米連邦控訴裁がトランプ関税を一時復活 大統領権限巡り法廷闘争
米国の連邦控訴裁判所が、国際貿易裁判所によるトランプ大統領の報復関税無効判決を一時停止し、関税を事実上復活させました。大統領の関税権限を巡る攻防が新たな局面を迎えています。
何が起きたのか
米国の国際貿易裁判所は水曜日、トランプ大統領が発動した報復関税やその他の追加関税について無効と判断しました。しかしその翌日、連邦巡回区控訴裁判所が、政権側の申し立てを受けてこの判決の効力を一時的に停止し、関税の適用が続くことになりました。
控訴裁は、国際貿易裁判所の判決について「本控訴裁判所が提出書面を検討する間、一時的に執行を停止する」とする命令を出しました。現地メディアは、トランプ政権にとって一息つける時間が生まれたと伝えています。
争点は「大統領の権限」
トランプ大統領は、関税発動の法的根拠として「国際緊急経済権限法」(International Emergency Economic Powers Act)を用いてきました。しかし国際貿易裁判所の判事たちは、この法律は大統領に「無制限の権限」を与えるものではないと指摘し、今回の関税措置を退けました。
無効とされたのは、トランプ大統領が4月初めに発動した一連の報復関税で、判決はさらに、政権が問題となっている関税を今後変更することも禁じていました。
これに対しホワイトハウスのカロライン・レヴィット報道官は、「大統領は権限の範囲内で行動している」と強調しました。レヴィット氏は記者会見で「大統領が行ってきた全ての措置は、既に我が国の法律によって与えられている権限に基づくものだ」と述べ、政権の対応は合法だとの立場を示しました。
政権側は即時控訴 最高裁も視野に
トランプ政権は、国際貿易裁判所の判決が出た直後に控訴の意向を示し、判決の執行を差し止めるよう同裁判所に求めました。同時に、連邦控訴裁判所に対しても「暫定的な救済」を要請し、その結果として今回の一時停止命令が出ています。
レヴィット報道官は「最高裁がこれに終止符を打たなければならない」と述べ、最終的には連邦最高裁判所での決着を視野に入れている姿勢もにじませました。また、「これらの判事たちは、米国の信頼性を国際社会の中で損なおうとしている」として、判決への強い不満も表明しています。
別の連邦地裁も関税を「違法」と判断
同じ木曜日には、ワシントンD.C.の連邦地裁でも別の動きがありました。ルドルフ・コントレラス連邦地裁判事が、教育玩具メーカー2社に対してトランプ政権が関税を徴収することを暫定的に差し止める命令を出したのです。
対象となったのは、Learning Resources Inc.とhand2mind Inc.の2社で、多くの製品をアジアで生産しています。コントレラス判事はこれらの関税を「違法」と表現しつつも、自身の命令の効力を14日間停止すると決定しました。この猶予期間のうちに、当事者が控訴裁判所に不服を申し立てることができるようにするためです。
アジア生産企業と日本への含意
今回、関税の差し止めを勝ち取った教育玩具メーカー2社は、製品の大半をアジアで製造しているとされています。こうした企業は、米国の関税政策の変化によってコスト構造やサプライチェーンが大きく揺さぶられかねません。
アジアに生産拠点を置く日本企業や、日本から米国向けに部品や素材を供給する企業にとっても、米国の関税政策とそれを巡る司法判断は無視できない要素です。政策の振れ幅が大きくなればなるほど、長期契約や投資計画を立てる際の不確実性が増していきます。
これから何に注目すべきか
今回の一連の動きは、関税という経済政策の手段を巡って、行政府と司法がどのようにバランスを取るのかを浮き彫りにしています。今後の焦点として、次のような点が挙げられます。
- 連邦控訴裁判所が、国際貿易裁判所の判断を最終的に支持するのか、それとも政権側の主張を認めるのか
- ホワイトハウスが示唆するように、連邦最高裁判所が関与する段階まで争いが続くのか
- アジア生産に依存する他の輸入企業も相次いで提訴し、関税を巡る訴訟が広がるのかどうか
関税を通じた通商政策は、米国内だけでなく、世界のサプライチェーンや企業戦略にも影響します。日本の読者にとっても、米国の司法判断と大統領の権限を巡るせめぎ合いが、今後のビジネス環境にどのような形で跳ね返ってくるのかを見守る必要がありそうです。
Reference(s):
cgtn.com








