米国株、小幅続伸 中国・米国の通商協議に期待と警戒が交錯
中国と米国の通商協議への期待感が強まり、米国株式市場では今年6月上旬の火曜日、主要株価指数がそろって上昇しました。投資家心理は改善する一方で、世界機関や一部ストラテジストからは慎重な見方も示されています。
米国株は続伸、中国・米国の通商協議に期待
米国株式市場では、中国と米国の通商協議の行方を見極めようとする動きが続くなか、株価指数が小幅ながら上昇しました。世界経済をめぐる緊張緩和への期待が、買いを後押しした形です。
主要3指数がそろって上昇
この日の終値は次のとおりです。
- ダウ工業株30種平均:42,866.87ドル(前日比 +105.11ドル、+0.25%)
- S&P500種指数:6,038.81(+32.93、+0.55%)
- ナスダック総合指数:19,714.99(+123.75、+0.63%)
S&P500では11セクターのうち10セクターが上昇しました。エネルギーが+1.77%、一般消費財・サービスが+1.19%と上げを主導し、工業セクターのみが-0.44%と下落しました。
フリーダム・キャピタル・マーケッツのチーフグローバルストラテジスト、ジェイ・ウッズ氏は、株価のテクニカル(需給やチャート)面について「主要な下落トレンドを上抜けし、年初来高値から続いていた調整局面から軌道を取り戻しつつある」と分析しています。
テスラが急反発、大型ハイテク株にも買い
個別銘柄では、電気自動車メーカーのテスラ株が+5.67%と大きく上昇しました。テスラを率いるイーロン・マスク氏とトランプ米大統領の対立をめぐる報道を背景に、前週は株価が急落していましたが、その反動で週明け以降は反発が続いています。
他の大型ハイテク株(いわゆるメガキャプ・テック)もおおむね堅調でした。アルファベット(グーグルの親会社)とメタ・プラットフォームズはいずれも1%超の上昇となり、アップルも前日の下げから切り返して+0.61%高で取引を終えました。アップル株は、世界開発者会議(WWDC)に対する市場の反応がやや物足りないとの見方から一時売られていましたが、その調整も一服した形です。
強気ムードの一方で世界銀行とHSBCは警鐘
世界銀行、2025年の米成長率見通しを下方修正
市場が上昇基調を強めるなか、世界銀行は米国経済の先行きに慎重な見方を示しました。最新の経済見通しでは、2025年の米国の実質成長率を1.4%と予測し、2024年の2.8%から大きく減速すると見込んでいます。
背景には、中国と米国の通商協議を含む貿易をめぐる不透明感があり、企業の投資意欲や世界のサプライチェーン(供給網)に影響が及ぶ可能性が指摘されています。
HSBC「中期的なリスク・リワードは不均衡」
英金融大手HSBCのストラテジスト、アラスター・ピンダー氏も、足元の株高に慎重な視線を向けています。同氏はリポートで、今後3カ月程度は世界株が上昇を続ける余地があるとしつつも、「6カ月超の中期的には、株価水準が高いなかで景気後退懸念がほぼ織り込まれ、米国株の優位性を支えてきた構造的な要因が揺らぎつつある」として、リスクとリターンのバランスが次第に悪化していると警告しました。
日本の投資家にとっての意味
米国株は、日本を含む世界の投資家にとって重要な投資先であり、同時に世界経済の「体温計」のような存在でもあります。中国と米国の通商協議が前向きに進めば、世界経済全体にとってプラス材料となる一方、交渉が難航すれば、再び不安定要因となる可能性があります。
日本の個人投資家が今回の動きから意識しておきたいポイントは、次のように整理できます。
- 短期的には、通商協議の進展や米国の経済指標に敏感に反応する相場展開が続きやすい
- 中期的には、世界銀行やHSBCが指摘するような「成長鈍化リスク」が株価にどう反映されるかを見極める必要がある
- テスラやアルファベット、メタ、アップルといった大型ハイテク株の動向が、指数全体の方向性を左右しやすい
目先の上昇局面に過度に楽観するのではなく、中国と米国の通商をめぐる対話の行方と、世界経済のファンダメンタルズ(基礎的条件)の変化を丁寧に追いながら、時間軸ごとにリスクを分散させる姿勢が問われていると言えます。
Reference(s):
cgtn.com








