IRENA事務局長:関税は景気を冷やすが再生可能エネルギーへの影響は限定的 video poster
関税は景気を冷やすが、再エネへの影響は比較的小さいと指摘
国際再生可能エネルギー機関(IRENA)のフランチェスコ・ラ・カメラ事務局長は、中国の国際メディアCGTNのインタビューで、「関税の引き上げは、幅広い分野で経済成長を押し下げるが、再生可能エネルギー分野への影響は相対的に小さい」との見方を示しました。
世界各地で貿易摩擦や関税をめぐる議論が続く中、エネルギー転換(エネルギー・トランジション)への影響をどう見るかは、多くの国にとって重要な論点になっています。
IRENAとは何か、なぜ発言が注目されるのか
IRENAは、各国の再生可能エネルギー導入を支援する国際機関です。そのトップであるラ・カメラ事務局長の発言は、世界のエネルギー政策や投資の方向性を考えるうえで、ひとつの重要な指標として受け止められます。
今回のインタビューでは、「関税は景気にマイナスだが、再生可能エネルギー分野は他の産業に比べて影響が小さい」という整理が示されました。これは、再生可能エネルギーが長期的な投資と技術革新に支えられた分野であり、一時的な貿易コストの変動に対して、比較的粘り強い構造を持っているという見方ともいえます。
なぜ再生可能エネルギーは関税の影響を受けにくいのか
インタビューの詳細は限られていますが、ラ・カメラ事務局長の指摘は、次のような背景を踏まえたものと考えられます。
- 再生可能エネルギーへの投資は、数十年単位の長期視点で行われることが多い
- 各国がエネルギー安全保障や脱炭素を重視し、政策的な後押しを強めている
- 太陽光や風力などの技術コストが長期的には低下傾向にある
こうした要素が組み合わさることで、関税による短期的なコスト上昇があっても、再生可能エネルギー分野全体としての成長トレンドは維持されやすい、というメッセージが読み取れます。
「移行のスピード」は鈍っても、「移行そのもの」は不可避
ラ・カメラ事務局長はさらに、関税の影響により、エネルギー転換の「スピード」は影響を受ける可能性があるものの、「転換そのものは避けられない(不可避)プロセスだ」との考えを示しました。
つまり、エネルギー転換の方向性そのものは揺らがない一方で、導入のテンポや投資のタイミングは、通商政策や景気動向に左右されうる、という整理です。この視点は、短期の政治・経済の動きと、長期の脱炭素・エネルギー戦略を切り分けて考える必要性を示しています。
日本と世界の政策にとっての示唆
今回のIRENAトップの発言は、日本を含む各国の政策担当者や企業に、次のような示唆を投げかけています。
- 短期ショックと長期トレンドを分けて考えること
関税や景気変動による一時的な影響に過度に振り回されず、長期的なエネルギー転換の方向性を維持できるかどうかが問われます。 - 再生可能エネルギーを「景気対策」としても位置づけること
関税が全体の景気を冷やす中でも、再生可能エネルギー分野の投資や雇用は、比較的安定した成長源となりうる可能性があります。 - 国際協力と対話の重要性
エネルギー転換は国境を越えた課題であり、技術や投資、ルールづくりをめぐる協力の枠組みを維持・強化できるかがカギになります。
考えるための視点:私たち一人ひとりに何ができるか
関税やエネルギー政策は、一見すると私たちの日常から遠いテーマに見えます。しかし、電気料金や職場の産業構造、将来の気候リスクなど、生活のさまざまな場面とつながっています。
今回のラ・カメラ事務局長のメッセージから、私たちが押さえておきたいポイントを、あえて三つに絞ると次のようになります。
- エネルギー転換は「止まるか進むか」ではなく、「どれくらいのスピードで進むか」の段階に入っている
- 貿易や関税の議論は、エネルギー・気候政策と切り離せないテーマになっている
- 企業や自治体、個人の選択も、長期的なエネルギー転換の流れの一部を形作っている
今後も、国際機関や各国の動きを丁寧に追いながら、「関税」と「再生可能エネルギー」「エネルギー転換」の関係を、日本語でわかりやすくお伝えしていきます。
Reference(s):
IRENA: Tariffs depress the economy but impact renewable energy less
cgtn.com








