米国の関税政策は自由貿易に逆行? 南ア元外交官が警鐘 video poster
米国の関税中心の貿易政策が、自由貿易の原則に逆行しているのではないか――南アフリカの元外交官ゲルト・グロブラー氏が、CMGのインタビューでこう警鐘を鳴らしました。米国政府の貿易保護主義的な政策は近視眼的であり、最終的には米国の人々が大きな代償を払うことになると指摘しています。本稿では、その発言の意味を整理しながら、2025年の国際経済にとって何を示唆しているのかを考えます。
南ア元外交官が語る 米国の貿易保護主義
南アフリカの元外交官であるゲルト・グロブラー氏は、CMGのインタビューで米国政府の貿易保護主義的な政策を強く懸念していると語りました。氏によれば、米国の関税政策は自由貿易の理念に逆行するものであり、短期的な国内向けの政治的効果を狙った近視眼的な対応だといいます。
さらにグロブラー氏は、このような政策のコストを最終的に負担するのは米国の人々であり、米国社会が重い代償を払うことになると警告しました。自由貿易を掲げてきたはずの国が保護主義を強めれば、国際社会の信頼も揺らぎかねません。
関税と自由貿易 どこでぶつかるのか
関税は、輸入品にかけられる税金で、自国産業を守るための典型的な手段です。しかし、グロブラー氏が指摘するように、過度な関税や貿易保護主義は、自由貿易の考え方と正面からぶつかります。
一般に、保護主義的な関税政策には次のようなリスクがあるとされています。
- 輸入品の価格が上がり、最終的には消費者の負担が増える
- 相手国が報復措置を取り、貿易摩擦が激しくなる
- 企業がサプライチェーンを組み替えざるを得ず、コストと不確実性が高まる
- 多国間の自由貿易ルールへの信頼が損なわれる
短期的には特定産業を守れるように見えても、中長期的には自国経済全体にマイナスが跳ね返ってくる可能性があります。グロブラー氏がいう近視眼的という言葉は、こうした長期的視点の欠如を指していると受け取れます。
アフリカから見える懸念
南アフリカで長く外交に携わってきた人物が、米国の関税政策に懸念を示したことは、グローバルサウスと呼ばれる新興国や途上国の問題意識ともつながっています。
多くのアフリカ諸国は、資源や農産物、製造業の輸出を通じて世界経済と結びついています。大国が保護主義に傾き自由貿易が後退すれば、こうした国々の輸出機会が狭まり、成長の足かせになるおそれがあります。
米国が採る政策は、自国だけでなく、アフリカを含む世界の国々の発展にも波及します。グロブラー氏の発言は、その連鎖的な影響への危機感の表れと見ることができます。
日本とアジアにとっての意味
日本やアジアの多くの国々も、貿易に大きく依存する経済構造を持っています。米国が関税を通じて保護主義的な姿勢を強めれば、世界の貿易環境は不安定になり、企業の投資判断やサプライチェーン戦略にも影響が及びます。
特に、輸出入に関わる企業だけでなく、輸入品に頼る日常の消費生活にも波及があり得ます。関税は国と国の問題に見えますが、そのツケは最終的に家計や雇用の形で私たち一人ひとりにも戻ってきます。
これからの米国貿易政策を見る視点
グロブラー氏の警鐘は、2025年以降の米国の貿易政策を読み解くうえで、いくつかの視点を提示しています。
- 関税や制限措置が、誰を守り、誰に負担を強いているのか
- 短期的な政治的メッセージと、長期的な経済への影響のバランス
- 自由貿易の国際ルールをどう位置づけるのか
- アフリカなど新興国の声が、どれだけ政策議論に反映されているか
米国の関税政策をめぐる動きは、今後も国際ニュースの大きなテーマであり続けるとみられます。ニュースを追うときには、保護主義か自由貿易かという二者択一だけでなく、その背後にある利害や長期的な影響にも目を向けることが重要です。
南アフリカの元外交官が投げかけた問いは、米国だけでなく、世界のどの国にとっても無関係ではありません。貿易政策が本当に誰のためのものなのか、私たち自身の暮らしとのつながりを意識しながら考え続ける必要がありそうです。
Reference(s):
US tariff policy runs against free trade: S. African ex-diplomat
cgtn.com







