トランプ米大統領、EU製品に50%関税示唆 欧州が一斉反発
トランプ米大統領がEU(欧州連合)からの輸入品に一律50%の関税を課すべきだと示唆し、欧州委員会やEU加盟国の閣僚らが相次いで懸念と反発を表明しています。米EU通商関係を揺さぶるこの発言は、2025年の世界経済を考えるうえで見逃せない動きです。
トランプ氏の「EU製品50%関税」発言とは
トランプ米大統領は、自身のSNSプラットフォームであるTruth Socialへの投稿で、EUが「通商面で米国を利用してきた」「交渉相手として非常に扱いにくい」と批判しました。そのうえで、EUからの輸入品に対し「2025年6月1日からの開始を前提に、一律50%の関税を勧告する」と表明しました。
報道によれば、米EU間の通商協議は現在こう着状態にあり、ワシントンはEU市場を米企業に広く開放するよう一方的な譲歩を求めているとされています。一方でEU側は、双方に利益をもたらす「ウィンウィン」の合意を目指しており、交渉のスタンスにギャップがあることが浮き彫りになっています。
欧州委員会:「貿易は脅しではなく相互尊重で」
EUの通商・経済安全保障を担当するマロシュ・シェフチョビッチ欧州委員は、SNSのXでトランプ氏の発言に反応しました。
シェフチョビッチ氏は、EUは自らの利益を守る用意があると強調したうえで、「二国間貿易は、脅しではなく相互の敬意に基づいて行われるべきだ」と指摘しました。さらに、「EUは交渉に全面的に関与しており、双方にとって公平な合意を目指している。欧州委員会は誠意をもって協議を続ける用意がある」と述べ、対話による解決姿勢を前面に打ち出しました。
欧州議会:「協力なら歓迎、言いなりはごめんだ」
欧州議会の国際貿易委員会の委員長を務めるベルント・ラング氏も、SNSのBlueskyに投稿し対応方針を示しました。ラング氏によると、EU議会の議員団は近くワシントンを訪問し、EUの通商政策に関する「誤解を解きたい」としています。
ラング氏は、「トランプ氏が本当に協力と交渉を求めているのであれば、EUの扉は常に開かれている」と述べる一方で、「もし単に自らの要求に従うことだけを求めているのなら、その扉は間違っている」と牽制しました。また、EUが米国を通商面で「利用するために作られた」とするトランプ氏の主張を明確に否定し、EUの存在意義や通商ルールをめぐる「物語」を巡っても対立が見られます。
加盟国の懸念:アイルランド・フランス・ドイツの声
アイルランド首相「非常に残念で、関係を損なう」
アイルランドのミホル・マーティン首相は、トランプ氏の発表を「非常に残念だ」と表現しました。マーティン氏は、これほど高い関税は「世界で最もダイナミックな貿易関係の一つを深刻に傷つける」と警告し、米EU間の関係だけでなく、世界の市場全体にも混乱をもたらしかねないと懸念を示しました。
フランス「エスカレーションは望まないが、対抗措置も視野」
フランスの対外貿易担当閣外相ローラン・サン=マルタン氏も、テレビ局のインタビューでトランプ氏の関税警告を批判しました。サン=マルタン氏は、この種の関税恫喝は「交渉期間中に何の助けにもならない」と指摘し、緊張を高めない「デエスカレーション(緊張緩和)」の重要性を強調しました。
その一方で、EUとして重い関税で対抗することは「望ましい結果ではない」としつつも、「必要であれば、力のバランスを取り戻すための報復措置を取る用意がある」と述べ、EUも黙って受け入れるわけではないという姿勢を示しました。
ドイツ「関税戦争に勝者はいない」
ドイツの経済・エネルギー相カテリーナ・ライヒェ氏は、「関税を巡る対立に勝者はいない」と述べ、高関税は米国とEUの双方を同じように傷つけると警告しました。短期的には保護される産業があるように見えても、長期的には貿易量の縮小や投資の先送りを通じて、双方の成長を押し下げる可能性があるという見方です。
なぜ大きなニュースなのか:50%関税の重さ
「50%関税」と聞いても、数字だけではイメージしにくいかもしれません。ただ、これは通常の関税水準と比べても極めて高く、企業や消費者への影響は無視できません。
仮に実際に導入されれば、次のような影響が懸念されます。
- EUから米国への輸出企業の収益が圧迫され、投資や雇用に影響が及ぶ可能性
- 米国内の輸入企業にとって仕入れコストが跳ね上がり、価格転嫁を迫られるリスク
- 最終的に、消費者価格の上昇や選択肢の減少につながるおそれ
- EU側の報復関税を招き、互いに関税を掛け合う「貿易戦争」に発展するリスク
- 世界のサプライチェーン(供給網)の再編が加速し、関連する第三国・地域にも波及する可能性
こうした連鎖を懸念して、多くのEU関係者が「脅しではなく、相互尊重に基づく交渉」を重ねて訴えているといえます。
これからの焦点:対立か、建設的な交渉か
今回のやり取りから見えるのは、米側が強い圧力を通じて譲歩を引き出そうとする姿勢と、EU側が「脅しではなく対話」を強調しながらも、自らの利益を守るためには対抗措置も辞さないという構図です。
とはいえ、シェフチョビッチ氏やラング氏の発言からは、EU側が協力的な解決策を模索していることも読み取れます。「協力と交渉」であれば扉は開いているが、「要求の丸のみ」はしない──その線引きが、これからの通商協議の成否を左右しそうです。
2025年の国際経済は、地政学的緊張やサプライチェーンの見直しなど不確実性が高まる中で進んでいます。米EUという大きな経済圏同士の関税をめぐる動きは、日本を含む世界の企業や市場にとっても重要な関心事であり続けるでしょう。
SNSで議論したい3つのポイント
- 関税という「圧力」は、どこまで交渉戦術として許容されるべきなのでしょうか。
- EUが強調する「相互尊重」の貿易とは、具体的にどのような条件を意味すると考えられるでしょうか。
- 高関税のコストを最終的に負担するのは、企業なのか、それとも私たち消費者なのか──どのように見ますか。
身近なモノの値段や、企業の投資・雇用にもつながり得るテーマです。気になったポイントがあれば、ぜひSNSで意見や感想をシェアしてみてください。
Reference(s):
cgtn.com








