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米企業はなぜ中国のサプライチェーンから離れられないのか
ジュネーブでの中国・米国経済貿易会合をきっかけに関税が見直され、両国の緊張がやや和らぐ中、米国の輸入企業が中国への発注を急増させています。シェンチェンや義烏の輸出企業に殺到するこの動きは、中国のサプライチェーンが依然として世界経済の中核であることを映し出しています。
ジュネーブ会合と関税見直しで何が変わったのか
最近、ジュネーブで開かれた中国・米国の経済貿易会合では、双方が関税の一部を調整する動きを見せ、貿易をめぐる緊張が目に見えて緩和しました。これにより、米中貿易の先行きに慎重だった企業にも、一定の安心感が広がりつつあります。
特に、追加関税の負担を懸念して発注を控えていた米国の輸入企業にとって、今回の関税調整は仕入れコストとリスクを見直すきっかけとなりました。その結果として、在庫を一気に積み増そうとする動きが強まっています。
シェンチェンと義烏に届く「至急発注」
こうした変化を最も敏感に感じているのが、中国の輸出拠点です。広東省のシェンチェンや浙江省の義烏といった都市の輸出企業には、米国のバイヤーから至急対応を求める問い合わせが相次いでいます。
これらの都市は、多様な製品を短期間で大量に供給できることで知られています。米国の輸入企業にとって、需要の回復や商戦期など、タイミングを逃せない局面で頼りにせざるを得ない相手だと言えます。
浮かび上がる「中国の供給網なしでは回らない」現実
国際メディアCGTNの朱珠記者は、米国の輸入企業によるこの発注ラッシュについて、中国のサプライチェーンが世界にとってどれほど重要かを示していると指摘しています。
米企業が中国から完全に調達先を切り替えられない背景には、いくつかの要素があります。
- 生産規模の大きさと、短期間で大量生産できる体制
- 部品・素材・物流が一体となった産業クラスターの存在
- 長年の取引関係によって築かれた信頼とノウハウ
こうした要素は短期間では再構築が難しく、関税や政治的な緊張があっても、実務の現場では中国との取引を維持せざるを得ない状況が続いています。
今回の動きが示す三つのポイント
米国バイヤーの「駆け込み発注」からは、2025年現在の米中経済関係について、次のようなポイントが見えてきます。
- 関税調整など政策のシグナルが、企業の発注行動をすばやく変える
- サプライチェーンの再編は進んでいても、中国の存在感は依然として大きい
- 貿易の現場は、政治的な緊張と実務上の必要の間でバランスを取り続けている
日本やアジアの企業にとっての意味
米国企業が中国の供給網に依存し続けている現実は、日本やアジアの企業にとっても無関係ではありません。中国と米国の間で貿易が動き出せば、その周辺のアジア地域にも、生産や物流の波及効果が及びます。
日本企業にとっては、次のような視点が重要になりそうです。
- 中国との取引を前提にしつつ、どこまで調達先を分散するかを見直す
- シェンチェンや義烏など、主要な拠点との連携体制をより柔軟に整える
- 米中間の政策変化に敏感に反応しつつ、短期と中長期の両方でサプライチェーン戦略を考える
「脱中国」ではなく「どう付き合うか」の時代へ
米国企業による発注ラッシュは、中国からの完全な離脱ではなく、条件が整えば再び取引を拡大するという現実的な動きを示しています。
関税や政治情勢が変化しても、中国のサプライチェーンが世界経済にとって重要であるという構図は、2025年現在も簡単には変わりそうにありません。今後問われるのは、「中国と距離を置くかどうか」ではなく、「どのような形で関わり続けるか」を戦略的に考えることだと言えます。
Reference(s):
US buyers in a hurry: Why US firms can't quit China's supply chain
cgtn.com








