中国・丹陽市の眼鏡産業 世界レンズ工場の今を追う国際ニュース
中国・江蘇省の丹陽市が、人口100万人に満たない地方都市でありながら、世界の眼鏡レンズ生産を支える「見えない主役」になっていることをご存じでしょうか。世界の光学レンズの約半分、中国全体の75%を供給するこの街の動きは、国際ニュースとしても見逃せません。
本記事では、丹陽市がどのようにして「世界の眼鏡の都」となり、近年の関税や市場環境の変化の中で、どのように産業の再発明を進めているのかを、日本語ニュースとしてわかりやすく整理します。
小さな都市が「世界のレンズ工場」になるまで
丹陽市は、中国東部の江蘇省にある県級市で、人口は100万人未満。それでも、眼鏡やレンズ関連の企業が約1,600社集積し、5万人以上がこの分野で働いています。年間の生産額は約200億元(約27.9億ドル)に迫り、規模の大きさが数字からも見えてきます。
こうした集積により、丹陽市は今や世界の眼科用レンズ生産の中心地とされ、世界の光学レンズの約半分、中国国内生産の75%を担っています。地方都市でありながら、世界の視界を支える存在だと言っても過言ではありません。
週に一度通うトルコのバイヤーが語る魅力
丹陽市の魅力は、数字だけでは語り尽くせません。眼鏡業界で半世紀の経験を持つトルコのビジネスマンは「ほぼ毎週、新しい商品を仕入れにここへ来る」と話します。
彼が何度も足を運ぶ理由は、安定した品質と手頃な価格、そして訪れるたびに新しい発見がある「進化し続ける産地」であることだといいます。これは、伝統的な大量生産の枠にとどまらず、企業側が常に新しいアイデアや製品を模索していることの証しでもあります。
数字で見る丹陽市の眼鏡クラスター
丹陽市の眼鏡産業の姿を、改めて数字で整理してみます。
- 人口:100万人未満の県級市
- 眼鏡産業関連企業:約1,600社
- 雇用:5万人超が眼鏡関連で就業
- 年間生産額:約200億元(約27.9億ドル)
- 世界の光学レンズ供給:全体の約50%
- 中国全体の光学レンズ供給:75%を占める
このように、比較的小さな都市でありながら、世界のサプライチェーンに与える影響はきわめて大きくなっています。
伝統的製造業からイノベーション重視へ
丹陽市は、従来の低コスト製造の成功に安住することなく、「イノベーション駆動のブレークスルー」を追求してきました。現地企業は、品質やサービスの向上、新しい提案型の商品づくりなどを通じて、付加価値を高めようとしています。
こうした取り組みが後押しとなり、輸出注文は着実に増加してきました。伝統的な加工型の製造拠点というイメージから、技術と企画力で勝負する産地へと、少しずつ軸足を移しているとも言えます。
関税の逆風の中でも堅調な輸出
丹陽市の眼鏡企業は、2024年上半期の輸出入総額が約25億元に達し、前年同期比で2.8%の増加となりました。世界経済の不確実性が続く中でも、数字としては堅調な伸びを示しています。
一方で、米国による関税引き上げの影響で、一部企業では売上にマイナスの影響も出ています。それでも現地の企業は、複数の戦略を組み合わせてこの逆風に対応し、自信を保っています。
企業ごとに、市場の分散化や戦略の見直しなど、リスクを分散する方向性が意識されていると考えられます。関税という外部要因に左右されにくい体質づくりが、今後さらに重要になっていきそうです。
世界の視界を支える街から見えるもの
私たちが日常的にかけている眼鏡のレンズの一部は、実は丹陽市から世界へと送り出されている可能性があります。中国の一地方都市が、世界の視界とビジネスを支えるインフラの一端を担っていると考えると、その存在は意外と身近です。
丹陽市の事例は、次のような問いを私たちに投げかけています。
- 地方都市がグローバル産業の中心地になるために、何が必要なのか
- 貿易摩擦や関税の変化があっても、産地が競争力を維持・強化するにはどうすべきか
- 日本やアジアの他の製造拠点は、どのような点で学べるのか
国際ニュースとして丹陽市の動きを追うことは、一つの産地の成功物語を知るだけでなく、グローバル経済の構造変化や、製造業のこれからを考えるヒントにもなります。
スマートフォンで記事を読む私たちのすぐそばで、世界の「視界」を支える産地がどのように変化を続けているのか。今後も丹陽市の動向は、静かに、しかし確実に注目を集めていきそうです。
Reference(s):
Through the lens: How China's eyewear capital smartly reinvents itself
cgtn.com








