在中国ドイツ商会「誰も中国から撤退していない」 独企業の対中戦略を読む video poster
ドイツ企業は本当に中国から撤退しているのか――。この問いに対し、在中国ドイツ商会の幹部が「誰も中国から去っていない。われわれはここにとどまる」と明確なメッセージを示しました。中国経済への見方と、ドイツ企業の対中戦略を読み解きます。
在中国ドイツ商会「中国経済に依然として楽観的」
在中国ドイツ商会(German Chamber of Commerce in China)は、中国経済の先行きを依然として楽観的に見ているとしています。北中国地域の事務局長を務めるオリバー・エームス氏は、中国の国際ニュースチャンネル CGTN のマイケル・ワン氏とのインタビューで、現在の状況について語りました。
エームス氏によると、商会としては「中国から撤退しているドイツ企業は見当たらない」との認識で、一部で語られる大規模な「脱中国」のイメージとは異なる実情があるとしています。さらに、商会は中国の経済発展の可能性について前向きな姿勢を保っていると強調しました。
「誰も離れていない。ここにとどまる」というメッセージ
インタビューの中でエームス氏は、在中国ドイツ商会として「誰も中国から離れていない。われわれはここにとどまる」という姿勢を示しました。この発言は、ドイツ企業の多くが中国市場を依然として重要な拠点と見なしていることを端的に表しています。
背景には、次のような要素があると考えられます。
- 中国市場の規模と成長ポテンシャル
- 現地生産・現地販売を前提としたビジネスモデル
- 長年にわたるパートナー企業やサプライヤーとの関係
こうした積み重ねがあるため、短期的な景気変動や国際情勢の変化があっても、拠点そのものを手放す判断には直ちにはつながっていないことがうかがえます。
独企業は「競争力維持のための投資」を継続
エームス氏はまた、ドイツ企業が中国市場での競争力を維持するために「全力を尽くしている」と述べ、依然として「大きな投資」が行われていると指摘しました。
ここでいう投資には、例えば次のようなものが含まれると考えられます。
- 現地工場や研究開発拠点のアップグレード
- 新しい製品ラインやサービスの導入
- デジタル化や自動化など生産性向上への資金投入
「リスクを理由に距離を置く」のではなく、「リスクを管理しながら競争力を高める」という発想に近い動きだと言えます。
リスクと機会をどうバランスさせるか
国際ビジネスの世界では、地政学リスクやサプライチェーンの分散が頻繁に語られています。その一方で、在中国ドイツ商会の見方は、「中国市場からの一斉撤退」というイメージとは異なる現場の感覚を伝えています。
ポイントは、次の二つに集約されます。
- リスクはゼロにならないが、市場機会も依然として大きい
- 撤退よりも、現地での競争力維持・向上のための投資を選ぶ企業が多い
これは、単純に「進出するか、撤退するか」という二択ではなく、「どう関わり続けるか」を考える段階にあることを示しているとも解釈できます。
日本のビジネスパーソンにとっての示唆
今回の在中国ドイツ商会の発言は、日本企業や日本のビジネスパーソンにとっても示唆に富んでいます。
- 同じく中国市場に深く関わる日系企業にとって、独企業の姿勢は比較材料になりうる
- 「リスクだから離れる」のではなく、「リスクを前提にどう戦略を組み立てるか」という視点が重要になる
- 現地市場に根ざした競争力をどう維持・強化するかが、中長期の鍵となる
グローバル経済が不透明さを増す中でも、在中国ドイツ商会が示したのは、「短期のノイズよりも、長期の構造と現場の実感を重視する」という姿勢でした。この視点は、国や業種を問わず、多くの企業にとって参考になるものです。
まとめ:撤退か継続かではなく、「どう向き合うか」
在中国ドイツ商会のオリバー・エームス氏が語った「誰も中国から撤退していない。われわれはここにとどまる」という言葉は、単なる楽観論ではなく、現場でビジネスを続けてきた企業の実感に根ざしたメッセージと見ることができます。
中国経済に対する評価は一様ではありませんが、今回の発言は次の問いを投げかけています。
- 自社はどの市場を「長期戦」のフィールドと見なしているのか
- その市場で競争力を維持するために、どのような投資を続けるのか
国際ニュースを追うときも、「撤退」や「分断」といった言葉だけで状況を理解するのではなく、現場のプレーヤーがどのように判断しているのかに目を向けることで、より立体的な世界像が見えてきます。
Reference(s):
German commerce chamber: Nobody's leaving China, we're here to stay
cgtn.com








