応えるため、サービスや体験をきめ細かくカスタマイズしているといいます。
「売る場所」から「つくる場所」へ変わる中国の位置づけ
今回の博覧会で浮かび上がったのは、中国が単なる巨大な販売市場から、研究開発とイノベーションの拠点へと位置づけを変えつつあるという点です。自動車やテクノロジーなどの業界では、このシフトが特に顕著になっています。
AIと低空経済ゾーンが映す技術志向
第5回CICPEでは、人工知能(AI)と低空経済に特化した展示ゾーンが初めて設けられました。低空経済とは、ドローンや小型航空機など、地表から比較的低い高度を使った新しい産業分野を指します。世界各地のテック企業が参加し、最新のAIソリューションや低高度空域を活用した物流・観光サービスなど、次世代の消費と産業のかたちを示す技術が披露されました。
フォルクスワーゲンが示す投資の方向性
自動車大手フォルクスワーゲングループは、中国での長期的なコミットメントを数値で示しています。フォルクスワーゲン(中国)副総裁の蘇巴紅氏によると、同グループは2020年以降、中国に100億ユーロ(約113億ドル)以上を投資してきました。とりわけ2023年には、中国でドイツ国外最大となる研究開発センターを設立し、中国を世界的な技術イノベーションハブと位置づけています。
こうした動きは、中国市場を「製品の最終到着地」とみなす発想から、「新しい技術やサービスをともに生み出す場所」として捉え直す流れを象徴しています。
2025年の国際ビジネスにとっての意味
2025年も終盤に差し掛かるなか、第5回CICPEは、いくつかの重要なメッセージを投げかけています。
- 世界各地の企業が、中国の消費市場だけでなく、イノベーションやサステナビリティの分野でのパートナーシップを重視し始めていること。
- 英国やスロバキア、日本を含むさまざまな国が、それぞれの強みを生かしながら、中国との経済関係の質を高めようとしていること。
- ラグジュアリーからAI、低空経済まで、多様な分野で若い消費者と新しい技術が交差する場として、中国が存在感を増していること。
海南での数日間の博覧会は、単発のイベントにとどまりません。そこから生まれたネットワークや構想が、今後の投資や協業、ビジネスモデルの変化として、2026年以降の国際ビジネスの風景にじわりと影響していきそうです。
Reference(s):
The fifth CICPE highlights China's growing allure for global brands
cgtn.com







