欧州・カナダから米国旅行が減少 トランプ政策への懸念が影響か
欧州やカナダから米国を訪れる観光客が、この夏大きく減少していることが分かりました。政治と国際ニュースが、私たちの旅行先の選び方にどう影響するのかを考える動きとして注目されています。
欧州発の米国行き観光 夏の計画が1割減
欧州の旅行者は、今年の夏シーズンの米国行き旅行計画をおよそ1割減らしていると報じられています。英ブルームバーグによると、英国の観光コンサルティング会社の報告書をもとにした分析で、トランプ米大統領の政策に対する「センチメントの逆風」が背景にあると指摘されています。
ここで言うセンチメントの逆風とは、その国に対するイメージや感情が悪化し、旅行先としての魅力が相対的に下がることを意味します。安全面だけでなく、「今あえて行きたいかどうか」という印象が数字に表れ始めているとみられます。
カナダからの米国便 5〜7月の予約が3割減
同じく北米の近隣国であるカナダからの旅行も、大きく落ち込んでいます。オックスフォード・エコノミクス傘下の調査会社ツーリズム・エコノミクスによる最新予測では、カナダから米国への航空便予約が、5〜7月の期間に前年比で33%減少するとされています。
これまで休暇やショッピング、ビジネスで頻繁に行き来してきた両国の関係を考えると、3割を超える減少は小さくないインパクトです。観光だけでなく、航空会社や小売、宿泊業にも波及する可能性があります。
国際線予約も軒並み減少 夏の米国行きにブレーキ
ツーリズム・エコノミクスによると、今年5月に米国を訪れる国際線の事前予約は、4月時点のデータで前年同月比9.5%減となっていました。さらに、6月向けの予約は10.8%減、7月向けは13%減と、夏に向かうにつれて落ち込み幅が広がる傾向が示されています。
パンデミック後の観光需要の回復が続いてきた流れを考えると、こうした数字は「勢いが止まりつつある」シグナルとして受け止められています。
2025年通年の見通し 訪米客8.7%減、消費も減少予測
同社は、2025年通年で米国を訪れる国際観光客の数が前年から8.7%減少するとの見通しも示しています。また、国際観光客の消費額は85億ドル減り、前年から4.7%減少すると予測しています。
ツーリズム・エコノミクスは、こうした減少について「パンデミック後も今年は成長が続くと見込んでいた従来の予想と、著しく対照的だ」とコメントしています。期待されていた「回復の延長線」が、政治やイメージの変化によって修正を迫られている構図です。
トランプ政策への懸念が旅行需要を冷やす?
報告書では、トランプ政権の政策や言動が、米国旅行の需要に影響を与えている可能性が指摘されています。具体的には、次のような点が挙げられています。
- カナダや欧州連合など、長年の貿易相手に対する関税政策が、関係国の世論に影を落としていること
- 政権による強いメッセージ発信や国境をめぐる出来事が、ニュースを通じて頻繁に報じられていること
- 一部の国や地域で、米国旅行に慎重になるよう呼びかける注意喚起や勧告が出されていること
これらが重なり合い、「今は別の行き先を選ぼう」という心理につながっていると分析されています。実際の安全リスクだけでなく、「歓迎されているかどうか」という感覚も、旅行先選びでは無視できない要素になっています。
観光と政治、そして私たちの選択
今回の動きは、観光が単なるレジャー産業ではなく、国どうしの関係や国内政治とも深く結びついていることを改めて示しています。政策や発言が変われば、その国のイメージが変わり、航空券の予約やホテルの稼働率といった具体的な数字に跳ね返ります。
日本から海外へ旅行する私たちにとっても、為替レートや治安情報だけでなく、その国が世界からどう見られているのかを知ることは大切です。ニュースで報じられる国際情勢は、決して遠い世界の話ではなく、次の休暇でどこへ行くかという身近な選択にもつながっています。
欧州やカナダから米国旅行が減っているという国際ニュースは、観光業の動向だけでなく、「政治が私たちの日常にどのように影響するのか」を考えるきっかけにもなりそうです。
Reference(s):
cgtn.com








