国際ニュースで注目 2025年のゴールドラッシュはどこまで続く?
2025年、国際ニュースでも大きく取り上げられているのが「ゴールドラッシュ」です。金のスポット価格は年初以降に1オンス=3,433.55ドルまで上昇し、1978年以来の歴史的高値をつけました。2025年5月25日時点で、ロンドン地金市場協会(LBMA)の金価格にもとづく1年リターンは41.8%と、世界の株式、債券、商品を大きく上回っています。では、このゴールドラッシュはどこまで続くのでしょうか。
今、金投資に何が起きているのか
金は「人類史上もっとも普遍的な価値の尺度」とも言われ、金条や金貨の現物購入だけでなく、銀行口座を通じた「ペーパーゴールド」、金価格に連動する上場投資信託(ETF)など、さまざまな形で投資の対象になっています。2025年に入ってからは、こうした金投資への個人マネーの流入が世界的に熱を帯びています。
2025年5月25日時点の1年リターンを比べると、金(41.8%)は、世界の株式を代表するMSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス(12.2%)、債券のBBG総合債券インデックス(6.5%)、商品全体のBBG商品インデックス(2.37%)を大きく上回りました。数字だけを見ると、「今こそ金だ」と感じる人も多いかもしれません。
しかし金にもはっきりとしたリスクがある
一方で、金の価格変動は決して小さくありません。ワールド・ゴールド・カウンシルのデータによると、過去12カ月のLBMA金価格のボラティリティ(値動きの大きさ、標準偏差)は15.02%でした。これは、株式(ACWI、15.59%)よりやや低いものの、商品全体(BBG商品インデックス、13.49%)より高くなっています。
つまり、金投資も株式や商品と同じように、タイミング次第では短期的に大きく値下がりする可能性があるということです。特に、経験の浅い投資家がレバレッジ(借り入れなどを使って手元資金以上の取引を行うこと)を用いて取引した場合、損失が急速に膨らむおそれがあります。
ここで話題にしているのは、金鉱山会社や宝飾関連企業の株式や社債ではなく、金そのものの価格に連動する投資手段です。その点をふまえてリスクを考える必要があります。
金価格を動かしてきた3つの力
長期トレンドと金利
金価格の長期的な方向性を左右してきた大きな要因のひとつが、各国の政策金利です。政策金利が低くなると、市場に出回る資金量が増え、インフレ(物価上昇)の可能性が高まります。すると投資家は、現金や債券などから価値保存の手段とされる金へと資金を移しやすくなります。
実際に、2020年1月から2022年にかけて、金価格は18.6%上昇しました。この時期、米連邦準備制度理事会(FRB)、欧州中央銀行、日本銀行はそれぞれ政策金利を0.25%、0.5%、マイナス0.01%へと引き下げていました。低金利と豊富な流動性が、金価格の押し上げ要因になったと考えられます。
インフレの「現実化」とさらなる上昇
その後の2022年から2024年にかけて、主要な先進経済で実際にインフレが高まりました。米国、欧州連合、日本はいずれも1997年以来の水準となる物価上昇率(それぞれ9.1%、10.6%、4.3%)を経験し、その局面で金価格はさらに42.8%急騰しました。ここには、インフレだけでなく、地政学的な対立や紛争といった不確実性の高まりも重なっていたとされています。
インフレが意識される局面では、「通貨の価値が目減りするかもしれない」という不安から、金のような実物資産に注目が集まりやすくなります。これが、ここ数年のゴールドラッシュを後押ししてきた構図です。
では、2025年のゴールドラッシュはいつまで続くのか
2025年に入ってからの金価格の急騰は、こうした低金利とインフレ、そして地政学リスクの延長線上にある動きと見ることができます。ただし、「いつまで続くのか」を正確に言い当てることは、プロの投資家であっても困難です。
金価格の今後を左右しうるポイントとして、少なくとも次のような要因が挙げられます。
- 主要国の政策金利が今後どう動くか(利下げが続くのか、それとも引き締めに転じるのか)
- インフレ率やインフレ期待が落ち着くのか、それとも高止まりするのか
- 地政学的な緊張や金融市場の不安定さが強まるのか、緩和に向かうのか
これらのうち、どのシナリオが現実に近いかによって、金価格の方向性も変わってきます。たとえば、インフレが落ち着き、金利が相対的に高い状態が続けば、利息を生まない金の魅力はやや薄れるかもしれません。一方で、不安定な状況が長引けば、「安全資産」としての金に再び資金が流入しやすくなります。
個人投資家が押さえておきたい3つの視点
2025年のゴールドラッシュを前に、個人投資家が考えておきたいポイントを整理してみます。
- 1. 「一攫千金」を狙わず、時間軸を決める
金価格は過去数年で大きく上昇しましたが、その反動として調整局面が来る可能性もあります。短期の値動きではなく、自分がどれくらいの期間保有するつもりなのかをあらかじめ決めておくことが重要です。 - 2. ポートフォリオ全体の中で位置づける
金は、株式や債券と異なる値動きをすることで、資産全体の値動きをならす役割も期待できます。ただし、比率を高めすぎると、逆に金価格の変動リスクを大きく抱えることになります。他の資産とのバランスを意識したいところです。 - 3. レバレッジ商品や短期売買には慎重に
金ETFや先物など、少ない資金で大きな取引ができる商品も存在しますが、値動きが逆に振れた場合の損失も拡大します。特に経験の浅い段階では、レバレッジ取引を控え、まずは値動きに慣れることが無難です。
「読みやすいのに考えさせられる」まとめ
2025年の国際ニュースで話題となっているゴールドラッシュは、低金利とインフレ、そして地政学リスクが重なった結果として生じています。2025年5月25日時点までの1年リターンは41.8%と、株式や債券、商品を大きく上回る驚異的な数字でしたが、その裏側には株式と同程度、商品よりも大きい値動きのリスクが潜んでいます。
金は、長い歴史を持つ価値保存手段であり、分散投資の一部として活用することには意味があります。ただし、「今がブームだから」と勢いで飛び乗る前に、自分のリスク許容度や投資期間、ポートフォリオ全体のバランスを一度立ち止まって考えてみることが、2025年のゴールドラッシュとうまく付き合うための第一歩と言えそうです。
Reference(s):
cgtn.com








