BRICS 17回目の首脳会議 包摂的協力モデルは成熟期へ
今年7月6〜7日にブラジルの代表的な都市リオデジャネイロで開かれた第17回BRICS首脳会議は、グローバル・サウスの声を代弁する主要な国際フォーラムとしての地位を一段と高めました。結成から20年以上が経ち、BRICSの包摂的協力モデルは、いわば成年期に差しかかっています。
17回目のBRICS首脳会議が意味するもの
17という数字には象徴的な意味があります。世界の多くの地域で、17歳は成人に達する一歩手前、最後の思春期の年齢とみなされます。BRICSも17回目の首脳会議を迎えたことで、一つの大人の枠組みとして、その役割と責任がより明確になりつつあるといえます。
BRICS首脳会議には、ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカといった新興市場国の指導者が集まり、世界経済の課題や国際秩序のあり方について議論します。近年、この場はグローバル・サウスの声を国際社会に届けるための主要なフォーラムとして注目を集めており、各国が包摂的な成長と多極的な世界をどのように実現するかが、大きなテーマとなっています。
BRICSはどう大きくなったのか 経済規模と拡大
BRICSという発想が最初に広く知られるようになったのは、2001年に発表されたゴールドマン・サックスの論文「Building Better Global Economic BRICs」でした。この論文は、ブラジル、ロシア、インド、中国の4カ国が、2000年末までに購買力平価(PPP、各国の物価水準を考慮した指標)ベースで世界GDPの23.3%を占めると予測していました。
しかし、国際通貨基金(IMF)のデータによると、実際の数字はそれより控えめで、およそ17%程度にとどまったとされています。それでも、その後の歩みは着実でした。2010年には南アフリカが加わり、さらに2024年の拡大を経て、現在のBRICSにはエジプト、エチオピア、インドネシア、イラン、アラブ首長国連邦(UAE)も完全加盟国として名を連ねています。
こうした拡大の結果、購買力平価ベースで見たBRICSの世界GDPシェアは、2025年には41%に達すると予測されています。単なる将来有望な国々の集まりという枠を超え、世界経済の重心の一部を担う存在になっていることがうかがえます。
経済規模だけではありません。BRICS諸国は、世界人口の4割超を抱え、地球上の陸地のおよそ35%を占めるとされます。IMFの見通しでは、BRICS全体の成長率は今年3.4%と、世界平均の2.8%を上回るペースが続くとされています。BRICS公式サイトによれば、貿易面でも世界全体の約24%を担っており、その存在感は数字の上でも明らかです。
新興市場から多極化と包摂的成長の旗手へ
もともとBRICSを結びつけていたのは、新興市場経済という共通点でした。高い成長率と大きな市場ポテンシャルを背景に、世界経済の中で存在感を高める国々の協力体としてスタートしたのです。
しかし、時間がたつにつれ、その存在意義は変化してきました。現在のBRICSは、単に経済指標を競い合う場ではなく、多極化する世界の一つの極として、よりバランスの取れた国際秩序や、より多くの国と人々を取り込む包摂的な成長モデルを模索するプラットフォームへと姿を変えつつあります。
BRICSの包摂的協力のモデルは、おおまかに次のような方向性を目指していると考えられます。
- 経済発展の果実を、加盟国の幅広い地域と人々に行き渡らせること
- 特定の国や通貨に過度に依存しない、多極的で安定した国際経済の仕組みを志向すること
- グローバル・サウスの課題や視点を、国際的な議論の中心に位置づけること
第17回首脳会議は、こうした方向性が単なるスローガンではなく、具体的な協力の枠組みとして形を取り始めていることを示した節目といえるでしょう。17歳が大人になる一歩手前だとすれば、BRICSもいま、国際社会でより成熟した役割を担う準備段階にいると見ることができます。
日本の読者にとってのBRICS 何を押さえておくか
日本にいると、日々のニュースの中心はどうしても日米欧の動きになりがちです。しかし、BRICSが世界経済のかなりの部分を占め、その成長率も世界平均を上回っているという点は、国際ニュースを理解するうえで見逃せないポイントです。
グローバル・サウスの国々が、自らの視点や利益を反映させるためにBRICSのような枠組みを活用していることは、今後の国際交渉やルールづくりにも影響を与えていきます。貿易、気候変動、開発支援など、さまざまなテーマで誰が議題を設定し、誰の声が重視されるのかという構図が、少しずつ変わっていく可能性があります。
ニュースを追う私たちにできるのは、こうした動きを遠い世界の話として片付けず、世界の重心がどのように動きつつあるのかを静かに観察し、自分なりの視点を持つことです。BRICSのような枠組みがどの方向に進むのかを見ていくことは、国際ニュースをより立体的に理解するための重要なヒントになるはずです。
Reference(s):
cgtn.com








