中国、家政サービス労働者150万人を職業訓練へ 2025〜27年計画
中国で、家事や育児、介護などの「家政サービス」分野をプロ化する大規模な職業訓練が進められようとしています。2025〜2027年の3年間で、毎年150万人を育成する計画が打ち出されました。
2025〜2027年に毎年150万人を職業訓練
中国の人力資源・社会保障省など6つの政府機関が公表した通知によると、家政サービス分野で年間150万人規模の職業訓練を2025年から2027年にかけて実施する方針です。この取り組みは、家政サービスの市場拡大に対応し、人材を計画的に育成することをねらいとしています。
対象は「これから」と「すでに働く人」
今回の職業訓練は、新たに家政サービス分野への参入を希望する人だけでなく、すでにこの分野で働いている人も対象としています。通知によれば、家政サービスに関わるさまざまな職種に対応した技能を学べる内容になるとされています。
- これから家政サービスに従事したい求職者
- すでに家政サービスの現場で働いている労働者
未経験者の参入を後押ししつつ、現場で働く人のスキル向上も図ることで、人材のすそ野と質の両方を高める狙いがうかがえます。
専門性の向上と「質の高い雇用」をめざす
人力資源・社会保障省は、こうした大規模な職業訓練を通じて、家政サービス産業のプロフェッショナル化を進める方針です。狙いとして示されているのは、次の3点です。
- 家政サービス産業の専門性向上
- 質の高い雇用の創出・拡大
- 国民の家政サービス需要への対応
体系的な訓練でサービスの質が高まれば、利用者の安心感が増し、働く人の評価や待遇の改善にもつながる可能性があります。サービス産業と雇用政策を同時に強化する動きとして、国際ニュースの中でも注目されるポイントです。
3,000万人超が働く巨大市場
中国では、家政サービスに携わる専門職の数がすでに3,000万人を超えており、関連する家政サービス企業も100万社を上回っています。市場規模は1.1兆元(約1,525億8,000万ドル)以上に達しているとされ、家政サービスは巨大なサービス産業の一角を占めています。
こうした背景のもとで、組織的な職業訓練を進めることは、市場の質を底上げし、産業としての持続的な成長を支える基盤づくりとも言えます。
ニーズに合わせたオーダーメイド型の研修
通知では、訓練の効果を高めるために、求職者と現役の労働者それぞれのニーズを丁寧に把握する方針も示されています。
- 家政サービス分野で働きたい求職者の訓練ニーズを把握
- すでに働いている人のスキルや課題を分析
- その結果に基づき、個々の状況に合った訓練プログラムを提供
一律の研修ではなく、実際の現場やキャリア段階に合わせて内容を調整する「オーダーメイド型」のアプローチをとることで、現場で生きるスキルを身につけやすくする狙いがあります。
消費拡大策としての家政サービス強化
中国は、内需の拡大と消費の底上げを重要課題としています。こうした中で、今年4月には家政サービスの拡大と質の向上に焦点を当てた指針が発表されました。
この指針では、家政サービスに関する取り組みとして、主に次のような方向性が掲げられています。
- 消費者が家政サービスを利用しやすくする環境整備
- 家政サービス企業や人材への政策支援の強化
- 安心してサービスを選べる消費環境の最適化
今回の大規模な職業訓練計画も、こうした消費拡大策の一環と位置づけられます。サービスの質が高まれば利用が広がり、結果として家計消費を押し上げる効果も期待されます。
日本の読者にとっての示唆
家政サービスやケア関連サービスをめぐる課題は、中国だけのものではなく、日本を含む多くの国・地域が直面しているテーマです。今回の中国の動きからは、次のような問いかけが浮かび上がります。
- サービス産業でも、計画的な職業訓練への投資がどこまで雇用の質を高められるのか
- 家事やケアの仕事を「専門職」としてどう評価し、キャリアとして位置づけていくのか
- 高齢化や共働き世帯の増加など社会の変化に、サービス産業の側はどう対応していくべきか
家政サービス市場の規模やスピード感は中国ならではの面がありますが、「サービスのプロ化」と「質の高い雇用づくり」を同時にめざすアプローチは、東アジア全体に共通するヒントを含んでいると言えそうです。国際ニュースとして動向を追いながら、自分たちの社会のこれからを考えるきっかけにもなります。
Reference(s):
China to boost vocational training for domestic service workers
cgtn.com








