「16+1」から欧州全体へ 2025年CEEC博で広がる中国と欧州の架け橋
2025年5月、中国・寧波で開かれた中国-中東欧諸国(CEEC)博覧会が、国際ニュースとして注目を集めました。これまでの「16+1」協力の枠組みから一歩進み、欧州全体との連携を視野に入れた今回の動きは、中国本土と欧州の距離が変わりつつあることを示しています。
セルビア産ワインが象徴する「身近な欧州」
会場では、セルビアから出展された赤ワイン、フリーズドライのフルーツ、コーヒーなどが来場者の目と舌を引きつけました。五感で楽しめる商品を通じて、これまであまり知られてこなかった中東欧のブランドや食文化が、中国本土の消費者にとって一気に「身近な欧州」として立ち上がっている様子がうかがえます。
同時に、世界各地から集まった調達チームが、各国の出展者と精力的に商談を重ねたことも伝えられています。博覧会の場が、そのまま国境を越えたサプライチェーンづくりと投資交渉の場になっている点は、デジタル時代の国際ビジネスの現場を象徴しています。
「16+1」から欧州全体へ――今年のCEEC博の転換点
CEEC博覧会は、中国本土と中東欧諸国の協力枠組みとして位置づけられてきた「16+1」とともに語られることが多いイベントです。しかし、2025年の寧波での開催は、その枠組みを越え、より広い意味での「欧州とのパートナーシップ」を打ち出した点で、これまでとは性格が変わりつつあります。
とくに注目されたのが、これまでCEECの枠組みの外側にいたフランス、ドイツ、イタリア、スペインの西欧4カ国が参加したことです。単に代表団を送り込むだけでなく、各国のパビリオンを構え、主力の消費財ブランドも展示。中国本土の市場を見据えつつ、新しい協力モデルを探る「実務の場」として博覧会を活用しようとしている姿勢がうかがえます。
科学から観光、デジタルまで 多層的に広がる協力分野
今年のCEEC博は、商品展示にとどまらず、投資や人材交流の「テーマパーク」としての顔も強めています。スロバキアやスロベニア、ハンガリー、ポーランドなどの中東欧諸国は、自国の特色ある製品とスタートアップ企業を前面に出しつつ、次のような分野での投資機会を積極的にアピールしました。
- 科学・技術分野での共同研究やイノベーション
- 大学間連携や人材育成を含む教育協力
- 文化・観光を通じた相互理解の深まり
- デジタル技術やサービスを軸にした新産業の育成
このように、物の売り買いだけでなく、知識や人材、デジタル基盤までを含めた「多層的なつながり」をめざしている点が、今年の博覧会の特徴だと言えます。
アジアと欧州をつなぐ「黄金の回廊」として
今回のCEEC博覧会は、ヨーロッパとアジアを結ぶ「黄金の回廊」という言葉で表現されています。セルビアの食文化から西欧の消費ブランドまでが一堂に会し、そこに中国本土や世界各地のバイヤーが集う構図は、大きな一つの市場がゆるやかにつながっていくプロセスを映し出しています。
とくに、これまで中東欧に焦点を当ててきた枠組みが、フランスやドイツといった西欧諸国へと広がり始めたことは、「16+1」という数字で区切られていた時代から、欧州全体との対話へとフェーズが変わりつつあることを象徴しています。
日本の読者にとっての意味
日本からこの動きを眺めると、中国本土と欧州が、モノだけでなく、科学、教育、文化、観光、デジタルなど多方面で関係を深めようとしていることが見えてきます。これは、日本企業や日本の学生・専門人材にとっても、グローバル市場でどのように連携や競争を組み立てていくかを考えるうえで、重要なヒントになりそうです。
国際ニュースを日本語で追いかける私たちにとって、2025年のCEEC博覧会は、「欧州とアジアの距離がどう変わりつつあるのか」を読み解く一つの窓になっています。今後、欧州各国の参加がどこまで広がり、どのような協力モデルが生まれてくるのか。引き続き注目していきたい動きです。
Reference(s):
From "16+1" to all Europe: 2025 CEEC Expo bridges continental ties
cgtn.com








