米ホワイトハウスの政策迷走で市場混乱 エコノミストが警鐘 video poster
米ホワイトハウスの急激な政策転換が、2025年の米国金融市場を揺さぶり、企業の経営計画や世界のサプライチェーンにまで影響を広げていると指摘する声が出ています。
ナティクシスの米国チーフエコノミスト、クリストファー・ホッジ氏は、金融専門メディアBNNブルームバーグのインタビューで、ホワイトハウスによる劇的な政策のUターンが相次ぎ、今後も続くとの観測が「米国の金融市場を混乱させ、企業の事業計画を不可能にし、消費者マインドを冷え込ませ、世界のサプライチェーンを乱している」と警鐘を鳴らしました。ホッジ氏は、今後の政権運営がトランプ政権1期目と似たパターンになるとの見方も示しています。
ホワイトハウスの「Uターン」はなぜ問題なのか
「政策のUターン」とは、一度示した方針を短期間のうちに大きく反転させることを指します。ホワイトハウスが経済や貿易、規制などの方向性を急に変えると、企業や投資家は将来を見通しにくくなります。
政策の中身そのものに賛否があるのは通常のことですが、今回ホッジ氏が危惧しているのは、「何が起きるか分からない」という不確実性そのものだと考えられます。予測不能な方針転換が続くと、市場や企業は次の3つの点で負担を抱えやすくなります。
- 将来のルールが読めず、長期の投資判断が難しくなる
- 一度決めた計画を、たびたび作り直さなければならない
- 政府発表そのものへの信頼が揺らぎ、ニュースに過敏に反応しやすくなる
市場・企業・消費者への3つの影響
1. 金融市場の混乱
ホッジ氏によれば、こうした政策の急転換は、すでに米国の金融市場を混乱状態に追い込んでいます。市場関係者は、経済の実態だけでなく、ホワイトハウスの次の一手を常に気にせざるをえません。
方針が読めない状況では、株式や債券、為替などの価格が、政策関連の発言ひとつで大きく動きやすくなります。その結果、市場参加者はリスクを取りづらくなり、資金が安全資産に逃げる動きも起きやすくなります。
2. 企業が「計画不能」に
ホッジ氏は「企業の事業計画を不可能にしている」とまで指摘しています。企業は通常、数年先を見据えて投資や採用、研究開発、調達や販売の戦略を組み立てます。
しかし、関税や規制、補助金などに関わる方針が頻繁に変わると、
- どの国・地域に生産や調達を置くべきか
- どの市場に重点的に投資すべきか
- どの程度のリスクを前提に資金計画を立てるべきか
といった基本的な判断が難しくなります。結果として、企業は慎重姿勢を強め、新規投資や採用を先送りする動きが出やすくなります。
3. 消費者心理と世界のサプライチェーン
ホッジ氏は、政策の迷走が「消費者マインドを冷え込ませている」とも述べています。物価や雇用、将来の景気に対する不安が高まると、家計は支出を抑えるようになります。これが広がると、企業の売上が伸び悩み、さらに投資や雇用が抑制されるという悪循環につながりかねません。
また、ホッジ氏は、影響が米国内にとどまらず「世界のサプライチェーンを乱している」と警告します。現代のサプライチェーンは、多くの国と地域の企業が複雑に結びついて成り立っています。米国の政策をめぐる不確実性が高まれば、部品や製品の流れに遅れや混乱が生じ、他地域の企業にも波及する可能性があります。
「トランプ政権1期目と似たパターン」との指摘
ホッジ氏は、今後のホワイトハウスの運営がトランプ政権1期目と似たパターンになるとの見通しを示しました。この発言は、市場参加者や企業が「過去の経験」を重ね合わせて、同様のリスクを意識し始めるきっかけになり得ます。
重要なのは、特定の政策に賛成か反対かという以前に、「予測可能で一貫した運営が行われるのかどうか」です。同じ内容の政策でも、
- 事前にどれだけ丁寧な説明があるか
- どの程度、急な方向転換を避ける姿勢が見えるか
- 企業や市場の反応にどう向き合うか
といった点によって、市場の受け止め方は大きく変わってきます。
日本やアジアの読者が押さえておきたい視点
米国の金融市場の動きやサプライチェーンの混乱は、日本やアジアを含む多くの国と地域に間接的な影響を与えうるテーマです。とくに、グローバルに事業を展開する企業や、海外資産を持つ投資家にとって、米国政策の不確実性は無視できません。
- 短期的なニュースの善し悪しだけでなく、「政策運営の一貫性」という軸で米国をウォッチする
- 企業で働く人は、自社の調達・販売網がどれだけ特定の国や地域に依存しているかを見直す
- 個人としては、感情的な市場の動きに振り回されず、リスク分散など基本的な考え方を再確認する
まとめ:不確実性そのものが最大のリスク
今回のホッジ氏の発言は、特定の政策の是非を超えて、「ルールがいつ変わるか分からない」という不確実性が、どれほど広範囲に影響を及ぼすかを示しています。
ホワイトハウスの政策Uターンが続く限り、米国の金融市場だけでなく、企業の投資判断、消費者の心理、そして世界のサプライチェーンにまで緊張感が続く可能性があります。ニュースを追う私たちにとっても、個別の出来事を点ではなく、「不確実性」という線でとらえる視点がより重要になっていきそうです。
Reference(s):
Economist: Chaotic US policies making it impossible for businesses
cgtn.com








