中国への外国投資、減速の中で見えた底堅さ 2025年Q1データを読み解く
リード:不透明な世界経済のなかで、中国への外国投資はどこへ向かうのか
世界経済の先行きが読みにくいなかでも、2025年の中国には依然として多くの海外企業が投資機会を見いだしています。2025年第1四半期(1〜3月)の最新データからは、「減速の中での底固さ」と「分野のシフト」が同時に見えてきます。
2025年Q1の数字が示すもの:企業数は増加、投資額は調整局面
中国商務省によると、2025年第1四半期に新たに設立された外資系企業は1万2,603社で、前年同期比4.3%増となりました。世界的な不確実性が高まるなかでも、新しく中国市場に参入する企業が増えていることになります。
一方で、対内直接投資(FDI)の流入額は2,692.3億元(約372億ドル)と、金額ベースでは減少しました。ただし減少ペースは鈍化しており、3月単月ではFDIが前年同月比13.2%増と、力強い持ち直しを見せています。
中国メディアグループ(CMG)の報道によれば、アナリストたちは全体としてのFDI減少について、地政学的な緊張の高まりや、米国による中国製品への関税引き上げといった外部要因の影響を指摘しています。そのうえで、3月の回復は「中国市場の長期的なポテンシャルに対する投資家の信認が依然として強い」ことを示すものだと見ています。
高成長分野にシフト:EC、バイオ医薬、航空宇宙
2025年のFDIの特徴として、投資先の分野がよりハイテクやイノベーション重視の領域にシフトしていることがあります。
- 電子商取引(EC)サービスへの投資は前年同期比100.5%増
- バイオ医薬関連は63.8%増
- 航空宇宙装備分野は42.5%増
いずれも、高付加価値で技術集約的な分野です。中国政府が掲げる産業高度化やデジタル経済の拡大方針と、海外企業の関心が重なりつつある様子が読み取れます。
投資元の多様化:ASEANや欧州からの存在感
投資の出し手も多様化しています。データによると、
- ASEAN(東南アジア諸国連合)からの投資は前年同期比56.2%増
- EU(欧州連合)からの流入は11.7%増
- スイスと英国からの投資は、自由港経由分を含めて60%超の伸び
特定の地域に依存せず、アジアと欧州の両方から資金が流入している構図がうかがえます。長期的なサプライチェーン戦略の見直しが進むなかで、中国市場をどう位置付けるかは、各国・各企業にとって引き続き重要なテーマになりそうです。
海外企業が見る「中国市場の魅力」
南中国米国商会(American Chamber of Commerce in South China)の調査では、回答した外国企業の58%が、中国を世界全体で「最重要の投資先トップ3」の一つと位置付けているとされています。景気の波や政策環境の変化があるなかでも、中国市場を中長期の戦略拠点と見ている企業が少なくないことが分かります。
実際に、サノフィ、アストラゼネカ、ヴァレオといった多国籍企業は、中国で研究開発(R&D)拠点やイノベーションハブを拡充しています。CMGの報道によると、こうした企業は、中国の安定した政策環境、高い投資収益率、そして活発なイノベーションの土壌を重視しているといいます。
政策対応:サービス分野のさらなる開放と規制緩和
海外からの関心に応える形で、中国はサービス分野を中心に市場開放を進めています。
報道によれば、シーメンスなどのグローバル企業が、すでに電気通信分野の試験的な事業に参加する承認を得ています。これは、従来は参入障壁が高かった分野での開放が進みつつあることを示します。
また、商務省は医療、観光、越境EC(越境電子商取引)などの分野で、合計155項目におよぶ新たな開放措置を導入しました。あわせて、外国企業の参入を制限する項目をまとめた「全国ネガティブリスト」は29項目まで削減され、ルールの明確化とアクセスのしやすさ向上が図られています。
2025年の終盤に考えたいこと:日本企業への示唆
この記事を書いている2025年12月時点で、世界経済の不確実性は依然として続いています。そのなかで、今年第1四半期のデータは、次のようなポイントを示していると言えそうです。
- 投資額は調整局面にある一方、新規参入企業数は増加している
- ハイテクやデジタル関連など、成長分野への資金シフトが進んでいる
- 投資元はASEANや欧州などへと多様化している
日本企業や日本の投資家にとっても、中国市場との向き合い方をアップデートするタイミングに来ているのかもしれません。単に「投資額の多寡」だけを見るのではなく、
- どの分野で、どの国・地域の企業が動いているのか
- 自社の強みは、どの成長分野と接続しうるのか
- 現地での研究開発やイノベーション拠点をどう位置付けるのか
といった視点から、改めて戦略を組み立てる必要があるでしょう。
国際ニュースとしての数字の変化を追うだけでなく、その背後にある産業構造やビジネスモデルの変化を読み解くことが、これからのアジア経済を考えるうえでのヒントになりそうです。
Reference(s):
China sees strong foreign investment growth despite global uncertainty
cgtn.com








