中国、米国の関税乱用を批判 市場開放と自由貿易の継続を強調
中国が、米国政府による関税の「乱用」を国際会合の場で強く批判しつつ、自国市場のさらなる開放と自由貿易、そして多国間主義の維持を改めて打ち出しました。世界経済の不透明感が増す中、この発言は何を意味するのでしょうか。
ワシントンの国際会合で中国が懸念を表明
ワシントンD.C.で開かれた第51回国際通貨金融委員会(IMFC)の会合では、各国・地域の財務・金融当局が世界経済の先行きを議論しました。その場で、中国人民銀行(中央銀行)の潘功勝(パン・ゴンション)総裁は、米国の無差別な関税政策が世界経済の長期的な安定と成長を深刻に損なっていると指摘しました。
潘総裁によれば、こうした関税措置は世界の金融市場に大きな変動を引き起こし、全体としての金融システムの安定を脅かしているほか、新興国や途上国にとっては特に大きな負担となっているといいます。
米国の関税「乱用」は何をもたらすのか
関税とは、輸入品に課される税金であり、本来は産業保護や財政収入などを目的に使われます。しかし、中国側は、現在の米国の関税運用はその範囲を超え、「乱用」とも言える段階に達していると批判しています。
潘総裁が指摘した影響は、大きく次の三点に整理できます。
- 世界経済の長期的な成長と安定を損なう
- 世界の金融市場に顕著なボラティリティ(価格変動)を生む
- 新興国・途上国にとって深刻な課題をもたらす
特に、新興国や途上国は、輸出に依存する度合いが高く、資本流出や通貨安のリスクを抱えやすいため、貿易摩擦や金融市場の揺らぎの影響を受けやすい構造にあります。関税が拡大し、不確実性が高まるほど、投資や雇用、財政運営への圧力は強まりやすくなります。
「さらなる開放」を掲げる中国のメッセージ
一方で、中国は国際社会に対し、自国の市場を一層開放し、自由貿易と多国間主義を支持し続ける方針を改めて示しました。
具体的には、次のような方向性が強調されています。
- 海外企業を含むあらゆる主体に対する市場アクセス(参入機会)の拡大
- 世界貿易機関(WTO)など、多国間の枠組みに基づく自由貿易ルールの尊賛
- 為替や金融の安定を重視したマクロ経済運営
米国の関税政策を批判する一方で、自らは開放を進めると表明することで、中国は、自由貿易や多国間協調を重視する姿勢を国際社会に示していると見ることができます。
日本とアジアの読者にとっての意味
日本を含むアジアの経済は、貿易と投資に強く依存しており、米中両国の政策の変化は、為替レートや株価、企業のサプライチェーン(供給網)に直接影響します。
中国が市場開放と多国間主義を掲げ続けるのか、米国の関税政策がどこまで続くのかによって、アジアの貿易構造や企業戦略は変わり得ます。中国の発言は、単なる米国批判にとどまらず、今後の国際経済秩序をめぐる方向性を示すシグナルとして受け止めることもできます。
これから注視したいポイント
今回の発言を踏まえ、今後の国際ニュースでは次の点に注目すると、動きが追いやすくなります。
- 米国の関税政策に関する今後の動向と、各国の反応
- 中国による市場アクセス拡大策や制度改革の具体化
- IMFやWTOなど、多国間機関での議論の行方
- 新興国・途上国の金融市場に現れる資本流出や通貨変動の兆し
関税や金融政策は、一見すると遠い専門的なテーマに見えますが、最終的には企業の投資判断や雇用、物価を通じて、私たちの日常生活にも波及します。米中の動きと、それに対する各国・地域の対応を丁寧に追うことが、これからの世界経済を理解するうえで重要になりそうです。
Reference(s):
cgtn.com








