米中経済・通商協議がロンドンで初会合 何立峰副首相「対話と互恵」を強調
ロンドンで開かれた米中経済・通商協議の初会合で、中国の何立峰(He Lifeng)副首相が、米中の通商問題は「対等な対話」と「互恵的な協力」によって解決すべきだと強調しました。米中経済関係が世界経済に大きな影響を持つ中で、この動きは何を意味するのでしょうか。
ロンドンで始動した新たな米中経済・通商対話
何立峰副首相は、中国側の米国との経済・通商分野の主管として、ロンドンで開かれた米中「経済・通商協議メカニズム」の初会合に臨みました。米国側からは、財務長官のスコット・ベッセント氏、商務長官のハワード・ルトニック氏、通商代表のジェイミソン・グリア氏が出席しました。
会合は複数日にわたり行われ、双方は率直かつ踏み込んだ議論を行い、関心を共有する幅広い経済・通商問題について意見を交わしました。
今回の会合で示された合意内容
中国側の発表によると、今回の会合では次のような点で原則的な合意が得られたとされています。
- 今年6月5日に行われた両国首脳の電話会談で得られた「重要なコンセンサス(共通認識)」を着実に実行に移すこと。
- ジュネーブでの経済・通商協議の成果を固めるための「措置の枠組み」について、原則的な合意に達したこと。
- 双方が抱える経済・通商上の懸念について、新たな進展があったこと。
何副首相は、今回の会合を「今年6月5日の両国首脳による戦略的コンセンサスに基づく重要な協議」と位置づけ、中国の立場は一貫して明確だと述べました。
何立峰副首相が強調した3つのメッセージ
1. 「協力は双方に利益、対立は双方に損失」
何副首相は、米中の経済・通商関係について「本質的に互恵・ウィンウィンの関係だ」と述べました。つまり、協力すれば双方が利益を得られる一方で、対立すれば双方が傷つくという認識を改めて示した形です。
これは、世界最大級の経済規模を持つ米国と中国の関係が、単なる二国間問題にとどまらず、グローバルな供給や投資、雇用にも波及するという現実を踏まえたメッセージだと言えます。
2. 「貿易戦争に勝者はいない」
何副首相はさらに、「貿易戦争に勝者はいない」と明言しました。中国は対立を望まないが、対立を恐れることもないと述べ、対話を重視しつつも、自国の原則や利益は守る姿勢をにじませています。
この発言は、関税の応酬や制限的な措置が長期化することへの警戒感と、そうした対立が世界経済全体に悪影響を与えかねないという問題意識を示していると受け止められます。
3. 「対等な対話」と「互恵的な協力」を通じた解決
何副首相は、米中の通商摩擦について、解決の道筋として「対等な対話」と「互恵的な協力」を重ねて強調しました。中国は協議に臨む「誠意」は持っているが、「守るべき原則もある」と述べ、双方が約束したことを行動で示すべきだと米国側に呼びかけています。
具体的には、両国首脳が今年6月5日の電話会談で合意した内容を着実に履行し、既に得られているコンセンサスを実際の政策や措置に反映させることが重要だと指摘しました。
「メカニズム」をどう生かすか:今後の宿題
何副首相は今後について、今回の会合で立ち上がった米中経済・通商協議メカニズムをより効果的に活用し、次のような役割を持たせるべきだと述べました。
- 合意事項の履行状況を確認し、「共通認識」を具体的な行動に落とし込む場とする。
- 誤解や認識のギャップを減らし、相互理解と信頼を積み上げるチャンネルとする。
- 協力できる分野を広げ、対立が生じ得る領域を管理するための対話の窓口とする。
さらに、両国がコミュニケーションと協議を継続し、米中の経済・通商関係の「安定的で持続的な発展」を促すことで、世界経済により大きな「確実性」と「安定」をもたらしたいと強調しました。
米国側の評価:関係安定化へ「前向きな成果」
米国側も今回の会合について、「前向きな成果」が得られたと評価しました。発表によると、米国側は今回の協議が二国間の経済・通商関係を一段と安定させたとしたうえで、今年6月5日の首脳電話会談の「要請」に沿って、中国側と同じ方向を向きながら歩んでいくと述べました。
また、今回の会合で得られたコンセンサスを共同で実行に移すと表明しており、今後の具体的な協議の積み重ねが注目されます。
日本の読者にとっての意味:世界経済の「空気」を左右
米中の通商交渉は、一見すると日本からは遠い話のようにも思えますが、実際には日本企業や投資家、そして働く私たちの生活にも間接的な影響を与えうるテーマです。
- 企業活動への影響:米中間の摩擦が和らげば、サプライチェーンや輸出入の不透明感が軽減され、企業の中長期的な投資判断がしやすくなります。
- 市場と為替の安定:米中関係の緊張が高まる局面では、世界の株式市場や為替が大きく動きやすくなります。対話の継続は、こうしたボラティリティ(値動きの激しさ)を抑える要因になりえます。
- 国際協調の行方:経済・通商をめぐる対話が軌道に乗れば、気候変動やデジタル経済など、他のグローバル課題での協力にもプラスに働く可能性があります。
今回のロンドンでの会合は、まだ「スタート地点」に立ったばかりとも言えます。通商摩擦に「勝者はいない」とする認識を実際の政策にどう反映させるのか。米中の選択は、世界経済の行方だけでなく、私たちの日常の安心感にも静かに影響していきます。
対立よりも協力を重視するメッセージが、今後どこまで具体的な行動につながるのか。次回以降の協議の内容と、両国がどのように約束を履行していくのかが、2025年以降の国際経済を考えるうえで一つの重要な視点になりそうです。
Reference(s):
He Lifeng urges dialogue, cooperation on China-U.S. trade disputes
cgtn.com








