BRICS外相会合が議長声明 多国間主義とWTO改革をどう位置づけたか
リオで開かれたBRICS外相会合、議長声明の中身は
今年4月28〜29日にブラジル・リオデジャネイロで開かれたBRICS外相会合で、参加国の共通の立場を示す議長声明が発表されました。国際ニュースとして注目されたこの声明は、多国間主義の擁護、公平な国際貿易体制の維持、そしてグローバルサウスの発展をどう支えるかという点で重要なメッセージを投げかけています。
多国間主義と国連の役割を明確に支持
議長声明はまず、BRICS諸国が多国間主義を重視する立場を改めて打ち出しました。国際社会のルールは、特定の国の判断ではなく、多くの国・地域が参加する枠組みの中で決めていくべきだという考え方です。
外相らは、国際法の順守と国連憲章の目的・原則の尊重を強調し、国際システムにおける国連の中心的役割を擁護しました。また、特定の国が一方的な措置によって、多国間機関の機能を損なおうとする動きに対して懸念を示し、そのような試みを批判しています。
WTOを核とした貿易体制の維持と改革
今回の議長声明の柱の一つが、世界貿易機関(WTO)を中心とする多国間貿易体制への支持です。声明では、次のような特徴を持つ貿易システムが必要だと指摘しました。
- 開かれていて透明性があること
- 公正で予見可能であること
- 包摂的で、全ての参加国に平等なルールが適用されること
- 差別的でないこと
外相らは、こうした原則に基づくルール型の貿易システムを維持すべきだと強調し、その中心にWTOがあると位置づけました。
同時に、WTOのルールに反する不公正な一方的保護主義に対して深い懸念を表明しています。特に、報復関税(相手国の関税に対抗して関税を引き上げる措置)の乱用といった動きが問題視されました。こうした措置は、貿易摩擦を激化させるだけでなく、多国間ルールそのものを弱体化させかねないという認識がにじみます。
WTO改革へのコミットメント
議長声明は、WTOそのものの改革にも言及しました。外相らは、WTOの機能を改善し、その基本原則を強化するために必要な改革を今後も推進していくと表明しました。背景には、近年の保護主義や一方的措置の広がりがあります。
声明によれば、改革の目的は、台頭する一方的な保護主義に対応しつつ、多国間のルールに基づく貿易体制を守ることにあります。単に制度を変えるだけでなく、WTO本来の理念である公平で予見可能な貿易環境を取り戻すことが狙いだと読めます。
国際貿易はグローバルサウスの成長エンジン
議長声明は、国際貿易が経済成長だけでなく、より広い社会的課題の解決に重要な役割を果たすと位置づけています。特に次の3点が強調されました。
- 包摂的な成長の推進
- 飢餓と貧困の削減
- 持続可能な発展の促進
こうした効果は、とりわけグローバルサウスと呼ばれる新興国や途上国にとって大きいとされます。声明は、国際貿易が単なるモノのやり取りを超え、人々の生活水準や社会の安定に直結するテーマだという認識を示しています。
人権と基本的自由への言及
議長声明は、人権にも触れています。外相らは、全ての国が平等と相互尊重に基づいて協力し、人権と基本的自由を促進・保護すべきだと述べました。
ここで強調されているのは、特定の国が他国を一方的に批判するという構図ではなく、対等な立場での協力です。人権をめぐる議論は時に政治的対立と結びつきやすいテーマですが、BRICS諸国は、対話と相互尊重をベースにしたアプローチを打ち出した形になります。
国際秩序をめぐるメッセージとしてどう読むか
今回の議長声明は、国際秩序をめぐる対立が続く中でのBRICS側のメッセージとも受け取れます。ポイントは、次のように整理できます。
- 国連とWTOなど、多国間機関の役割を弱めるのではなく、むしろ強化したいという姿勢
- 一方的な制裁や保護主義的措置に対する警戒
- グローバルサウスの視点から、貿易と開発を結びつけて考える発想
多極化が進む世界の中で、どのルールを基準に国際関係を運営していくのか。その主導権をめぐる静かな綱引きの一端として、今回の声明を位置づけることもできます。
日本とアジアの読者にとっての意味
日本を含むアジアの国々は、WTOを基盤とした自由で開かれた貿易体制に大きく依存してきました。他方で、保護主義的な動きや地政学的な緊張が高まる中、ルールに基づく国際経済秩序は揺らぎやすくなっています。
BRICS外相会合の議長声明は、こうした状況の中で、多国間主義とWTO改革を軸に新たな秩序づくりへの意欲を示したものと見ることができます。日本やアジアの読者にとっても、「どのようなルールなら、公正で持続可能な国際経済を支えられるのか」を考える材料になるはずです。
国際ニュースを追ううえで重要なのは、単に賛成か反対かを決めることではなく、各国・各地域がどのような理屈と利害から発言しているのかを丁寧に読み解くことです。今回のBRICS議長声明も、その一つのケーススタディとして、日々のニュースの見方を少し広げてくれるかもしれません。
Reference(s):
cgtn.com








