三亜ヨットパビリオン初登場 中国国際消費品博覧会の新潮流
リード:三亜発のヨットパビリオンが示す「海の消費」の現在地
中国の国際ニュースとして注目される中国国際消費品博覧会で、海南省三亜市が初のヨット専用パビリオンを開設しました。約150隻のヨットが集結し、「海と消費」をめぐる中国の最新トレンドと、アジア太平洋のマリンレジャー市場の変化を映し出しています。
第5回中国国際消費品博覧会で「三亜国際ヨット展示会」がデビュー
最近開催された第5回中国国際消費品博覧会では、15日に海南省三亜市の三亜国際ヨットセンターを会場とする「三亜国際ヨット展示会」が新たに登場しました。博覧会としては初めての三亜会場であり、ヨット産業に特化したパビリオンとなっています。
この新パビリオンには、20以上の国と地域から62社が出展し、中国国内外のメーカーによる約150隻のヨットが展示されました。国際ニュースとしても、海洋レジャーを軸にした消費市場の広がりを象徴する出来事といえます。
テーマは「千艘のヨット、未来へ出航」
展示会のテーマは「千艘のヨット、未来へ出航」。会場全体の面積は16万6,800平方メートルに及び、そのおよそ9割が水上展示エリアとして使われました。三亜という海辺の都市の特性を生かし、実際の海上でヨットを見て体験できる構成になっています。
展示内容は次のように多層的です。
- 静態展示エリア:ヨットやボートの本体展示
- ヨット文化エリア:歴史やライフスタイルを紹介
- ライフスタイル展示:海辺の暮らしやマリンレジャー関連の提案
- ヨットをテーマにしたウェディング展示:写真撮影や式の演出例など
なかでも「ヨット+ウェディングフォト」「ヨット+ディープシーダイビング」といった実演は、ヨットを単なる移動手段ではなく、体験型の消費コンテンツとして位置づける試みです。ヨットや各種水上レジャーと、現代のライフスタイルを組み合わせた「Yacht+(ヨットプラス)」という発想が前面に出ています。
英国テーマ館:海洋文化と最新技術を融合
今回の博覧会では、ゲスト国として招かれた英国がヨットをテーマにした文化パビリオンを設置しました。英国の海洋文化や造船技術の歴史と、現代のライフスタイルとを組み合わせた展示が特徴です。
会場では、英国ブランドのヨットや精巧な模型、最新の海洋関連技術が紹介されました。また、世界一周レースとして知られる「ボルボ・オーシャンレース」や「クリッパー世界一周ヨットレース」を題材にしたインタラクティブな体験コーナーも用意され、来場者は英国のマリンスポーツ文化を体感できる内容となりました。
拡大する中国のヨット市場と政策支援
中国商務省市場運行・消費促進司の李剛司長は、中国のヨット市場が拡大し、消費シーンが多様化していると指摘しています。そのうえで、政府として各地域がヨット消費を促進する政策づくりを進めることを支援していく姿勢を示しました。
具体的には、次のような取り組みが挙げられています。
- 公共ヨットバース(係留施設)の整備
- 給油・補給などのサービスステーションの拡充
- 「ヨット+観光」「ヨット+スポーツ」など、新しい「Yacht+」商品の開発支援
こうした政策は、ヨットを一部の富裕層向けの贅沢品としてではなく、より幅広い人々が関わることのできるレジャー産業・サービス産業として育てていく方向性を示していると言えます。2025年の中国の消費戦略の流れの中で見ても、体験型・サービス型の消費を重視する動きと重なっています。
「千艘のヨットの街」三亜の戦略
三亜市にはすでに1,400隻を超えるヨットが登録されており、「千艘のヨットの街」としてのイメージが定着しつつあります。今回のヨットパビリオンは、そのブランドをさらに強化するものと位置づけられています。
三亜市党委員会の王斉陽書記は、三亜を次のような機能を備えた総合拠点へと発展させていく方針を示しています。
- ヨットの研究・設計・製造
- 展示会・見本市の開催
- 販売・レンタルなどの商業サービス
- 保守・メンテナンス体制の整備
- 観光や体験型プログラムなど、消費サービス全般
こうした機能を一体的に整えることで、三亜をアジア太平洋地域の代表的なヨットセンターとして位置づけることを目指しています。国際ニュースの視点から見ると、これは海洋観光とハイエンド消費を組み合わせた新たな地域競争の一形態とも言えます。
「三亜ヨット産業イニシアチブ」:開かれた産業エコシステムへ
イベントの締めくくりとして、「三亜ヨット産業イニシアチブ」が発表されました。このイニシアチブは、世界各地のヨット企業、業界団体、研究機関、行政機関などに向けた共同呼びかけです。
主な狙いは次の通りです。
- 国際的に開かれたヨット産業の協力枠組みをつくること
- 技術やサービスでのイノベーションを促すこと
- 海洋環境にも配慮した持続可能な産業エコシステムを構築すること
ヨット産業は船体製造だけでなく、観光、スポーツ、金融、保険、教育など、多くの分野と結びつく産業です。イニシアチブは、そうした広がりを前提に「海洋経済」全体に新たな原動力を与えることを目指しています。
読者への視点:この動きから何を読み取るか
今回の三亜ヨットパビリオンのデビューから、日本やアジアの読者が考えられるポイントを整理してみます。
- 消費の「体験化」がさらに進んでいること
ヨットを「見る」「持つ」から、「結婚式を挙げる」「ダイビングと組み合わせる」といった体験そのものへと価値が移りつつあります。 - 都市ブランディングとしての海洋レジャー
三亜は「千艘のヨットの街」という明確なコンセプトで、自らのポジションを打ち出しています。観光・MICE(会議・展示会)・スポーツなどを組み合わせた都市戦略としても注目できます。 - 海洋経済の国際協力の場としての可能性
「三亜ヨット産業イニシアチブ」は、企業だけでなく研究機関や行政も巻き込んだ枠組みづくりを掲げています。技術、環境、ルールづくりなどでどのような連携が進むのかは、今後のフォローが必要なテーマです。
ヨットという一見ニッチに見えるテーマの背後には、海洋、観光、消費のあり方をめぐる大きな変化があります。2025年の国際ニュースを読み解くうえで、三亜の動きはその一つの象徴的なケースとして位置づけられそうです。
Reference(s):
China International Consumer Products Expo Debuts Sanya Yacht Pavilion Featuring Over 150 Yachts
chinanews.com.cn








