第5回CICPEで意向契約920億元 中国の消費市場はどこへ向かう?
2025年に中国・海南省で開かれた第5回中国国際消費品博覧会(CICPE)で、意向ベースの協力契約額が920億元(約126億ドル)に達しました。拡大する中国の消費市場と、世界のブランドにとってのビジネスチャンスを読み解きます。
第5回CICPE、規模も意向契約額も過去最大級
第5回CICPEには、71カ国・地域から過去最多となる1,767社、4,209の消費ブランドが参加しました。記者会見によると、グローバルブランドや電子商取引(EC)、国・地域別のサプライヤーに焦点を当てたイベントを通じて、計52件の協力意向がまとめられ、その金額は約920億元に上りました。
説明したのは、海南省国際経済発展局のチーフエコノミストである曾栄(Zeng Rong)氏です。プロのバイヤーも6万人以上が参加し、前年から10%増加しました。ビジネス志向の来場者が増えていることは、同博覧会が単なる展示の場から、具体的な商談・契約の場へと進化していることを示しています。
世界のブランドが集う「ショーケース」 英国は出展規模を倍増
今回のCICPEは、参加国・地域の多様さも特徴的でした。スロバキア、シンガポール、ブラジル、アルメニア、カザフスタンなどが、自国の魅力を紹介するナショナルパビリオンを初めて設置しました。
今年のゲスト国(ホスト国に招かれる「主賓国」)となったのは英国です。英国はファッション、美容、生活雑貨、健康関連、ジュエリーなど53ブランドを出展し、1,300平方メートル超のエリアを展開しました。この規模は、2024年の出展面積の2倍にあたります。中国市場への関心が欧州の主要ブランドにも広がっていることがうかがえます。
国内消費拡大を支える政策 「ショッピング・イン・チャイナ」キャンペーン
博覧会に合わせて、中国商務部は国内消費を喚起する「ショッピング・イン・チャイナ」キャンペーンを始動しました。同時に、対外貿易企業と国内バイヤーの協力を促進する専用展示エリアも設けられています。
CICPEは、2020年の海南自由貿易港マスタープランと連動して立ち上がったイベントです。海南島を世界的な観光・消費拠点へと変貌させる構想の一部であり、今回の第5回もその方向性を強く打ち出しました。外資企業にとっては、中国の消費トレンドを現場でつかみつつ、国内の販売ネットワークと直接つながることができる場になっています。
データで読み解く中国消費市場の変化
中国のシンクタンクである中国改革発展研究院の匡賢明(Kuang Xianming)副院長はインタビューで、「国内消費の拡大は、高品質な発展の鍵であり、世界経済の不確実性が増す中での戦略的な選択だ」と語っています。
匡氏によると、中国の消費市場は「規模の拡大」と「構造変化」が同時に進んでいます。2024年の1人当たり消費支出は2万8,000元(約3,830ドル)を超え、前年比5.1%増加しました。社会全体の小売売上高は48.8兆元に達しており、消費が経済成長の重要なエンジンとなっていることが数字にも表れています。
サービス消費が主役に? 2030年への見通し
特に注目されているのがサービス分野の伸びです。匡氏は、サービス消費が今後急速に拡大し、2030年までに中国の総消費の50%を超えるとの見通しを示しました。これは、中国経済がモノ中心からサービス中心へと軸足を移していくことを意味します。
旅行、エンターテインメント、医療・健康、教育、デジタルサービスなど、サービス関連の分野では、新しいビジネスモデルや体験型のサービスが次々と生まれています。CICPEのような場で、各国の企業がこうした需要にどう応えていくかが、今後の焦点となりそうです。
日本企業・アジア企業にとってのチャンス
サービス消費の拡大は、日本を含むアジアの企業にとっても重要なテーマです。生活の質向上や健康志向、体験重視の消費は、日本企業が得意とする領域とも重なります。
- 観光・ホスピタリティ:海南は観光・リゾート拠点として位置づけられており、旅行体験やサービスの高度化が求められています。
- ビューティー・ヘルスケア:美容や健康関連ブランドは、質と信頼性を重視する中国の消費者からの期待が高まっています。
- ライフスタイル・ホーム用品:デザイン性と機能性を兼ね備えた商品へのニーズは引き続き強いとみられます。
CICPEは、こうした分野で中国市場の反応を試し、パートナー候補と直接コンタクトを取ることができる「実験場」として機能しつつあります。
すでに動き出した第6回CICPE これから何を見るべきか
第5回の終了を待たず、すでに第6回CICPEに向けた準備も進んでいます。次回の博覧会には、すでに数百社が登録または参加の意向を示しているとされ、国際的な関心の高さがうかがえます。
今後、注目したいポイントは次のとおりです。
- 参加国・地域の広がり:新たにどの国・地域がナショナルパビリオンを設けるのか。
- サービス関連展示の拡大:観光、デジタルサービス、医療・健康などサービス分野の比重がどこまで高まるか。
- 国内消費政策との連動:キャンペーンや税制・規制改革と博覧会がどう連携していくか。
中国の消費市場は、規模だけでなく質の面でも変化の途上にあります。第5回CICPEが示したのは、「開かれた消費大国」としての姿と、サービス主導型経済への静かなシフトでした。来年以降の動きを追うことで、アジアと世界経済の行方を読み解くヒントが見えてきそうです。
Reference(s):
cgtn.com








