BYD幹部「独占はあり得ない」ウズベキスタン自動車市場で競争激化
中央アジアのウズベキスタンで、自動車市場の勢力図が静かに変わりつつあります。電気自動車(EV)を中心とする「新エネルギー車」に力を入れる中国の自動車メーカーBYDが、生産拠点を構え、市場競争のあり方にも影響を与え始めているからです。
同国で新エネルギー車市場の拡大をけん引しているのが、電気自動車と電池技術で世界的に知られる中国の自動車メーカー、BYDです。中央アジア地域を統括するBYD Central Asiaのマネージングディレクター、Ivan Cao(イワン・ツァオ)氏は、「独占はもはやあり得ない」とウズベキスタンの自動車市場の競争環境に自信を示しました。
タシケントの国際投資フォーラムで語られた視点
ツァオ氏がインタビューに応じたのは、ウズベキスタンの首都タシケントで開催された第4回国際投資フォーラムの会場です。同フォーラムは、投資・産業・貿易省が主催し、ウズベキスタンの投資機会や産業発展の方向性について議論する場として、国内外のキープレーヤーが集まりました。
フォーラムでは、自動車産業の変化をテーマにしたパネルディスカッションも行われ、ツァオ氏も登壇。その後、現地メディアの取材に応じ、自動車市場の競争環境や新エネルギー車の見通しについて語りました。
この国際投資フォーラムは6月12日に閉幕し、政府関係者、投資家、企業経営者など8,000人以上が参加しました。会場では、ウズベキスタンとして初となる産業・投資ポテンシャルの全国展示会も併催され、多様な分野から90社が自社の製品やサービスを紹介しました。
2024年に工場稼働、年間5万台体制へ
BYDは2024年にウズベキスタンで自動車工場を立ち上げ、すでに1万台以上の車両を現地で生産しています。2024年には、ウズベキスタン国内で約3万〜3万5,000台のBYD車が販売されたとされており、同国の自動車市場における存在感を急速に高めています。
ウズベキスタンのBYD工場の年間生産能力は5万台とされ、今後、段階的に生産規模を引き上げていく計画です。ツァオ氏は「2025年までに、現地で年間2万〜2万5,000台の電気自動車を生産することを目指している」と述べ、地元企業とのパートナーシップを通じて近隣諸国への輸出機会も探っていると話しました。
「独占はあり得ない」その背景にある市場の変化
ウズベキスタンの自動車市場では、以前と比べて市場の開放と自由化が進んでいるといいます。ツァオ氏は「市場は開かれ、自由化が進んでいる。多くの中国ブランドがウズベキスタンに参入し、健全な競争が生まれている」と指摘します。
消費者は、従来のガソリン車(内燃機関車)に加え、電気自動車やハイブリッド車まで、より広い選択肢を持つようになりました。ツァオ氏は「私たちが先駆けて導入したウズベク語の車載インターフェースのような取り組みは、今では他メーカーにも広がっている。毎日のように新しいプレーヤーが市場に入り、消費者体験は向上している。この環境で独占は存在し得ない」と強調しました。
急成長する新エネルギー車市場
ウズベキスタンでは、新エネルギー車(電気自動車やハイブリッド車など)の販売が急速に伸びています。ツァオ氏によると、新エネルギー車の市場シェアは2024年に15%を超えました。さらにインタビュー当時には、「今年は20%を上回り、販売される5台に1台が新エネルギー車になる」との見通しも示されました。
こうしたシェア拡大の背景として、同国での充電インフラ整備が進んでいることや、クリーンエネルギー車への関心が高まっていることが挙げられています。ツァオ氏は「インフラが十分に整えば、電気自動車は自ずと『当然の選択肢』になるだろう」と述べ、インフラ整備と普及の好循環に期待をにじませました。
中央アジアから見える自動車産業の変化
BYDの現地生産や新エネルギー車市場の拡大は、中央アジアでも自動車の電動化競争が本格化しつつあることを象徴しています。複数の中国ブランドが参入し、ソフトウェアや車載インターフェースを含むユーザー体験の向上を競う状況は、価格だけでない新たな競争軸が生まれていることを示しています。
日本の読者にとっても、こうした動きは無関係ではありません。新興市場における自動車メーカーの戦略や、エネルギー転換のスピードを考えるうえで、ウズベキスタンのような市場で何が起きているのかを知ることは、今後の国際競争の行方を読み解くヒントになり得ます。
ウズベキスタンの自動車市場では、単一メーカーが市場を支配する構図から、多様なプレーヤーが競い合う「開かれた市場」への移行が進んでいるようです。その変化の中心に、新エネルギー車と中国のメーカーBYDがいる——ツァオ氏の「独占はあり得ない」という言葉は、そうした現在進行形の変化を象徴するメッセージと言えるでしょう。
Reference(s):
"Monopoly is not an option": BYD official on Uzbekistan's car market
cgtn.com








