中国の消費財「以旧換新」、5カ月で1.1兆元 何が起きている?
中国の全国的な消費財「以旧換新」プログラムが、2025年1〜5月のわずか5カ月で1.1兆元(約1531億ドル)の販売を生み出しました。 中国商務部のデータをもとに伝えたCGTNの分析から、どんな分野で買い替えが進み、何が見えてくるのかを整理します。
1.1兆元の「以旧換新」、対象となった主な消費財
商務部の統計によると、今回の消費財買い替えプログラムによる販売額は、2025年1〜5月の累計で1.1兆元に達しました。米ドル換算では約1531億ドルで、中国の内需を下支えする規模の取り組みとなっています。
国際メディアのCGTNは、こうした「以旧換新」の販売動向を、以下のような分野別に分析しています。
- 自動車などの車両
- エアコンや冷蔵庫などの家庭用電気製品
- スマートフォンを含む携帯電話
- 電動自転車
- 家具や内装材などのインテリア関連製品
- 調理器具などのキッチン用品
- バスルーム関連の設備や用品
いずれも日常生活に密着した消費財で、古くなった製品を下取りに出し、新しい製品に買い替えることで販売を押し上げています。中国ではこうした買い替え促進策を総称して「以旧換新」と呼びます。
買い替えプログラムが重視される背景
2025年12月現在、世界経済は物価や金利、地政学リスクなど不確実性が続いています。その中で、中国が全国規模の「以旧換新」を進めるのは、安定した消費の下支えと生活水準の向上を同時に図る狙いがあるとみられます。
対象となっている自動車や家電、スマートフォンなどは単価が比較的高い耐久消費財です。買い替えが一巡すると、関連する製造、物流、販売、リサイクルといった幅広い産業に波及効果が広がります。
今回のプログラムの具体的な仕組みは公表データからは限られますが、一般に、各国で導入される「下取り・買い替え」型の政策は、旧製品の引き取りや割引、分かりやすい価格表示などを通じて、消費者が古い製品を手放しやすくする工夫がされています。
環境負荷の低減やデジタル化にもつながる動き
自動車や家電、電動自転車の買い替えが進むことは、省エネ性能の高い製品や電動化への移行を後押しすると期待されています。結果として、家庭や都市でのエネルギー消費を効率化し、環境負荷の低減にもつながる可能性があります。
スマートフォンやスマート家電のような分野では、新しい製品への買い替えを通じて、キャッシュレス決済やオンラインサービスの利用がさらに進みます。消費のデジタル化が加速することで、新たなサービス産業の成長にもつながり得ます。
日本のビジネスと生活者にとっての意味
中国の消費財「以旧換新」が1.1兆元規模に達したことは、日本企業にとっても無関係ではありません。自動車部品、家電関連部材、スマートフォン向け部品、日用品など、多くの分野で日本からの輸出や技術協力が行われているためです。
中国の消費者が何を重視して買い替えを行っているのかは、日本企業が製品設計やマーケティング戦略を検討する際の重要なヒントになります。省エネ性やデザイン性、アプリとの連携といった観点が、今後さらに重視される可能性があります。
また、日本の生活者にとっても、「長く使う」ことと「新しい技術を取り入れること」をどうバランスさせるかという、身近なテーマを考えるきっかけになります。中国の消費動向を知ることは、自分たちの暮らし方や消費のあり方を見直すヒントにもなります。
今後の注目ポイント
2025年の残りの期間を含め、通年で「以旧換新」による販売がどこまで伸びるのかは、今後公表されるデータを待つ必要があります。ただ、今年1〜5月の時点で1.1兆元という規模に達していることは、中国の消費市場の厚みを示すものと言えます。
今後の動きを追ううえでは、次のような点に注目していくとよさそうです。
- 自動車や家電など、どの分野の買い替えが特に伸びるのか
- 省エネや電動化など、環境面での効果がどこまで広がるか
- オンラインと店舗販売を組み合わせた新しい販売モデルがどのように定着するか
中国商務部のデータとCGTNの分析が示すように、「以旧換新」は単なる買い替えキャンペーンではなく、消費構造の変化や産業構造の高度化にもつながる動きとして位置づけられています。日本の読者にとっても、アジアの消費トレンドを読み解くうえで、引き続き注目したいテーマです。
Reference(s):
China's consumer goods trade-ins spur 1.1 trillion yuan in sales
cgtn.com








