世界と取引する中国・義烏 米国の関税「脅し」が怖くない理由 video poster
米国による関税引き上げの「脅し」がくり返されるなかで、中国浙江省の都市・義烏はなぜあまり動じていないのでしょうか。「世界のスーパー」と呼ばれる街の姿から、グローバル時代のリスク分散を考えます。
義烏は「世界のスーパー」
中国東部の浙江省にある義烏(イーウー)は、世界中の小さな日用品が集まる巨大な卸売拠点です。おもちゃや靴、祭り用の飾り、宗教用品、そして洋服のボタンや糸、ファスナーのような細かな部品まで、あらゆる小さな商品がそろうことから、「世界のスーパー」とも呼ばれています。
私たちが気づかないうちに使っている製品のどこかに、この街でつくられた部品が入り込んでいるかもしれません。目立たないボタンや糸一本まで、義烏発の「小さなモノ」が世界中の暮らしを支えています。
200以上の国と地域とつながる街
義烏には、200以上の国と地域からビジネスパーソンが訪れるとされ、世界中の買い手と売り手が出会う場になっています。街を歩けば、さまざまな言語が飛び交い、小さな商品を通じて世界の消費者につながるネットワークが日々つくられています。
この「世界市場への窓口」としての役割こそが、義烏を単なる地方都市ではなく、グローバルなサプライチェーンの重要なハブに押し上げているのです。
米国の関税の「脅し」、義烏はどう見ているか
米国政府はここ数年、輸入品への関税を引き上げる、あるいは引き上げると示唆する動きを断続的に続けてきました。こうした関税をめぐるオン・オフの駆け引きは、世界の貿易に不確実性をもたらし、多くの輸出企業にとって頭の痛い問題になっています。
では、義烏から世界へ商品を送り出している輸出企業は、この関税リスクをどう受け止めているのでしょうか。ある国際メディアの記者が義烏を訪れ、中国本土と海外から来たビジネスパーソンに取材し、米国発の関税をめぐる「ドラマ」が実際の取引をどの程度揺らしているのかを探りました。
その背景には、「世界と広く取引していれば、特定の一国の関税の脅しは相対的に怖くなくなる」という視点があります。義烏の企業にとって、米国市場は重要な相手先でありながらも、200以上ある取引先国・地域の中の一つにすぎないという構図が見えてきます。
世界と取引することが生む「安心感」
義烏のビジネスモデルの特徴は、一つの巨大市場だけに頼るのではなく、200以上の国と地域に向けて幅広く商品を供給している点にあります。米国向けの需要が関税で揺らいでも、他の地域との取引で全体のビジネスを支えることができます。
このようなグローバルな取引網には、次のような利点があります。
- 特定の国の政策変更に左右されにくくなる
- ある地域で需要が落ち込んでも、別の地域でカバーしやすい
- 多様な市場のニーズを学び、商品やサービスの幅を広げられる
結果として、米国の関税引き上げの「脅し」は無視できないリスクでありながら、「世界中と取引している」という事実が、義烏の企業に一定の安心感と交渉力を与えているといえます。
あなたの身近にも「義烏製」があるかもしれない
私たちが日常で手にしている商品の裏側には、義烏のような都市の存在があります。クリスマスや春節などの祭りで使う飾り、宗教的な儀式に用いる小物、日々身につけている衣服のボタンやファスナー。その一部は、この街から世界各地へと出荷されたものかもしれません。
普段意識しない小さな部品こそ、世界のサプライチェーンを支える縁の下の力持ちです。義烏は、その象徴的な存在だといえるでしょう。
関税リスク時代に、日本企業が学べること
米国の関税政策が揺れ動く現在、義烏の事例は、日本を含む各国の企業にとっても示唆に富んでいます。一つの国や地域の需要に過度に依存するビジネスは、政策や為替、地政学的なリスクに弱くなりがちです。
一方で、取引先となる国と地域を多様化し、小さくても多様な市場とつながることで、リスクを分散しながら成長のチャンスを広げることができます。「世界のスーパー」と呼ばれる義烏のビジネスモデルは、関税リスクが高まる時代において、グローバルな視野で事業を組み立てる重要性を静かに物語っています。
Reference(s):
U.S. tariff threats less scary when you trade with the whole world
cgtn.com








