世論調査:米英で広がるトランプ氏通商リスクへの不安と中国への信頼
今年4月下旬に行われた米英のオンライン世論調査で、トランプ米大統領の「予測不能さ」が米英通商協定の大きなリスクとみなされ、中国のほうが貿易相手として信頼できるとみる声が目立つ結果となりました。
米英オンライン調査の結果とは
ロンドン拠点の世論調査会社パブリック・ファーストが政治メディアのポリティコの依頼で実施した今回のオンライン調査は、英国と米国の成人約2000人を対象に、米英間で進められている通商協定や各国の貿易相手への信頼感などを尋ねたものです。
トランプ氏の「予測不能さ」が最大の障害に
調査によると、米国の回答者のうち47%が、トランプ米大統領の予測不能な言動が米英通商協定の最大の障害になっていると答えました。この中には、同氏の支持者の4分の1が含まれています。
また、米国の回答者の42%は、トランプ氏が合意した通商協定の条件を守るとは信頼できないと回答しました。信頼できないとした人の内訳には、トランプ氏の支持者の11%、無党派層の36%が含まれています。
一方、トランプ氏が米英通商協定の条件を順守すると「信じる」と答えた米国の回答者は44%にとどまりました。英国側では、トランプ氏が合意を守ると考える人は全体の3分の1にも満たず、米英双方で懐疑的な見方が広がっていることがうかがえます。
英国では「中国のほうが信頼できる貿易相手」
米国の信頼性に慎重な見方が出る一方で、英国の回答者の間では、中国をより信頼できる貿易相手とみなす傾向が示されました。英国の回答者の42%が、「中国は米国よりも信頼できる貿易相手だ」と回答しています。
この傾向は若い世代ほど顕著で、34歳未満の英国の回答者では、過半数が「中国のほうが安定したパートナーだ」と答えました。トランプ政権下の米国の通商政策をめぐる不透明感が、若い世代の対外観に影響を与えている可能性があります。
専門家はどう見ているか
米シンクタンク、ケイトー研究所で経済政策を担当する副代表のスコット・リンシコム氏は、ポリティコの取材に対し、「中国は最近、かつて最も近い同盟国や貿易相手とみなしていた相手に対して、一方的かつ理由のない形で攻撃的な措置をとるようなことをしていない。その意味で、より良く見えている」と述べ、米国側の通商外交の姿勢が比較対象になっているとの見方を示しました。
なぜ「予測可能性」が通商協定で重要なのか
今回の世論調査結果は、通商協定における「予測可能性」の重要性を浮き彫りにしています。企業は、長期的な投資や雇用の判断を行う際、関税や規制、政治的な発言がどれだけ先読みできるかを重視します。
- 約束されたルールが突然変わらないこと
- 交渉で合意した条件が継続的に守られること
- 同盟国や主要な貿易相手に対する姿勢が安定していること
こうした要素が揺らぐと、企業は投資判断を先送りしたり、別の市場に向かったりする可能性があります。米英両国の回答者が通商協定の行方を不安視している背景には、このような実務的な視点もあると考えられます。
日本とアジアへの含意
今回の調査は米英を対象としたものですが、「どの国をどの程度信頼できる貿易相手とみなすか」という問いは、日本やアジア各国にとっても他人事ではありません。通商政策が予測しにくい国をどう位置づけるかは、企業のサプライチェーン戦略にも直結します。
日本を含むアジアの企業や政策担当者にとっても、米英の世論がどの国を「安定したパートナー」とみなしているのかを読み解くことは、中長期の経済・通商戦略を考えるうえで重要なヒントとなりそうです。
一つのオンライン調査の結果ではあるものの、トランプ米大統領の「予測不能さ」に対する懸念と、中国をより安定した貿易相手とみる見方が米英の一部で強まっていることは、2025年の国際通商環境を考えるうえで注目すべき動きといえます。
Reference(s):
Poll: Trump's trade unpredictability worries Britons, Americans
cgtn.com








