米中関税90日間の一時停止で、中国本土の輸出企業がフル稼働 video poster
米国と中国本土が今年5月に互いに新たに課していた関税の多くを90日間停止すると発表したことを受けて、中国本土の輸出企業が米国向けの生産と出荷を急ぐ動きが広がっています。深圳の工場の現場から、そのスピード感と背景を見ていきます。
米中関税の「90日間一時停止」が引き金に
今年5月12日、米国と中国本土は、相互に追加で課していた関税の大部分について、90日間の一時停止措置を導入すると発表しました。この「休戦」によって、国際ニュースの焦点は再び米中の貿易関係に集まりました。
両国の最新の関税調整を受けて、米国の小売業者や商社はコストが下がるこの期間に合わせて発注を前倒しし、中国本土の輸出企業への問い合わせや注文が急増しています。中国本土の対外貿易には、再び勢いが戻りつつあるといえます。
深圳の工場で起きていること
広東省深圳のにぎやかな工場では、米国のバイヤー向けに生産ラインがフル稼働しています。ある貿易商のニエさんは、米国の取引先から「できるだけ早く出荷してほしい」と繰り返し急かされていると話します。
米国の店舗に商品が並ぶまでには、およそ45日かかるといいます。関税の扱いが再び変わるかもしれないという不安があるなかで、バイヤーは少しでも早く商品を確保したい考えです。
ニエさんが抱える米国向けの注文は、これまで関税引き上げの影響で遅れていた約8万元(約1万1,100ドル)分の案件に加え、80万元を超えるものと100万元を超える大型案件が2件あります。「どれも時間との勝負です」と話し、工場と輸送会社との調整に追われています。
「45日」のタイムラグが意思決定を早める
ニエさんのような輸出企業にとって、45日という輸送のタイムラグは小さくありません。発注から出荷、通関、輸送、米国での倉庫搬入や店頭陳列まで、どこかで遅れが出れば、関税の一時停止期間を超えてしまうおそれもあります。
そのため、企業側もバイヤー側も、発注や生産の判断を普段より早く下し、在庫や価格のリスクを抱えながらも、とにかく「今の条件」で取引を進めようとしています。短期的な政策変更が、現場のオペレーションを大きく揺さぶっている様子がうかがえます。
欧州・南米からも広がる注文
ニエさんのもとには、米国だけでなく、欧州や南米の取引先からも新たな注文が届いています。いずれの注文も、7月ごろの夏の繁忙期までに納品を済ませてほしいという要望が出ているといいます。
世界の需要期は地域ごとに異なりますが、夏の商戦に向けた仕入れを前倒しする動きが重なれば、生産現場の負担は一気に高まります。関税の一時停止をきっかけに、米国向けだけでなく、他の地域向けの取引にも勢いが波及していることがうかがえます。
貿易の不確実性とどう向き合うか
今回のような米中の関税調整は、国際ニュースとして注目を集める一方で、現場の企業や働く人たちの日常を大きく変えます。数か月単位でルールが変わる可能性があるなかで、企業は生産計画や価格設定、在庫管理のやり方を柔軟に見直さざるをえません。
深圳の工場でフル稼働する生産ラインは、統計には表れにくい「不確実性」との格闘を象徴しているともいえます。米国と中国本土の関税をめぐる動きが今後どのような方向に進むのか。それを見極めようとする世界中の企業と市場の視線は、しばらくこのテーマから離れそうにありません。
Reference(s):
Chinese exporters ramp up production after tariff adjustment
cgtn.com







