米国観光、2025年に640億ドル損失予測 訪問客減少が鮮明に
米国の観光産業が、2025年に最大640億ドルの損失に直面する可能性が指摘されています。国際訪問客の減少が鮮明になるなか、主力市場であるカナダとメキシコも陰りが見え始めており、世界の旅行需要の変化を読み解くうえで重要なニュースです。
米国への訪問者数、2月は2%減・3月は12%減
米国商務省の国際貿易局(International Trade Administration)によると、カナダとメキシコを除く国際訪問客数は今年2月に前年同月比2%減、3月には12%減と、減少幅が一気に拡大しました。
減少の対象となっているのは、欧州やアジアなどを含む「その他の海外市場」です。特に3月の2桁減は、米国へのインバウンド需要が急速に冷え込んでいることを示唆しています。
カナダとメキシコ、主力市場にも減速の兆し
一方で、カナダとメキシコは依然として米国にとって最大級の観光市場です。カナダからの旅行者は、米国を訪れる外国人全体のおよそ4分の1を占めています。
第2の市場であるメキシコからの航空便による到着者数は、今年3月に前年同月比23%減となりました。主力市場の一つでこれだけ大きな落ち込みが出ていることは、米国の観光産業にとって無視できないシグナルです。
観光経済レポートが示す640億ドル損失予測
こうした需要の弱さは、民間の予測にも反映されています。観光分野の調査会社 Tourism Economics(Oxford Economics の一部門)は、2月27日に公表した新たな報告書で、2025年の米国観光産業が最大640億ドルの損失に直面する可能性があると予測しました。
この報告書は、訪問客数の見通しを大きく下方修正しています。以前の予測では2025年の訪問客数は8.8%増と見込まれていましたが、新たな見通しでは逆に5.1%減とされています。増加予測から一転してマイナス成長に転じた形で、その差は約14ポイントに達します。
観光消費がこれだけ減少すれば、宿泊、飲食、交通、小売りなど幅広い業種への波及が避けられません。地方都市や観光地の雇用にも影響するおそれがあります。
日本の旅行者・企業にとっての意味
米国への旅行を検討している日本の個人や企業にとっても、この動きは無関係ではありません。訪問客数が減る局面では、航空会社やホテルが需要喚起のために価格戦略を見直す可能性があります。一方で、採算の合わない路線の削減などが進めば、選べる便が減るリスクもあります。
また、米国のインバウンド市場が弱含む場合、旅行会社やオンライン予約サイトの米国関連商品やキャンペーンの内容にも変化が出るかもしれません。ビジネス渡航にとっても、渡航コストや現地サービスの提供状況をこまめにチェックする必要がありそうです。
これから何に注目するか
2025年も残りわずかとなるなか、米国観光の動向を見極めるためには、次のようなポイントに注目していくことが重要です。
- 今後打ち出される可能性のある観光振興策やビザ・入国手続きの運用
- 航空会社による米国路線の増減や運賃の傾向
- 主要な送客国・地域ごとの訪問者数の推移
- 2025年の最終的な観光収支や、2026年以降の新たな需要予測
今年2〜3月時点のデータと2月末の予測だけでも、米国のインバウンド観光が想定より厳しい局面にあることははっきりしつつあります。グローバルな旅行需要が大きく揺れる時代に、数字の変化の裏側にある構造的な変化を意識的に追いかけることで、世界と自分との距離感を考え直すきっかけにもなりそうです。
Reference(s):
cgtn.com








