マッキンゼー中国トップ語る「多国籍企業はいま中国から学び世界で実装」 video poster
2025年に入り、国際ビジネスの「学びの方向」が静かに変わりつつあります。今年開催されたサマーダボス2025で、マッキンゼー中国会長のジョー・ナイ氏が語った一言は、その流れを象徴するものです。
ナイ氏は、これまで世界は欧米からビジネスを学ぶことに慣れていたが、今では多くの多国籍企業のCEOが中国を訪れ、中国から学び、その知見を他地域の事業運営に生かそうとしていると述べました。中国市場の「競争力」と「適応力」が、いまやグローバル企業にとって重要な学びの源になっているという見方です。
サマーダボス2025で語られた「学びの逆転」
ナイ氏の発言は、サマーダボス2025の場で、CGTNのマイケル・ワン氏とのインタビューの中で紹介されました。そこで同氏は、次のようなポイントを強調しました。
- 以前は「欧米のベストプラクティス(優良事例)」を世界がまねる構図が一般的だったこと
- 現在は、より多くの多国籍企業のCEOが中国に足を運び、現地で何が起きているかを学ぼうとしていること
- 中国で得た学びを、他地域の事業運営や組織づくりに応用しようとしていること
これは、ビジネスの知見やノウハウの「一方向の輸出」から、「相互に学ぶ」時代への変化を示す象徴的なメッセージといえます。
「西から学ぶ」時代から「中国から学ぶ」時代へ
長く国際ビジネスの世界では、経営手法やマーケティングのモデルは欧米発が中心だと考えられてきました。ナイ氏は、その前提が揺らぎつつあると指摘します。
中国市場の特徴として、同氏が挙げたのは「競争力」と「適応力」です。多様な企業がしのぎを削る中で、ビジネスモデルの試行錯誤や、消費者の変化への素早い対応が求められます。そこで磨かれた実践知が、他地域でも通用するものとして注目されている、という構図です。
中国市場の「競争力」と「適応力」とは
ナイ氏が称賛した中国市場の競争力と適応力とは、具体的にはどのようなものなのでしょうか。発言内容を手がかりにすると、次のような点がイメージされます。
- 激しい競争環境:多様な企業が同じ市場で競うことで、価格だけでなく、サービスや体験、スピードなど総合的な競争力が問われる。
- 変化への素早い対応:消費者ニーズや規制環境、テクノロジーの変化に対し、ビジネスモデルやオペレーションを短期間で作り替える力。
- 実験と学習のサイクル:小さく試し、結果を見て素早く改善する「実験文化」が浸透しやすい土壌。
こうした環境で蓄積されたノウハウが、多国籍企業にとって「中国で学び、世界で使う」資産になりつつある、というのがナイ氏の見立てです。
中国で学んだことを世界で実装する動き
ナイ氏によれば、多国籍企業のCEOたちは、中国で得た学びを他地域の事業へ持ち帰り、実際の運営に組み込もうとしています。たとえば、次のような応用が考えられます。
- 中国で成功したサービス設計や顧客体験の工夫を、東南アジアや欧州など別の地域のサービスに転用する。
- 中国市場で培った、急な需要変動に対応するサプライチェーン運営の方法を、グローバル拠点全体に広げる。
- 中国でのデジタル活用やオンラインとオフラインを組み合わせたビジネスモデルを、他地域の店舗や工場の運営に取り入れる。
こうした動きが広がれば、「中国で試し、世界で展開する」という新しいパターンが、多国籍企業における標準の一つになっていく可能性があります。
日本企業・日本の読者への示唆
この流れは、日本企業や日本のビジネスパーソンにとっても無関係ではありません。むしろ次のような問いを投げかけています。
- 自社のグローバル戦略において、中国市場を「販売先」としてだけでなく、「学びの場」として位置づけられているか。
- 中国で生まれた新しいビジネスのやり方を、日本や他地域に持ち帰り、組織全体で共有する仕組みがあるか。
- ニュースや国際動向を見るときに、「欧米 vs その他」という二分法ではなく、「どの地域から何を学べるか」という視点で情報を捉えているか。
ナイ氏の発言は、多国籍企業の間で「どこから学ぶか」という地図が書き換わりつつあることを示しています。この変化を早く察知し、自分なりの視点で消化できるかどうかが、今後の競争力にも影響していきそうです。
これからの国際ニュースを見るヒント
2025年12月現在、国際ニュースには、中国を含むさまざまな地域からのイノベーションやビジネスモデルの話題が増えています。マッキンゼー中国トップの発言は、その背景にある「学びの流れの変化」を象徴するものといえるでしょう。
これから国際ニュースを読むとき、
- どの企業が、どの地域から何を学ぼうとしているのか
- その学びが、どのように別の地域で実装されているのか
といった点に注目してみると、見慣れたニュースの中にも新しい発見があるかもしれません。ナイ氏の言葉をきっかけに、「中国から学び、世界で生かす」という視点を、自分なりにアップデートしてみてはいかがでしょうか。
Reference(s):
McKinsey: Multinationals learning in China and implementing globally
cgtn.com








