中国が2025年初の預金準備率引き下げ 約1兆元を市場に供給
中国の中央銀行である中国人民銀行が2025年に入って初めて預金準備率(RRR)を引き下げ、約1兆元(約1,390億ドル)の長期資金を金融市場に供給しました。国内需要の回復と構造調整を後押しする狙いがあるとみられます。
0.5ポイントのRRR引き下げで長期資金を供給
今回の措置では、対象となる金融機関の預金準備率が0.5ポイント引き下げられました。預金準備率とは、銀行が預金のうち一定割合を中央銀行に預けておくルールのことで、この割合を下げると、銀行が企業や個人への貸し出しに回せる資金が増えます。
中国人民銀行は、この引き下げによって長期資金として約1兆元が市場に供給されると見込んでいます。これは金融システムに安定的な流動性(お金のめぐり)を確保し、資金調達コストの低下にもつながる可能性があります。
2025年最初のRRRカット 背景に景気回復の後押し
今回の預金準備率引き下げは、2025年に入ってから初めてのRRRカットです。発表は5月上旬に行われ、その後の木曜日から実施されました。
中国人民銀行を含む金融当局は、外部環境の不透明感が続くなかで、市場の安定と経済回復の持続を図るため、預金準備率の引き下げに加えて、政策金利の引き下げや再貸出(リレンド)制度を通じた資金供給の拡大など、一連の支援策を打ち出しています。
専門家は「国内需要回復と構造調整を促進」と評価
Guangkai Chief Industry Research Instituteのリエン・ピン(Lian Ping)所長兼チーフエコノミストは新華社通信に対し、今回のRRR引き下げには「国内需要の回復を促すとともに、経済の構造調整を加速させる効果がある」と述べています。
エバー・ブライト証券のチーフエコノミストであるガオ・ルイドン(Gao Ruidong)氏も、新華社の取材に対し、RRRの引き下げによって長期資金の供給が増えることで、「流動性を合理的で潤沢な水準に保つことができる」と話し、金融環境の安定に寄与すると強調しました。
専門家のコメントからは、今回の措置が短期的な景気刺激というより、資金の安定供給を通じて持続的な成長を支える方向性を重視していることがうかがえます。
自動車金融・リース会社のRRRは0%に
今回の一連の措置では、銀行などの金融機関だけでなく、自動車ファイナンス会社や金融リース会社に対する預金準備率も大きく見直されました。
これらの機関については、預金準備率が一気に5ポイント引き下げられ、0%となりました。事実上、準備預金の義務がなくなることで、自動車ローンや設備リースなど、それぞれの分野での与信能力(貸し出し能力)が高まると期待されています。
自動車産業や設備投資は、雇用や関連産業への波及効果が大きい分野です。今回の措置は、こうした重点分野への金融支援を強める「ピンポイント型」の政策対応とも言えます。
日本やアジアの投資家にとっての意味
中国の金融政策は、アジア全体の資本市場や為替市場にも影響を与えやすく、日本の投資家や企業にとっても無関係ではありません。預金準備率の引き下げは一般に、
- 銀行の貸し出し余力を高める
- 企業の資金調達環境を緩和する
- 景気の下支えを図る
といった効果があるとされます。中国の動きをフォローすることで、世界経済やアジアの金融環境の変化を早めに把握するヒントになります。
「読み流さずに押さえておきたい」中国のRRR動向
2025年最初の預金準備率引き下げは、約1兆元という規模だけでなく、自動車金融やリース会社のRRRを0%にするなど、重点分野を意識した点でも注目されています。今後も中国人民銀行がどのようなペースで金融緩和や流動性供給を進めるのかは、アジア経済を考えるうえで重要な手がかりとなりそうです。
Reference(s):
China's first RRR cut for financial institutions in 2025 takes effect
cgtn.com








