中国ニュース:返還25年のマカオ、食と伝統芸術のいま video poster
マカオの中国への返還からおよそ25年。国際ニュースとしてはカジノの街というイメージが強いこの都市が、いまどのように変わりつつあるのかを伝える番組が注目を集めています。シリーズ「Meet China」の第14話は、食と伝統芸術を通じて、マカオと中国文化の現在地を描き出しました。
「Meet China」Ep.14が映すマカオの現在
今回紹介された「Meet China」Ep.14は、マカオを舞台に、中国への返還から25年という節目を振り返りながら、都市の変化と伝統文化の息づかいを追いかけています。観光・経済・文化がどのように結びつき、マカオの新しい姿を形づくっているのかに焦点が当てられています。
カジノ頼みから多様な都市へ:変わるマカオ経済
かつてマカオは、ギャンブル産業が経済を支える「カジノの都」として世界に知られてきました。エピソードでは、そのマカオがこの25年で大きく姿を変え、多様な魅力を持つ都市へと歩みを進めている様子が紹介されています。
番組が描く「新しいマカオ」のキーワードは次のようなものです。
- ハイテクを取り入れたイベントやショーが開かれ、世界的な著名人も訪れる場になっていること
- 高級レストランや多彩な食体験が増え、国際的なグルメ都市としての顔を持ち始めていること
- 歴史的な街並みやローカル文化を前面に出す観光が広がり、地域の遺産を生かしたツーリズムが育っていること
カジノだけに依存しない経済構造を模索する姿は、2025年の今、観光に力を入れる多くの都市にとっても共通の課題を映し出していると言えます。
屋台グルメに受け継がれる「マカオらしさ」
マカオの街を歩くと、路地に立ちのぼる湯気や香りが強く印象に残ります。エピソードは、観光客にとって大きな魅力になっている屋台グルメに光を当て、新しい世代の店主たちに密着します。
その一人が、家業を継ぎ「Lok Kei Noodles」を切り盛りするLei Man Longさんです。彼は家族の歴史を受け継ぎながら、変わる街の中で変わらない味を守ろうとしています。同じように、Leung Shek Waiさんも父親の店を引き継ぎ、レシピだけでなく、仕事への姿勢やお客との向き合い方まで受け継ごうとしています。
屋台料理は、材料も調理法も一見シンプルです。しかし番組は、だからこそ「伝統へのこだわり」が重要になると伝えます。だしの取り方、麺のゆで加減、具材の切り方といった小さな積み重ねが、マカオの人びとにとっての「いつもの味」を支えています。
観光客にとっては珍しいグルメでも、地元の人にとっては日常の食卓の延長線上にあります。その両方に応えながら、次の世代へ味をつなぐ姿は、都市が変化しても残し続けたいものは何かを考えさせます。
千年の技、Ru ceramicsが語る中国の伝統
エピソード後半では、舞台をマカオから離れ、伝統的な陶磁器文化であるRu ceramicsの世界へと視点を移します。ひび割れ模様の入った独特の釉薬と、空のような青色が特徴とされるこの陶磁器は、千年にわたり受け継がれてきたと紹介されます。
登場するのは、そのRu窯の系譜を継ぐLi Kemingさんです。彼は「空色の青磁」とも表現される理想的な色合いの釉薬を再現しようと挑戦を続けています。名門の家系に生まれたがゆえに、家の名を守らなければならないという重圧も抱えています。
土の産地を選び、鉱物の配合を調整し、窯の温度を細かく管理する。番組は、そうした一つ一つの工程が作品の出来を左右し、少しの誤差が仕上がりを大きく変えてしまう世界であることを映し出します。
失敗を積み重ねる勇気
Ru ceramicsの制作過程で印象的なのは、「正解のレシピ」が簡単には手に入らないという点です。Kemingさんは、何度も試作を繰り返しながら、わずかな色の違いやひびの入り方をチェックし、自分なりの答えを探っています。
そこから見えてくるのは、伝統とは単に「守る」だけでなく、失敗と試行錯誤を受け入れながら更新していく営みでもあるということです。
都市と伝統文化をつなぐ視点
返還から約25年を迎えたマカオと、千年の歴史を持つとされるRu ceramics。この二つを並べて見せる構成は、中国の現在を立体的に捉えようとする試みでもあります。
エピソードを手がかりに、私たちが考えられるポイントを整理してみると、次のようになります。
- 観光都市の魅力は、派手な施設だけでなく、屋台や小さな店といった日常の風景によって形づくられること
- 伝統文化は「保護されるもの」であると同時に、現代の生活とどう結びつけていくかが問われていること
- デジタルな映像コンテンツを通じて、遠く離れた地域の文化や人びとの営みを身近に感じられるようになっていること
2025年の今、世界各地で都市のあり方や文化の継承をめぐる議論が続いています。マカオの屋台で麺を茹でる湯気や、窯の前で釉薬の色を見つめる職人の視線に注目することは、そうした大きな議題を自分ごととして考える入口にもなりそうです。
ニュースとしての国や都市の動きだけでなく、そこで暮らす人びとの手仕事や日常の景色に目を向けること。こうした視点が、私たちの国際ニュースの読み方を少しずつ変えていくのかもしれません。
Reference(s):
cgtn.com








