中国、サービス業の対外開放を拡大 保護主義に対抗へ
中国がサービス業の対外開放を一段と進めます。中国政府は今週月曜日の記者会見で、サービス業への海外投資を受け入れるパイロット(試行)事業を拡大し、世界的な一国主義や保護主義の高まりに対抗しながら、経済の安定を図る方針を示しました。
サービス業開放パイロットとは
中国国務院の担当者によると、中国は2015年以来、サービス業の対外開放を試行する地域として11の省・市を指定してきました。これらの地域では、市場参入規制の緩和や、ルール・基準・監督の在り方を含む制度面での開放が段階的に進められてきました。
今回、新たに大連や寧波など9つの都市がこのパイロットに加わることで、サービス業を通じた対外開放の裾野がさらに広がることになります。
155の試行タスク 通信から医療・観光まで
発表された政府計画には、通信、金融、医療、文化、観光といった分野で合計155のパイロットタスク(試行項目)が盛り込まれています。日常生活やビジネスに直結する領域が多く含まれている点が特徴です。
具体的には、例えば次のような取り組みが示されています。
- モバイルアプリストア事業における海外資本比率の上限を撤廃し、外資系企業の参入を広げる
- 海外の医師が中国国内で診療所を開設できるようにし、医療サービスの選択肢を増やす
- 海外資本が出資する旅行会社に、中国発の海外旅行商品を取り扱うことを認める
これにより、中国国内の利用者にとってはサービスの選択肢や質の向上が期待される一方、海外企業にとってはデジタルサービス、医療、観光といった成長分野への新たな参入機会が広がるとみられます。
保護主義の高まりと「開放」で対抗
中国商務部の凌激副部長は会見で、米国が最近発動した「相互主義」を掲げる新たな関税措置が、多国間の貿易体制やサプライチェーンに混乱をもたらしていると指摘しました。そのうえで、中国は世界的な貿易の分断が進む中でも、サービス業を含む分野での対外開放を加速させる方針を強調しました。
こうした動きの背景には、一国主義や保護主義の台頭という国際環境の変化があります。中国側は、開放拡大と制度改革を通じて、海外からの投資導入と国内産業の高度化を同時に進めることで、経済の安定と国際協調の両立を図ろうとしているといえます。
日本企業にとっての意味
日本企業にとっても、サービス業の構造改革と対外開放の動きは注目すべき内容です。具体的な制度設計や細則は今後明らかになりますが、発表内容からは次のようなポイントが読み取れます。
- デジタル分野では、アプリストアの外資規制緩和により、ゲーム、教育、フィンテックなど日本企業のサービス展開に新たな余地が生まれる可能性がある
- 医療・ヘルスケア分野では、海外の医師による診療所開設が認められることで、高度医療や予防医療、高齢者向けサービスなどと組み合わせた協力の可能性が広がる
- 観光・エンタメ分野では、海外資本の旅行会社が中国発の海外旅行を扱えるようになることで、日本向け旅行商品の企画・販売を含めたビジネスモデル拡大の可能性がある
もっとも、実際のビジネス展開には、各地域の試行内容や認可手続き、データや医療に関わる規制といった要素を丁寧に見極める必要があります。パイロットだからこそ、地域ごとの差異やスピード感が生じることも想定されます。
これから注視したいポイント
今回のサービス業開放パイロット拡大は、中国経済の安定と国際貿易秩序をめぐる動きが交差するテーマです。今後、次のような点が注目されます。
- 11の省・市に加えた9都市で、155の試行項目がどこまで具体的な制度として定着するか
- サービス業の対外開放が、他の国・地域との貿易摩擦や関税措置にどのような影響を与えるか
- デジタル、医療、観光といった分野で、利用者や企業にどのような新サービスやビジネスモデルが現れるか
保護主義の流れが強まる中で、中国があえてサービス業の開放を打ち出したことは、国際経済の行方を考えるうえで一つの重要なシグナルといえます。日本からも、制度の具体化と現場での変化を丁寧に追いかけていく必要がありそうです。
Reference(s):
China further opens up service sector to counter global protectionism
cgtn.com








