トランプ大統領の映画関税案、専門家が「米映画産業を殺しかねない」と警告
トランプ米大統領が、米国以外で製作された映画に対して関税を100%に引き上げる案を打ち出し、国際ニュースとして大きな波紋を広げています。米映画産業に詳しい専門家たちは、この映画関税案がアメリカの映画業界そのものを弱らせかねないと強く警鐘を鳴らしています。
トランプ大統領の映画関税案とは
今回の映画関税案は、米国外で製作された作品に対して、輸入時の関税を100%に引き上げるという内容です。対象となるのは、撮影や制作の拠点が米国外にある映画で、アメリカ国内で公開・配信される作品が想定されています。
狙いとしては、映画制作をアメリカ国内に呼び戻し、雇用や投資を増やしたいという思惑があるとみられます。しかし、エンタメ業界では、逆に米映画産業に深刻な打撃となるのではないかという見方が広がっています。
専門家「米映画産業の方が失うものが多い」
米商務省で要職を務めた経験を持つウィリアム・ラインシュ氏は、通信社の取材に対し、この映画関税案は米映画業界を文字どおり「殺す」ことになりかねないと述べています。
ラインシュ氏は、現在のアメリカ映画ビジネスは、撮影場所、スタッフ、資金調達など、多くの部分が国際的なネットワークの上に成り立っていると指摘します。そのため、米国が関税で海外制作を締め付ければ、報復措置や市場縮小を招き、最終的には
- 海外ロケや共同制作が難しくなる
- 制作コストが大幅に上昇する
- 海外市場でのビジネス機会が減る
といった形で、アメリカ側の損失の方が大きくなるという懸念が示されています。
映画の本数そのものが減るおそれ
エンタメ専門メディアであるザ・ハリウッド・リポーターの欧州担当責任者、スコット・ロックスバラ氏も、今回の映画関税案に強い懸念を表明しています。
同氏は、関税強化によって、必ずしも制作拠点が米国に戻るとは限らないと指摘します。むしろ
- 制作側がリスクとコストを嫌い、企画そのものを減らす
- 規模の小さい作品や実験的な作品から打ち切られていく
といった形で、結果的に作られる映画の本数が全体として減ってしまう可能性が高いと見ています。
ロックスバラ氏は、もっと多くの映画がアメリカで制作されるようになるのではなく、単純に「世の中に出てくる作品の数が減る」未来の方が現実的だと述べています。
国際ニュースとしての意味 日本や世界への影響
今回の映画関税案は、アメリカ国内だけの問題ではありません。ハリウッド映画は、世界中の映画館や動画配信サービスに大きな影響力を持つ国際コンテンツであり、日本の観客や配信プラットフォームにとっても身近な存在です。
もし関税によって米映画産業が縮小すれば、次のような変化が起きる可能性があります。
- 大作シリーズや続編の制作が見送られ、日本で見られる新作が減る
- 制作費の高騰で、チケット価格や配信料金にコストが転嫁される
- ハリウッド作品の減少を補う形で、他国・他地域の作品がさらに存在感を増す
日本語で国際ニュースを追う読者にとって、エンタメ分野の政策も、実は自分の日常の楽しみ方や文化の受け取り方に直結するテーマだと言えます。
「保護」と「創造性」のバランスをどう取るか
今回の映画関税案が突きつけているのは、自国産業を保護したいという政治的な思惑と、映画のような創造産業が持つ国際性とのギャップです。映画産業は、国境を越えた人材や資本の動きを前提としたビジネスモデルに大きく依存しています。
保護的な政策によって短期的には国内投資が増えるように見えても、長期的には
- 企画の多様性の低下
- 新人クリエイターのチャンス減少
- 観客の選択肢の狭まり
といった形で、文化的な豊かさが損なわれる危険性があります。専門家たちの強い警告は、この点への危機感の表れと見ることができます。
これから何が注目ポイントか
今後は、映画関税案をめぐるアメリカ国内の議論の進み方と、映画会社や配信プラットフォームがどのような姿勢を取るのかが焦点になっていきます。
読者としては、次のような点に注目しておくと、ニュースが追いやすくなります。
- 映画業界団体やクリエイターがどのような声明を出すか
- アメリカ議会などで、関税案にどの程度の支持・反発があるのか
- 他国の映画産業が、この動きをビジネスチャンスと見るのか、懸念するのか
エンタメの話題に見えつつも、この映画関税案は、貿易、産業政策、文化政策が交差する国際ニュースです。通勤時間やスキマ時間にニュースをチェックする私たちにとっても、自分がこれからどんな物語に触れられるのかを左右する、意外に身近なテーマと言えるでしょう。
Reference(s):
Experts say Trump's tariff plan could 'kill' US film industry
cgtn.com








