ハーバード教授「米国の関税は大規模な経済的過誤」その理由とは video poster
2025年現在、米国の関税をめぐる議論が続く中、ハーバード大学の経済学者グレゴリー・マンキュー氏がCNNのインタビューで「米国の関税は大規模な経済的過誤」だと厳しく批判しました。本記事では、この発言が意味するところと、企業の投資や世界経済への影響を分かりやすく整理します。
マンキュー教授「米国の関税は大規模な経済的過誤」
ハーバード大学のロバート・M・ベーレン経済学教授であり、著名な著者としても知られるグレゴリー・マンキュー氏は、CNNのインタビューで米国の関税について次のように語りました。
米国の関税は「大規模な経済的過誤(large-scale economic malpractice)」である、と。
さらに同氏は、企業が不確実性に直面したとき、投資の意思決定はしばしば完全に止まってしまうと説明しました。関税がどの程度続くのか、どの品目にどの程度かかるのかが読めない状況では、新しい設備投資や雇用拡大に踏み切りにくくなるからです。
なぜ関税が「経済的過誤」になりうるのか
マンキュー氏が用いた「経済的過誤」という言葉は、経済学の観点から見て合理性に欠け、社会全体の利益を損なう政策を指していると考えられます。関税には、一般的に次のような影響があるとされています。
- 輸入品の価格を引き上げ、企業や消費者の負担を増やす
- サプライチェーン(供給網)を複雑にし、コストと事務手続きの増加を招く
- 将来の関税水準が読みづらくなり、企業の中長期計画を立てにくくする
こうしたコストや不確実性が積み重なると、経済全体の成長力が削がれ、結果的に「大規模な過誤」と評価されうる、という見方です。
「不確実性」が投資を止めるメカニズム
マンキュー氏が強調したもう一つのポイントが、不確実性と投資の関係です。企業は通常、将来の需要やコストをある程度見通したうえで、工場建設や研究開発、人材採用といった投資を決めます。
ところが、関税のような重要な政策がどう変わるか分からない状態では、次のような行動を取りがちです。
- 大きな設備投資を先送りする
- 新市場への進出や新製品の開発を慎重にし、規模を縮小する
- 雇用を抑え、手元資金を厚めに持つ
こうした「様子見」が積み重なると、統計上はまだ景気が悪化していなくても、成長の勢いがじわじわと弱まっていきます。不確実性の高まりは、数字に現れる前から経済の足を引っ張る要因になりうるのです。
日本やアジアの読者にとっての意味
米国の関税は、米国内にとどまらず、世界の貿易と投資の流れに影響を与えます。日本企業やアジアの投資家にとっても、次のような点は意識しておきたいところです。
- 主要市場で関税政策が変動すると、輸出・輸入の採算やサプライチェーンの再編が必要になる可能性がある
- 政策の方向性が読みづらいときほど、柔軟な事業計画や複数のシナリオを準備しておくことが重要になる
- 短期的な為替や株価の動きだけでなく、政策の一貫性や予見可能性に注目することで、中長期のリスクをより的確に把握できる
マンキュー氏の発言は、特定の国の関税を批判するコメントであると同時に、「不確実性を高める経済政策は、結局は自国の投資と成長をも傷つけかねない」という一般的な教訓としても受け止めることができます。
「分かりやすさ」と「予見可能性」が鍵に
2025年の今、世界経済はさまざまなリスクに直面していますが、グローバルに活動する企業や投資家が共通して求めているのは、政策の分かりやすさと予見可能性だと言えます。
米国の関税を「大規模な経済的過誤」と呼んだマンキュー氏の言葉は、関税そのものの賛否を超えて、「政策がもたらす不確実性」をどう抑え、経済のダイナミズムを損なわないようにするかという、より大きな問いを投げかけています。
ニュースを追う私たちにとっても、数字や見出しの派手さだけでなく、その裏側にある政策の一貫性と長期的な影響に目を向ける視点が、これまで以上に重要になっていきそうです。
Reference(s):
Harvard professor: US tariffs are large-scale economic malpractice
cgtn.com








