中国と太平洋島しょ国の協力強化へ 観光と外交の最新動向
中国と太平洋島しょ国(Pacific Island Countries、PICs)の関係が、観光と外交の両面でこの数年加速しています。2025年5月の観光交流イベントと外相会合を軸に、その意味を整理します。本稿では、この国際ニュースの背景を日本語でわかりやすく解説します。
観光から広がる中国と太平洋島しょ国の協力
2025年5月上旬、フィジー第3の都市ナンディで、中国と太平洋島しょ国の観光交流に特化した2日間のセッションが開かれました。中国とフィジー、バヌアツを含む10の太平洋島しょ国・地域の政府関係者や観光業界の担当者が集まり、観光分野での協力のあり方を話し合いました。
この場で、太平洋観光機構(Pacific Tourism Organization)の議長を務めるアデラ・イサッカー・アル氏は、中国が太平洋地域にとって重要な観光の送客市場であることを強調しました。観光収入に依存する国が多い太平洋島しょ国にとって、中国からの旅行者は、雇用や地域経済を支える大きな存在になりつつあります。
厦門で初の対面開催となった第3回外相会合
この観光交流セッションは、中国と太平洋島しょ国の協力の枠組みが広がっていることを象徴する出来事です。両者の外相が集まる中国・太平洋島しょ国外相会合は、2021年10月21日に第1回会合が開かれて以降、協力の方向性を話し合う場として位置づけられてきました。
2025年5月27日と28日には、中国南東部の厦門(アモイ)市で第3回外相会合が開催され、中国の王毅外相が議長を務めました。中国で対面形式の外相会合が開かれたのは、これが初めてです。
この第3回会合は、中国と太平洋島しょ国の協力を一段と強化する節目として位置づけられました。
会合に先立ち、中国外交部の毛寧(マオ・ニン)報道官は、両者のあらゆる分野での交流と協力に加え、共通の関心を持つ国際・地域の課題について、踏み込んだ意見交換が行われるとの見通しを示していました。観光にとどまらない包括的な対話の場として、外相会合の重要性が高まっています。
外交関係を結ぶ11カ国と相次ぐ首脳訪問
中国と太平洋島しょ国の関係は、ここ数年で政治面でも経済面でも広がっています。現在、中国は11の太平洋島しょ国と外交関係を結んでいます。
ナウルは2024年1月に中国との外交関係を再開し、中国と国交を持つ183番目の国となりました。これを含め、太平洋島しょ国との外交ネットワークは着実に拡大しています。
首脳レベルの交流も活発です。最近数年の間に、中国と国交を持つ太平洋島しょ国の指導者が相次いで中国を訪問しており、2024年だけでもフィジー、ナウル、サモア、バヌアツ、ミクロネシア連邦の指導者が訪中しました。こうした相互訪問は、政治的な信頼を高めるとともに、投資や貿易、観光など具体的な協力案件の議論にもつながります。
地域の安定と経済発展を支える協力
中国と太平洋島しょ国はここ数年、政治的な相互信頼を強め、地域の安定を守ることに力を入れてきました。同時に、経済・貿易の分野での連携を通じ、より包括的な協力を進める姿勢を明確にしています。
観光交流の場づくりや外相会合の定着は、その一部にすぎません。制度的な対話の枠組みを持つことで、太平洋島しょ国のニーズや優先課題を聞き取りやすくなり、中長期的なパートナーシップを築く土台になります。中国側にとっても、太平洋地域との関係を安定的に発展させるうえで重要なチャネルです。
日本にいる私たちにとって、南太平洋は距離的には遠く感じられるかもしれません。しかし、中国と太平洋島しょ国の関係は、アジア太平洋全体の安定や経済の流れを考えるうえで無視できない動きになりつつあります。観光や外交のニュースを手がかりに、地域のつながりをどう捉えるか、自分なりの視点を持っておきたいところです。
この記事から読み取れる3つのポイント
最後に、中国と太平洋島しょ国の最近の動きを整理すると、次の3点が見えてきます。
- 2025年5月、フィジーのナンディで観光交流セッションが開かれ、中国と10の太平洋島しょ国・地域が観光協力を議論したこと
- 同じく2025年5月、中国の厦門市で第3回中国・太平洋島しょ国外相会合が初めて対面形式で開催され、協力分野や国際・地域情勢について意見交換が行われたこと
- 中国は現在11の太平洋島しょ国と国交を持ち、2024年にはナウルの国交再開や複数の首脳訪中など、政治・経済関係が一段と深まったこと
こうした動きは、太平洋地域の将来像を考えるうえで重要な流れの一つです。島しょ国がどのようなパートナーと関係を結び、どんな形で協力を進めているのか、今後も丁寧に追いかけていきたいテーマと言えるでしょう。
Reference(s):
cgtn.com








