トランプ通商政策に共和党支持層も不安 米消費者マインドが急低下
トランプ米大統領の通商政策に対し、これまで支持基盤とされてきた共和党支持層の間でも不安が広がっています。今年5月に公表された米ミシガン大学の消費者信頼感指数が大きく落ち込み、物価上昇への懸念が強まっていることが明らかになりました。
共和党支持層の間で高まる不満
英フィナンシャル・タイムズは、トランプ政権の政策運営、とくに通商政策への不満が、米国の消費者マインドを押し下げていると伝えています。調査を行ったミシガン大学の幅広い消費者マインド指数は、4月の52.2から5月には50.8へと低下し、歴代でも低い水準の一つとなりました。
今後1年程度の景気を見通す先行き指数も、雇用不安の高まりを背景に46.5まで下落しています。米国内で、近い将来の失業増加を心配する声が強まっていることがうかがえます。
消費者信頼感指数の中身
ミシガン大学の消費者信頼感指数は、家計の景気判断や将来見通しを聞き取り、指数化したものです。今回の調査結果からは、トランプ政権の政策運営に対する評価の変化がにじみます。
- 全体の消費者マインド指数は、4月の52.2から5月に50.8へ低下
- 将来の景気を問う先行き指数は46.5まで悪化
- 調査期間は4月22日から5月13日まで
なかでも注目されるのが、これまでトランプ政権を強く支えてきたとされる共和党支持層の動きです。調査によると、自らを共和党支持者と答えた層では、全体的なセンチメントが90.2から84.2へ下がり、昨年11月以降で最も弱い水準となりました。
また、経済の先行きを問う指数も95.9から90.8へ低下し、こちらも半年ぶりの低水準です。トランプ政権の通商政策や関税の引き上げが長期的に米経済に与える影響について、支持層の間にも懸念が広がっているとみられます。
インフレ期待は1980年代以来の高さに
今回の調査では、物価への不安感が際立っています。1年先のインフレ率の予想は、6.5パーセントから7.3パーセントへ急上昇し、1981年以来の高水準となりました。
より長期の物価見通しも、4.4パーセントから4.6パーセントへじわりと上昇しています。とくに共和党支持層の間で、トランプ政権が打ち出した関税が今後もコストを押し上げ続けるのではないかという警戒感が強まっているとされています。
興味深いのは、こうしたインフレ期待の高まりが、足元の実際の物価動向とは対照的だという点です。公表された公式統計では、4月の消費者物価上昇率は2.3パーセントと、過去4年間で最も低い伸びにとどまりました。同じ時期に生産者物価も低下する一方、輸入関税の引き上げによって企業の利ざやは圧迫されています。
なぜ通商政策が物価不安につながるのか
通商政策、とりわけ関税は、輸入品の価格を引き上げることで国内産業を守る狙いがあります。しかし、関税で上がったコストは最終的に消費者や下請け企業の負担となりやすく、物価上昇や収益圧迫につながる可能性があります。
今回の調査結果は、トランプ政権の通商政策を支持してきた層の一部にまで、こうした負担への懸念が浸透しつつあることを示しているといえます。インフレ期待が高止まりすれば、家計は将来に備えて消費を控え、企業も投資に慎重になるため、景気の下押し要因となりかねません。
米政治と世界経済への影響
共和党支持層のセンチメント悪化は、トランプ政権にとって政治的な重しとなる可能性があります。支持基盤の不満が高まれば、今後の政策運営や議会との関係、選挙戦略にも影響が及びます。
また、米国は世界最大級の消費市場であり、その消費者マインドの悪化は、世界の景気にも波及しうる問題です。
- 米国の個人消費の減速は、日本を含む諸外国からの輸出に影響しうる
- 関税を巡る不確実性は、グローバル企業のサプライチェーンの見直しを促す可能性がある
- インフレ期待の高まりは、金融政策のかじ取りを難しくし、市場の変動要因となる
読者が押さえておきたい視点
今回のニュースから、私たちが考えておきたいポイントは次の通りです。
- 物価の実績よりも、人々の期待や不安が経済を動かすことがある
- 通商政策は、国内産業保護だけでなく、家計や企業コストにも影響を与える
- 支持層の意識変化は、政権の政策修正や政治日程に波紋を広げる可能性がある
今年も残りわずかとなる中で、米国の消費者マインドと通商政策を巡る動きは、今後の世界経済や国際政治を見通すうえで重要な材料になりそうです。日本としても、為替や輸出、企業業績への影響を意識しながら、米国の世論動向を丁寧にフォローしていく必要があります。
Reference(s):
Republicans losing confidence in Trump's trade policy: survey
cgtn.com








