中国とASEANがCAFTA3.0交渉妥結 デジタル・グリーン経済で連携強化
中国と東南アジア諸国連合(ASEAN)の10か国が参加する自由貿易圏協定「CAFTA(中国・ASEAN自由貿易圏)」のアップグレード版となる「CAFTA3.0」の交渉が完了しました。デジタル経済やグリーン経済、サプライチェーンをめぐる新たな枠組みは、東アジアの貿易と投資の行方を左右しそうです。
CAFTA3.0交渉完了の概要
中国商務省によると、中国とASEAN10か国はCAFTA3.0に関する交渉をすべて終えました。交渉開始は2022年11月で、その後9回の公式会合を経て2024年10月に妥結しています。
交渉妥結は、中国とASEANの経済・貿易担当閣僚によるオンライン特別会合で発表されました。中国商務省は、この合意が「自由貿易と開かれた協力を支持する強いシグナル」であり、地域および世界の貿易に「より大きな確実性」をもたらすと説明しています。
また、中国とASEAN双方にとって、CAFTA3.0は「開放性」「包摂性(インクルーシブ)」「ウィンウィンの協力」を体現するモデル協定になると位置づけられています。
CAFTA3.0は何がアップグレードなのか
今回のCAFTA3.0では、新たに9つの章が追加される予定で、その中核となるのが次の3分野だとされています。
- デジタル経済:デジタル技術を活用した経済活動に関する協力やルールづくりを想定した分野です。
- グリーン経済:環境に配慮した経済活動を支える仕組みづくりを進め、持続可能な成長をめざす方向性が示されています。
- サプライチェーン接続:物流や生産ネットワークなどの連結性を高めることで、域内の産業・供給網の一体化を進める内容が盛り込まれると説明されています。
中国商務省は、こうした新章の導入によって、CAFTA3.0が「包括的」で「現代的」かつ「互恵的」な自由貿易協定になると強調しています。とくに、中国とASEANという2つの大きな発展途上経済のあいだで、産業とサプライチェーンの統合をさらに深めることが期待されています。
中国・ASEAN「メガ市場」と共同体づくり
CAFTA3.0は、単なる関税削減にとどまらず、中国とASEANがより大きな「メガ市場」を築くための制度的な土台になると位置づけられています。
中国商務省は、アップグレードされた協定が次のような役割を果たすとしています。
- 中国・ASEAN間の巨大市場を形づくるための制度面の保証を提供する
- 中国・ASEANが「共有する未来」をめざす共同体づくりに、持続的な原動力を与える
- 両者の共通の繁栄と発展を後押しする
こうしたメッセージからは、CAFTA3.0が経済だけでなく、地域のつながりや協力のあり方を示す政治・外交的な意味も持つことがうかがえます。
今後の手続きとタイムライン
交渉妥結を受けて、中国とASEANの双方は、それぞれの国内で署名と批准に向けた手続きを積極的に進める方針を示しました。中国商務省によれば、CAFTA3.0のアップグレード議定書は、2024年末までの正式署名を目標としていました。
2025年時点でも、CAFTA3.0で示された合意内容は、東アジアの経済統合の方向性を考えるうえで重要な手がかりとなっています。今後、各国・地域の企業や投資家が、どのように新たな枠組みをビジネス戦略に織り込んでいくのかが焦点になります。
日本やアジアの読者が押さえたい視点
中国とASEANの経済連携の強化は、日本を含むアジアの周辺国や企業にも影響を与える可能性があります。とくに、以下のような点は注目しておきたいところです。
- サプライチェーン再編:中国・ASEAN域内の連結性が高まれば、製造や調達、物流の拠点配置を見直す動きが広がる可能性があります。
- デジタル・グリーン分野での競争と協調:新たな枠組みづくりが進めば、デジタルサービスや環境関連ビジネスでの協力機会が増える一方で、競争も激しくなることが想定されます。
- 地域経済の安定性:自由貿易と開かれた協力を打ち出す枠組みは、国際情勢が揺らぐ局面でも、経済面の安定要因として働く可能性があります。
これからの注目ポイント
CAFTA3.0をめぐって、今後注目されるのは次のようなポイントです。
- 各国の国内手続きの進み具合と、協定内容の具体的な実施スケジュール
- デジタル経済やグリーン経済に関する新章が、企業活動にどのような形で反映されていくか
- 中国・ASEAN間のメガ市場構想が、地域の産業構造や投資の流れをどう変えていくか
CAFTA3.0は、中国とASEANの経済関係を次の段階へと押し上げる枠組みとして設計されています。アジアのダイナミズムの中で、自国や自社がどこに位置し、どのような戦略を描くべきかを考えるうえで、今後も注視していきたいテーマです。
Reference(s):
cgtn.com








