米中関税一時緩和で海上コンテナ予約が約3倍に 米Vizionが分析
米国と中国が関税の一時的な緩和に踏み切った直後、中国発米国向けの海上コンテナ予約が約3倍に跳ね上がったことが分かりました。米中貿易摩擦が続くなかで、関税と物流の密接な関係があらためて浮き彫りになっています。
米中の関税緩和でコンテナ予約が急増
コンテナ追跡ソフトウェアを提供する米Vizion社は、水曜日に公表したデータで、中国から米国向けの海上コンテナ予約が関税緩和後に急増していると明らかにしました。
水曜日までの直近7日間の予約は、20フィートコンテナ換算(TEU)で平均2万1530TEUとなり、5月5日までの7日間の平均5709TEUから277%増となりました。同社の戦略事業開発担当副社長ベン・トレーシー氏によると、米国向けの海上輸送需要は、関税の見通しが変わるとすぐに動き出したとみられます。
トランプ氏の「145%関税」発表後に一時ストップ
今年4月2日、トランプ氏が中国製品に145%の関税を課す計画を発表したことを受け、米国の輸入企業は中国からの出荷を一斉に減速させました。高関税リスクを避けるため、発表後しばらくは新たな予約を控える動きが強まっていたとされています。
しかし、その後の月曜日に、米国と中国が互いに課していた関税を一時的に引き下げる措置を発表すると状況は一変しました。関税の一時的なロールバック(巻き戻し)をきっかけに貿易が再始動し、中国発米国向けのコンテナ予約が再び動き始めた結果、足元の急増につながった形です。
海運大手ハパックロイドも「50%増」を報告
こうした動きは、海運企業の現場感覚とも一致しています。ドイツのコンテナ船社ハパックロイドは水曜日、米中間の貨物動向について、予約が明らかに増えていると説明しました。
同社によると、今週の最初の数日間で、米中間の海上輸送予約は前の週と比べて約50%増加しました。ロルフ・ハベン・ヤンセン最高経営責任者(CEO)はロイターに対し、「ここ数日だけを見ても、中国と米国の間の貨物量がさらに増えるとみている」と述べ、今後も追加の貨物ボリュームが期待できるとの見方を示しています。
数字が示すもの:関税が変われば物流はすぐ動く
今回のデータからは、米中の貿易政策とサプライチェーン(供給網)がいかに密接に結びついているかが見えてきます。
- 高関税方針の発表後に、米輸入企業が中国からの出荷を急速に抑え込んだこと
- 一時的とはいえ関税が緩和されると、短期間で予約が2万TEU超まで跳ね上がったこと
この振れ幅の大きさは、企業が政策の変化に敏感に反応し、調達ルートや在庫戦略を素早く調整していることを物語っています。関税が上がれば「様子見」、下がれば「一気に駆け込み」という動きが、数字にそのまま表れた格好です。
日本企業・日本の読者にとっての意味
中国と米国の間を行き来するコンテナ船は、世界の物流ネットワークの中核を成しています。日本企業も部品や素材、完成品の輸出入を通じて、この流れに深く組み込まれています。
- 中国発米国向けコンテナが急増すれば、北太平洋航路の船腹(スペース)が一時的に逼迫し、運賃が変動しやすくなります。
- 米国市場向けの製品に、中国で製造した部品を使っている日本企業は、調達コストやリードタイム(納期)に影響を受ける可能性があります。
- 関税方針が短期間で変わることを前提に、在庫水準や生産拠点をどう分散させるかが、今後いっそう重要になっていきます。
ニュースとしては米国と中国の動きに見えても、その影響はアジア全体の物流や価格に波及し、日本の消費者が手にする製品の値段や選択肢にもつながっていきます。
これから注目したいポイント
今回の一時的な関税緩和とコンテナ予約急増が、一過性の「駆け込み」で終わるのか、それとも米中貿易の安定化につながる兆しなのかは、現時点では不透明です。それでも、読者として押さえておきたい視点があります。
- 米中双方の関税政策:今回の一時的なロールバックがどこまで継続・拡大するのか、今後の発表が重要になります。
- 海運各社の運航計画:需要増加を受けて増便や航路再編、運賃改定が広がるかどうかは、物流コストに直結します。
- 企業のサプライチェーン戦略:米中間の動きだけに依存せず、調達・生産拠点をどう組み合わせてリスクを抑えるのかが問われます。
米中関係のニュースは、政治や外交だけでなく、日々の買い物や企業経営にも静かに影響を与えています。関税と物流の動きをセットで追いかけることで、世界経済の変化をより立体的に理解することができそうです。
Reference(s):
China-U.S. ocean cargo bookings up 300% after tariff drop, Vizion says
cgtn.com








