米中小企業に重くのしかかる関税 CNBC調査が映す景気不安
2025年4月21〜25日に実施された米ニュースメディアCNBCの最新調査で、米国の中小企業オーナーの多くが、ドナルド・トランプ政権が導入した貿易関税の影響をすでに感じているか、近い将来に受けると見ていることが明らかになりました。関税だけでなく、景気後退への強い不安もにじみ出ています。
CNBC調査が示した6つのポイント
今回の調査は、米国で自らを中小企業オーナーと認識する2257人を対象に、2025年4月21〜25日にかけて行われました。結果からは、関税、景気、政治への評価が密接に結びついている様子が浮かび上がります。
- 66%が、トランプ政権の貿易関税の影響をすでに受けている、または今後受けると予想
- 米国経済を「素晴らしい」「良い」と前向きに評価したのは30%
- 残りの70%は、経済を「まあまあ」「悪い」と見ている
- 70%が、米国は景気後退に向かっていると予想
- 51%が、トランプ大統領の職務遂行に不満と回答
- 同じく51%が、今後1年の貿易政策の変化は自社ビジネスにマイナスだと見込んでいる
ざっくり言えば、「関税の負担」「景気の先行き不安」「政権への評価」が、中小企業オーナーの頭の中で一本の線でつながっている姿が見えてきます。
なぜ貿易関税は中小企業にとって重いのか
貿易関税とは、外国から輸入される商品に課される税金のことです。関税が上がると輸入品の価格が上昇し、そのコストはどこかで吸収されなければなりません。
とくに中小企業にとって関税が重く響きやすい理由として、次のような点が考えられます。
- 価格転嫁の余地が小さい:大企業に比べて交渉力が弱く、原材料価格の上昇をそのまま販売価格に上乗せしにくい
- 仕入先の選択肢が少ない:代替の仕入先を開拓する人員やネットワークが限られている
- コスト吸収のクッションが薄い:利益率や資金余力が小さく、急なコスト増に対応しづらい
- 事務負担の増加:新しい関税制度や規制に対応するための情報収集・手続きが、少人数のバックオフィスに重くのしかかる
今回の調査で66%ものオーナーが、関税の影響を「すでに感じている」か「これから受ける」と答えた背景には、こうした中小企業ならではの脆弱性があります。
7割が景気後退を予想 その心理とは
注目すべきは、回答者の70%が「米国は景気後退に向かっている」と見ている点です。実際の経済指標とは別に、「そう感じる人が多い」という事実自体が経済に影響を与えます。
中小企業オーナーが景気後退を意識し始めると、次のような行動につながりやすくなります。
- 設備投資や新規採用を控える
- 在庫を絞り、仕入れを慎重にする
- 広告・マーケティング費用を削る
- 資金繰りに備えて現金を厚めに確保する
こうした「守り」の行動が積み重なると、実体経済の減速をさらに強めてしまう可能性があります。景気の悪化を恐れる心理が、景気悪化を呼び込むという悪循環です。
トランプ大統領への評価と貿易政策
今回の調査では、51%がトランプ大統領の職務遂行に不満と回答しました。同じく51%が、今後1年の貿易政策の変化は自社ビジネスにマイナスだと見ています。
この2つの数字が一致していることは象徴的です。関税を含む貿易政策が、自分たちのビジネスにとってリスクになっていると感じる人ほど、政権運営への評価も厳しくなりやすいと考えられます。
一方で、裏を返せば約半数は現状に一定の理解や支持を示しているとも読み取れます。中小企業の間でも、業種や地域によって受け止め方は分かれている可能性があります。
日本の読者にとってなぜ重要か
米国の中小企業の動きは、日本やアジアにとっても無関係ではありません。国際ニュースとして、この調査結果は次のような意味を持ちます。
- 米国の需要変化:米中小企業が投資や採用を絞れば、米国内の雇用や消費に影響し、日本企業の輸出や現地ビジネスにも波及しうる
- サプライチェーンへの影響:関税の負担を避けるため、調達先や生産拠点の見直しが進めば、サプライチェーン全体の流れが変わる
- 為替・金融市場:景気後退懸念が強まれば、安全資産への逃避や金利低下などを通じて、円相場や株式市場にも影響しうる
日本語で国際ニュースを追う私たちにとって、米国の「大企業」だけでなく、「中小企業の景況感」にも目を向けることで、世界経済の変化を一歩早く感じ取れる可能性があります。
これからのニュースでチェックしたいポイント
今回のCNBC調査を踏まえ、今後フォローしておきたい論点を整理すると、次のようになります。
- 米国の関税や貿易政策の追加的な変更:新たな関税の導入や緩和、交渉の行方
- 中小企業の景況感調査:今回の結果が一時的なものか、今後も悲観的な見方が続くのか
- 雇用や投資の動き:中小企業セクターでの採用・設備投資の減速が広がるかどうか
- 金融・市場の反応:景気後退懸念が株価や金利、為替にどう映し出されるか
スキマ時間でニュースをチェックするときも、「この動きは米国の中小企業にどう響くのか」「その先に世界や日本への波紋はあるのか」という視点を一つ足してみると、見えてくるものが変わってきます。
関税ニュースを読むための小さなヒント
最後に、今後も続きそうな関税や貿易をめぐるニュースを読むときの、シンプルなチェックポイントを挙げておきます。
- どの品目・どの国との取引に関税がかかっているのか
- コスト増を最初に負担するのはどの業種・どの企業か
- その負担が最終的に消費者価格や雇用にどうつながるのか
- 中小企業と大企業で影響の受け方はどう違いそうか
2025年4月のCNBC調査は、米国の中小企業にとって、関税と景気不安がもはや抽象的な政策論争ではなく、「自分たちの足元のビジネスの問題」になっていることを示しました。この視点を持ちながら、これからの国際ニュースを一緒に追いかけていきたいところです。
Reference(s):
cgtn.com








