中国、出国時の税還付を大幅緩和 インバウンド消費テコ入れ
中国が出国時の税還付(免税)ルールを大きく緩和しました。海外からの旅行者がより少ない金額から税還付を受けられるようになり、インバウンド消費の拡大を狙います。
出国時の税還付を見直し、インバウンド消費を後押し
2025年12月上旬、中国商務省とほか5つの政府部門は、海外からの旅行者を対象とした出国時の税還付制度をさらに最適化するための措置を発表しました。狙いは、海外旅行者のニーズに合わせて制度を使いやすくし、中国へのインバウンド消費を一段と拡大することです。
最低購入額は200元に引き下げ
新たな通達では、出国時に税還付を受けるための最低購入額が引き下げられました。海外旅行者は、同じ店舗で同じ日に200元(約27.75ドル)以上の買い物をし、その他の条件を満たせば、税還付を申請できるようになります。
これにより、これまで還付の対象になりにくかった少額の買い物も含め、幅広い消費が対象となります。通達は、制度の利用ハードルを下げることで、より多くの旅行者に税還付制度を活用してもらうことを目指しています。
モバイル決済・カード・現金で還付、多様なニーズに対応
税還付の受け取り方法も多様化します。リスク管理を適切に行うことを前提に、還付はモバイル決済、銀行カード、現金など複数のチャネルで受け取れるようになります。現金での還付上限額は、これまでより引き上げられ、2万元までとなりました。
海外旅行者は、自身の支払い・受け取りの慣れに合わせて方法を選べるため、空港や港で長時間並ぶ負担の軽減にもつながるとみられます。
免税店の拡大と品ぞろえ強化
通達はまた、出国時の税還付店舗の数を増やし、関連商品の供給を充実させ、サービスを改善することも打ち出しています。主要な商業エリアや歩行者天国、観光地、リゾート地、文化施設、空港、旅客港、ホテルなどに、より多くの税還付店舗を設置する計画です。
店舗側には、伝統ある老舗ブランドや、有名な中国製消費財、スマートデバイス、無形文化遺産に関連する工芸品、各地の特産品など、品ぞろえを広げることが奨励されています。さらに、「シティギフト」や「マストバイ」といった各地の看板商品を育てるため、中国国内でのショッピングを促進するキャンペーンも実施される見通しです。
国際ブランド偏重から、中国ブランドの発信強化へ
記者会見で商務次官の盛秋平氏は、これまで海外旅行者が税還付を利用する際、主に国際ブランド商品を購入しており、中国の国内ブランドは比較的少なく、全体として選択肢が限られていたと説明しました。
今回の最低購入額の引き下げは、税還付ショッピングの「入口」を広げる狙いがあります。平均単価の低い専門店や土産物店、ギフトショップなども税還付ネットワークに参加しやすくなるため、中国各地のブランドや特色ある商品を海外旅行者にアピールしやすくなるとされています。
手続きの簡素化と「購入時即時還付」への転換
税務当局によると、出国時税還付に関する規定も見直され、関連サービスの改善や手続きの簡素化が進められています。これにより、海外旅行者が税還付制度の恩恵を受けやすくなることが期待されています。
中国は2025年12月初め、これまでの「出国時にまとめて還付」する方式から、「購入時にその場で還付」を受けられる方式への全国的な移行も打ち出しました。これにより、海外からの訪問者は、国内各地の免税店舗で、付加価値税(VAT)の払い戻しをその場で受け取ることができるようになります。
インバウンド消費と「高度な対外開放」を後押し
中央財経大学副学長の陳斌凱氏は、海外旅行者により多様なショッピングの選択肢と、便利で質の高い税還付サービスを提供することは、インバウンド消費の刺激につながり、「高水準の対外開放」と経済成長を支えると評価しています。
税還付制度の拡充は、単に免税枠を広げるだけでなく、中国を訪れる体験そのものの魅力を高めることも意識した動きといえます。旅行者にとっては、少額の買い物でも還付を受けられることで、地方都市や小規模店舗を含めた街歩きショッピングを楽しみやすくなる可能性があります。
2015年開始の制度、2024年は二桁成長
中国が海外旅行者向けの出国時税還付制度を導入したのは2015年です。導入以来、税還付の規模は年々拡大し、その恩恵を受ける海外旅行者の数も増えてきました。
公式データによると、昨年(2024年)は、税還付の対象となる商品の売上高と、実際に還付された税額がともに大きく伸び、それぞれ前年比120%増と130%増を記録しました。今回の制度見直しにより、この伸びがどこまで加速するかが注目されます。
日本の読者にとってのポイント
今回の動きは、中国がインバウンド消費を成長エンジンの一つとして重視していることを改めて示しています。税還付の条件を緩和し、支払い手段や店舗網を拡充することで、旅行者の滞在中の消費を細かく積み上げていく発想です。
税還付制度はあくまで「きっかけ」にすぎず、実際に財布のひもが緩むかどうかは、観光体験全体の質や、商品・サービスの魅力にも左右されます。アジアの観光地間で旅行者の競争が続くなか、中国の今回の施策がどのような効果を持つのか。今後のデータと現場の変化を追いかける必要がありそうです。
Reference(s):
cgtn.com








