広交会が映す中国企業の戦略転換 米国関税下で広がる輸出先
米国が世界的な関税措置を拡大するなか、中国広州市で開かれた第137回中国輸出入商品交易会 広交会 が、中国企業がどのように保護主義の波に対応しているかを映し出しました。今年4月15日から5月5日まで三つの期に分かれて開かれたこの国際見本市には、第二期の終了時点までに219の国と地域から22万4千人超の海外バイヤーが訪れ、同じ時期として過去最多を記録しました。会場では、米国関税の逆風を受けながらも、市場の分散と製品の高付加価値化を進める姿が目立ちました。
広交会に過去最多バイヤー 国際取引のハブとしての存在感
中国南部の広州市で開かれる広交会は、中国本土最大級の総合輸出入見本市として知られています。第137回となる今回は、世界各地からの参加がさらに増え、特に新興国や一帯一路沿線の国と地域からのバイヤーが多く訪れました。米国による関税引き上げが続くなかでも、広交会が国際取引の重要なハブとして機能していることがうかがえます。
米国依存からの脱却 単一市場三割に抑える動き
米国向け輸出が中心の衣料品メーカー Yongjia Garments Co. は、米国市場での輸出量自体は今年増えたものの、高関税の影響で販売価格が下がり、利益圧迫が続いていると明かします。同社は現在、一つの国や地域向けの売り上げ比率を三割までに抑える方針をとり、仕入れ先とのコスト削減交渉に加えて、自社ブランドを立ち上げて付加価値を高める戦略にかじを切っています。
こうした動きは、特定の市場に過度に依存することのリスクを意識したものです。単一市場への依存度を抑えつつ、自社ブランドで価格決定力を高めることで、関税や為替など外部要因の変化に左右されにくい体制を目指しているといえます。
一帯一路やASEANへ広がる販路
照明業界で長年取引を手がけるベテラン商社マンの Liang Yu 氏は、自社が南米や中東、東南アジアなど一帯一路沿線の市場への展開を強めていると語ります。Liang 氏は、関税は短期的には混乱を招くものの、長期的な影響は限定的だとの見方を示しました。
公式統計によると、中国の輸出に占める米国の比率は2018年の19.2パーセントから2024年には14.7パーセントへと大きく低下しています。一方で、2018年には12.8パーセントだった東南アジア諸国連合 ASEAN 向け輸出の比率は16.4パーセントに拡大しました。さらに、一帯一路関連の国と地域への輸出は全体に占める比率が2018年の38.7パーセントから47.8パーセントへと伸び、これらの市場が引き続き強い成長を示していることが分かります。
海外生産と産業チェーンの再編
2018年以降、中国の大手企業の間では、貿易摩擦のリスクを抑えるために海外に工場を設ける動きが広がっています。一部の企業は米国向け輸出を徐々に縮小し、国内販売や東南アジア、カナダ、欧州などへの輸出へと軸足を移しつつあります。
対外貿易に携わる Li Wei 氏は、中国製品は世界市場で強い競争力を持っており、続く関税対立はむしろ海外における中国の産業チェーンの発展を加速させる可能性があると指摘します。そのうえで、対外投資の承認や海外での加工申請に関する手続きについて、より迅速な審査と明確なガイドラインが必要だと求めています。
データが示す輸出構造の変化
広交会の現場で見える動きは、統計データとも重なります。ここ数年の傾向を整理すると、次の三点が浮かび上がります。
- 米国向け輸出の比率が下がり、依存度が低下している
- ASEAN向け輸出の比率が上昇し、地域内の結び付きが強まっている
- 一帯一路関連の国と地域向け輸出が拡大し、多極的な市場構造になりつつある
これは、米国との間で関税をめぐる駆け引きが続く中でも、中国企業が新たな需要を掘り起こしつつ、輸出先を多様化していることを示しています。
広交会から見えるこれからの論点
今回の国際ニュースが示すのは、米国の関税政策が厳しさを増すなかでも、中国企業が守り一辺倒ではなく、次の三つの方向で戦略転換を進めているという点です。
- 市場を分散し、単一市場への依存を抑えるリスク管理
- 自社ブランドや技術力を通じた付加価値の強化
- 海外生産拠点を含む産業チェーンの再構築
日本企業や日本の読者にとっても、こうした動きは自らのサプライチェーンや市場戦略を見直すヒントになります。米国の関税政策が今後どう変化するかにかかわらず、2020年代の国際貿易では、一つの市場や一つの国に依存しない構造づくりがますます重要になっていきそうです。
Reference(s):
Canton Fair shows how Chinese firms are breaking U.S. tariff barriers
cgtn.com








