アジア経済の未来を形づくるイノベーションとシルバーエコノミー video poster
世界経済の先行きが不透明さを増す中、アジア経済の行方を左右するキーワードとして、アジア域内の経済協調、医療分野への人工知能(AI)の統合、そして高齢化を前提としたシルバーエコノミーが浮かび上がっています。
番組BizTalkでは、パキスタンの財務・歳入相ムハンマド・アウランゼブ氏、アストラゼネカ最高経営責任者(CEO)のパスカル・ソリオ氏、プルデンシャルCEOのアニル・ワドワニ氏が出演し、これらのトレンドがアジア経済の未来をどのように形づくるのかを議論しました。本記事では、その論点を手がかりに、2025年現在のアジア経済を考えます。
アジア経済協調というキーワード
世界的な不確実性が高まる中で、アジア諸国の経済協調は、成長を維持するための重要なテーマとなっています。アジア経済が安定して成長するためには、貿易、投資、インフラ、金融などの分野での連携が欠かせません。
パキスタンの財務・歳入相ムハンマド・アウランゼブ氏は、こうしたアジア域内協調の重要性に注目し、経済の土台を強くするための協力関係が必要だと強調しました。各国が単独でリスクに向き合うのではなく、地域としてのネットワークを活かすことが、今後のアジア経済を支えるポイントといえます。
アジア経済協調の具体的な方向性としては、例えば次のような動きが考えられます。
- サプライチェーン(供給網)の多様化と共有
- インフラ整備やデジタル化での共同プロジェクト
- 金融システムの連携強化や資本市場の整備
日本にとっても、アジア各国との協調は、輸出入や投資だけでなく、人材や技術の交流を通じて競争力を維持する鍵となります。
医療現場に広がるAI:アジア発のヘルスケアイノベーション
2つ目のテーマは、人工知能(AI)のヘルスケア分野への統合です。医療とテクノロジーを組み合わせる動きは世界的に広がっていますが、アジアは人口規模の大きさとデジタル技術の普及を背景に、重要な役割を担いつつあります。
アストラゼネカCEOのパスカル・ソリオ氏は、AIやデータを活用した医療イノベーションの可能性に注目し、アジアでのパートナーシップを通じた新たなヘルスケアモデルの構築を見据えています。
AIが医療にもたらす主なインパクトとして、次のような点が挙げられます。
- 画像診断や検査結果の解析を支援し、診断の精度とスピードを高める
- 電子カルテや医療データを分析し、患者一人ひとりに合った治療を提案する
- 遠隔診療を補完し、医師不足地域や高齢者へのアクセスを改善する
日本も含め、アジア各地で医療需要が増える中、AIの活用は医療現場の負担を軽減しつつ、質の高いケアを提供するための現実的な選択肢となりつつあります。ただし、データの扱い方やプライバシーの保護など、慎重なルール作りと社会的な合意形成も同時に求められます。
シルバーエコノミー:高齢化を「市場の成長」に変える発想
3つ目のテーマは、シルバーエコノミーです。シルバーエコノミーとは、高齢化の進展に伴い、生まれてくる商品・サービス・産業全体を指す概念です。アジアでは高齢化が確実に進んでおり、その波は日本だけでなく、他の国や地域にも広がっています。
プルデンシャルCEOのアニル・ワドワニ氏は、こうしたシルバーエコノミーの広がりに注目し、保険や資産運用、医療・介護サービスなど、高齢期の生活を支える仕組みが今後の成長分野になると見ています。
シルバーエコノミーの広がりは、次のような形でアジア経済の未来に影響を与えます。
- 医療・介護だけでなく、住まい、モビリティ、教育などの新しいサービス市場が生まれる
- 長寿化に対応した保険・年金・資産形成のニーズが高まり、金融サービスの役割が拡大する
- 高齢者と若い世代が共に働くための職場環境や、人材活用のあり方が変わる
日本はすでに高齢化社会の先行事例として、多くの試行錯誤を経験してきました。この経験をアジアと共有し、シルバーエコノミーを新たな成長機会へとつなげていけるかが問われています。
日本とアジアにとっての示唆
今回取り上げられた三つのテーマは、バラバラの話ではなく、互いにつながっています。アジアの経済協調が進めば、AI医療やシルバーエコノミーに関する技術やノウハウも、国境を越えて共有しやすくなります。また、高齢化社会で求められる医療・介護サービスの質を高めるためにも、AIなどのテクノロジー活用は重要です。
日本にとっては、次のような観点が特に重要になりそうです。
- アジアとの連携を前提に、自国の医療・介護や高齢者向けサービスを再設計する
- AI医療やデジタルヘルス分野で、スタートアップと大企業、大学や医療機関の連携を強化する
- シルバーエコノミーを「コスト」ではなく「投資」と捉え、長期的な成長戦略に組み込む
アジア経済の未来は、単に成長率の数字だけでは測れません。人々の健康、安心して暮らせる社会、そして持続可能な経済構造をどう実現するかが、これからの重要な物差しになります。
これからのアジア経済を見る3つの視点
今回の議論から、アジア経済のニュースや政策を見るときに押さえておきたい視点を整理すると、次の三つになります。
- 地域協調の視点:個々の国の動きだけでなく、アジア全体としての連携や枠組みに注目する
- テクノロジーの視点:AIやデジタル技術が、医療や金融など既存分野をどう変えているかを見る
- 高齢化の視点:シルバーエコノミーを、社会課題であると同時に新たな市場機会として捉える
こうした視点を持つことで、日々の国際ニュースやアジア経済の動きを、単なる出来事としてではなく、自分の生活やキャリア、投資判断とも結びつけて考えることができます。読者一人ひとりが、自分なりの問いを持ちながらニュースを追うことこそが、これからの情報との付き合い方といえるのではないでしょうか。
Reference(s):
cgtn.com








