中国経済ニュース:2025年Q1のGDPは5.4%増、内需とハイテクがけん引
2025年1〜3月期(第1四半期)の中国の国内総生産(GDP)が前年同期比5.4%増となり、市場予想を上回りました。設備・ハイテク製造とサービス、消費の回復が成長をけん引し、外部環境が不透明な中でも中国経済の底堅さを示す内容です。
2025年Q1、中国GDPは31.9兆元で5.4%成長
中国国家統計局(NBS)が水曜日に発表した2025年第1四半期のGDPは31.875兆元(約4.34兆ドル)でした。実質成長率は前年同期比5.4%増、前期比1.2%増となり、アナリスト予想を上回る結果です。
産業別にみると、一次産業(農林水産業)の付加価値は3.5%増、製造業などの二次産業は5.9%増、サービス中心の三次産業は5.3%増となりました。いずれの部門もプラス成長を維持しており、成長の裾野が比較的広いことが分かります。
また、「一定規模以上」の工業企業の付加価値は、第1四半期全体で前年同期比6.5%増、3月単月では7.7%増と伸びが加速しました。
ハイテク製造とサービスがけん引、農業も堅調
今回の中国経済統計で目を引くのが、ハイテク分野を含む製造業とサービス業の力強さです。
- 設備製造業の付加価値:前年同期比10.9%増
- ハイテク製造業:同9.7%増
- 情報通信・ソフトウエア・ITサービスなどの現代サービス業:同9.9%増
製造業では、設備投資や生産性向上に関わる分野が2桁成長を遂げており、産業の高度化が進んでいる様子がうかがえます。サービス業でも、デジタル関連の「現代サービス」が全体の成長を押し上げています。
農業分野も堅調で、作物栽培の付加価値は前年同期比4.0%増となりました。食料供給の安定は物価や生活コストの安定にもつながるため、マクロ経済の基盤として重要です。
消費・投資・貿易:内需の回復と外需の下支え
内需を示す消費や投資の指標も、総じて回復基調を示しました。
- 社会消費品小売総額(小売売上高):第1四半期は前年同期比4.6%増、3月単月は5.9%増
- 固定資産投資:全体として堅調に増加、高技術産業への投資は6.5%増
- 貨物の輸出入総額:1.3%増(うち輸出は6.9%増の6.13兆元)
- 住民1人当たり可処分所得:実質ベースで5.6%増
特に消費については、アナリストの多くが「予想以上に強い」と評価しています。消費補助金などの政策が個人消費を下支えしているとの見方も示されました。所得が実質ベースで着実に増加していることも、今後の消費の持続性にとってプラス要因といえます。
輸出は、世界経済や関税動向の不透明さが続く中でも6.9%増と堅調でした。高付加価値製品やハイテク関連の輸出が成長を支えているとみられます。
NBS「高品質な発展が進展」、イノベーションが成長ドライバーに
中国国家統計局の報告は、2025年の中国経済について「マクロ政策の支えにより、全体として持続的に改善し、高品質な発展で新たな進展を遂げている」と総括しました。複雑で厳しい外部環境の中でも、国内経済の基盤が強化され、イノベーション(技術革新)の役割が高まり、新たな成長エンジンが加速していると強調しています。
統計局の副局長である盛来運氏は、国務院新聞弁公室の会見で、米国による高関税について「短期的には中国経済や対外貿易に一定の圧力を与える可能性があるが、中国経済の長期的な成長トレンドを変えることはない」と述べました。その上で、「中国経済には安定した基礎、多くの優位性、強いレジリエンスと巨大な潜在力がある」と自信を示しました。
専門家の見方:力強い数字だが、関税リスクと政策対応に注目
民間エコノミストやストラテジストも、おおむね今回の中国GDP統計をポジティブに評価しつつ、米国の関税引き上げなどのリスクに警戒感を示しています。
ソシエテ・ジェネラルのアナリストは、リポートの中で「関税の嵐が本格化する前の段階で、中国のGDP成長率はやや減速したものの、国内需要の回復によって堅調さを保った」と指摘。そのうえで、「最も嬉しいサプライズは小売売上高であり、消費補助金が機能していることを示している」と評価しました。
シンガポールに拠点を置くSMBCのエコノミスト、阿部亮太氏はロイターに対し、「今回のデータを踏まえ、中国当局が今後、米国の関税の悪影響を和らげるために、内需を一段と下支えする追加の景気刺激策を打ち出すとみている」と述べています。
上海を拠点とするANZの中国担当ストラテジスト、邢肇鵬氏は「今回のデータは力強く、成長率は需給ギャップの縮小にも寄与しうる」と評価。「当局が預金準備率(RRR)を追加で引き下げなかったことも説明できる。外需と内需の双方が第1四半期に好調だった。物価の下押し圧力が続く中でも小売売上高は非常に強く、不動産を除く固定資産投資は、建機販売や稼働時間が2桁増となるなど、順調に回復している」と分析しました。
2025年の中国経済を考えるうえでの3つのポイント
今回の第1四半期GDPから、2025年の中国経済を読み解くためのポイントを3つに整理できます。
- バランスの取れた5.4%成長:一次・二次・三次産業がそろってプラス成長となり、製造業とサービス業がともに成長を支える構図が続いています。
- 内需と所得の底堅さ:小売売上高や1人当たり可処分所得が着実に伸びており、消費補助金などの政策が需要を後押ししていると考えられます。
- 外部リスクへの耐性と政策余地:米国の関税引き上げなど外部環境は厳しいものの、輸出はプラス成長を維持しています。市場では、今後も内需を下支えするための追加政策に注目が集まっています。
2025年を通じて、中国経済がどこまで内需とイノベーションを成長の軸として定着させ、外部リスクに対応していけるかは、日本を含むアジアの経済・市場を展望するうえでも重要な論点となります。第1四半期の「5.4%成長」は、その動きを読み解くための出発点と言えそうです。
Reference(s):
cgtn.com








