上海・陸家嘴フォーラム開幕 デジタル人民元とハイテク支援で新たな金融戦略
上海・陸家嘴フォーラムで相次ぐ金融政策発表
上海で開幕した金融フォーラム「Lujiazui Forum(陸家嘴フォーラム)」で、中国の主要金融当局がデジタル人民元やハイテク企業支援など、今後の金融政策の方向性を示しました。人民元の国際化とイノベーション支援を同時に進める内容で、日本を含む海外の投資家や企業にとっても注目度の高い動きです。
デジタル人民元に「国際業務センター」 人民元の国際的な存在感強化へ
中国人民銀行の総裁であるPan Gongsheng氏は、フォーラムの開幕セッションで、デジタル人民元の「国際業務センター」を設立すると発表しました。これは、デジタル人民元を通じて人民元の国際的な影響力を高めることを狙った措置です。
この発表は、Pan氏が示した8つの金融政策措置の一つで、上海を舞台に「構造的な金融政策手段(structural monetary policy tools)」の試験導入を進める方針も含まれています。特定の分野や地域に資金を行き渡らせるための手法を、上海で先行的に試す構図です。
ハイテク企業への資金供給を強化 NFRAと証監会が新策
株式投資やM&Aローンを試験導入
国家金融監督管理総局(NFRA)のトップであるLi Yunze氏は、ハイテク企業の成長を後押しするため、株式投資や企業の合併・買収(M&A)向けローンなどのパイロットプログラムを積極的に進めていると説明しました。これらは、科学技術分野に重点を置いた「サイテック金融(sci-tech finance)」の新たな道筋を探る取り組みと位置づけられています。
STAR Market改革を深掘りする「1+6」パッケージ
中国証券監督管理委員会(China Securities Regulatory Commission)のWu Qing委員長は、上海の証券市場における「STAR Market」の役割を高める方針を示しました。フォーラムでは、改革を一段と進めるための「1+6」政策パッケージを導入すると強調しました。
このパッケージには、次のような方向性が含まれています。
- 投資と資金調達の包括的な改革を進めること
- 投資家保護の仕組みを強化すること
- イノベーションをよりよく支える資本市場エコシステムの構築を加速すること
具体策としては、STAR Marketに「サイテック成長層(sci-tech growth tier)」を新設することや、現在は利益を出していない企業でも上場を可能とする「第5の上場基準」を再導入することが挙げられました。成長段階にある技術企業に、より広く資本市場の扉を開く狙いが見て取れます。
海外投資を後押し QDII枠を追加配分へ
国家外貨管理局(State Administration of Foreign Exchange)のZhu Hexin局長は、国内機関が合法的に海外投資を行う需要に応えるため、新たな「適格国内機関投資家(QDII)」枠を近く割り当てる方針を明らかにしました。
QDII枠の追加は、国内の投資主体が海外の資産に分散投資する機会を広げると同時に、資本フローの管理を行いながら対外投資を促す手段としても注目されます。
上海発の金融政策から読み解く3つのポイント
今回の陸家嘴フォーラムで示された一連の政策からは、次のような流れが読み取れます。
- デジタル人民元を軸に、人民元の国際的なプレゼンスを高める動きが加速していること
- NFRAや証監会を通じて、ハイテク・イノベーション企業への資金供給を制度面から厚くしようとしていること
- QDII枠の拡大などを通じて、国内の資金が海外市場ともより柔軟につながる環境を整えようとしていること
上海を実験場としながら、デジタル通貨、資本市場改革、海外投資の三つを組み合わせた金融戦略が進んでいる姿が浮かび上がります。アジアの金融動向やデジタル通貨の行方に関心のある日本の読者にとっても、今後のフォローが欠かせないテーマと言えそうです。
Reference(s):
Lujiazui Forum opens with major financial policy announcements
cgtn.com








