米国が対中輸出規制を一部緩和 半導体設計ソフトとエタンに追い風
米国が、中国向けの半導体設計ソフト(EDA)とエタンに対する輸出規制を一部解除しました。米中の貿易摩擦が続くなか、ハイテクとエネルギー分野で緊張緩和の兆しとみられています。
米国が対中輸出規制を一部緩和
今回明らかになったのは、米国が中国向け輸出を対象に課していた二つの分野の制限を見直したことです。
- 半導体設計ソフト(電子設計自動化ソフト、EDA)の対中提供制限を解除
- エタン輸出に必要だった追加ライセンス(許可申請)の義務を撤回
- 米中協議にもとづき、中国側の輸出審査と米側の制限解除を組み合わせる「枠組み」が確認された
米トランプ政権の下で導入された数多くの対中対抗措置のうち、この二つがまず緩和された形です。
半導体設計ソフトへのアクセスが復活
半導体産業の基盤となるEDAソフトでは、世界大手のSynopsys(シノプシス)、Cadence Design Systems(ケイデンス)、Siemens(シーメンス)の3社が、水曜日に中国の顧客へのソフトウェアと関連技術の提供を再開すると表明しました。
EDAは、半導体チップの回路設計や検証を自動化するための専門ソフトです。高度なチップを開発する企業にとって不可欠な「設計インフラ」とも言え、中国の半導体産業にとっても重要なツールになっています。
この分野でのアクセス制限が解除されたことで、中国の企業は再び最新の設計環境を利用できることになり、米中双方の半導体サプライチェーンの混乱リスクは一定程度和らぐとみられます。
エタン輸出のライセンス義務も撤回
同じ水曜日、米政府はエタン生産者に対し、中国向け輸出に課していた新たなライセンス義務を取り消す通知を出しました。この義務は5月末から6月にかけて導入されていたものです。
エタンは天然ガス由来の炭化水素で、エチレンやプラスチックなどをつくる石油化学産業の重要な原料です。エタン輸出の手続きが簡素化されれば、米国のエネルギー企業にとっては市場アクセスが広がり、中国側にとっても原料調達の選択肢が増えることになります。
背景にあるレアアースと米中の駆け引き
今回緩和された規制は、より広い文脈の中で位置づけられています。米政府内の議論に詳しい関係者は、米国が多くの品目に輸出制限をかけたのは「エスカレートしてから緊張緩和を図る」戦略だったと説明しています。
この関係者によると、米国は中国側にレアアース(希土類)の輸出を抑制しないよう促すために、あえて多くの品目で制限を強化し、その後の協議で段階的に緩和するシナリオを描いていたとみられます。
中国は4月に、7種類のレアアース元素について輸出を管理する措置を導入しましたが、ルールに沿った申請についてはこれまでに複数を認可しています。ハイテク製品や電気自動車に欠かせないレアアースを巡り、両国は慎重な駆け引きを続けている状況です。
米中が確認した「枠組み合意」とは
金曜日には、中国の商務省が米国との協議結果を発表しました。それによると、両国は次のような枠組みで一致したとされています。
- 中国側は、管理対象となる品目について輸出申請を審査し、適切な案件を認可する
- 米国側は、それに対応する形で関連する輸出制限措置を取り消す
先の関係者は、この枠組みが維持されれば「多くの制限が今後も撤廃され、2〜3月ごろの『従来の状態』に近づいていくだろう」との見通しを示しました。全面的な対立から、管理された形での緊張緩和へと、局面が移りつつある可能性があります。
日本と世界への意味合い
半導体設計ソフト、レアアース、エタンといった分野は、日本企業を含む世界のサプライチェーンと深く結びついています。米国の対中輸出規制が緩和されれば、短期的には部材やツールの流通がスムーズになり、企業の調達コストや開発スケジュールにプラスに働く場面もありそうです。
一方で、今回の合意はあくまで個別分野の制限を見直すための枠組みにすぎず、技術や安全保障を巡る米中の大きな対立構図そのものが解消されたわけではありません。条件付きの輸出管理と、それに対応した制限解除という「管理された緊張緩和」が続く展開も考えられます。
日本の企業や投資家にとっては、米中の動きがサプライチェーンや技術戦略にどのような影響を与えるのかを、中長期的な視点で見極めることが重要になりそうです。今回のような個別の規制緩和のニュースは、その方向性を読み解くうえでの一つのシグナルと言えるでしょう。
Reference(s):
cgtn.com








