トランプ米大統領、12カ国に最大70%関税通告へ 書簡で「最終通告」
アメリカの通商政策をめぐる国際ニュースで、今年とくに注目を集めたのが、ドナルド・トランプ米大統領が12カ国に最大70%もの関税を通告する書簡に署名した動きです。世界的な「貿易戦争」が続く中、各国との関係や金融市場への影響が改めて問われています。
12カ国に送られる「受け入れるか拒むか」の書簡
トランプ米大統領は、アメリカに輸出を行う12カ国を対象に、それぞれの国に適用する関税水準を示した書簡に署名したと明らかにしました。書簡は「提示された条件をそのまま受け入れるか、それとも拒むか」という、いわば「テイク・イット・オア・リーブ・イット(受け入れるか拒むか)」の最終通告だとされています。
大統領は、大統領専用機エアフォースワンでニュージャージー州へ向かう機中で記者団に語りましたが、対象となる12カ国の具体名は挙げませんでした。国名は書簡が各国に送付されたタイミングで公表されると説明したにとどまっています。
10〜70%の幅広い関税水準
今回の関税提案は、国ごとに10%から最大70%まで幅を持たせた内容になっています。トランプ氏は「国ごとに異なる額の関税になる」と述べ、「60〜70%に達するケースもあれば、10〜20%にとどまる国もある」と説明しました。
背景には、世界の金融市場を揺さぶり、各国の政策担当者が自国経済を守るために動くきっかけとなっている「世界的な貿易戦争」があります。トランプ氏は今年4月、基本となる関税率を一律10%とし、多くの国に対してはさらに最大50%の追加関税を上乗せする方針を打ち出していました。
- 基本関税率:輸入品に一律10%
- 追加関税:多くの国で最大50%(当初案)
- 今回の提示:国によって10〜70%の関税を適用
ただし、10%の基本関税を除く追加分については、合意に向けた交渉の時間を確保するため、90日間の猶予措置が取られていました。この猶予期間は7月9日に期限を迎えることになっており、トランプ氏はその直前の金曜日、関税率は場合によっては70%まで引き上げられ、多くは8月1日に発動される可能性があると記者団に述べています。
交渉から「書簡」へ ホワイトハウスの戦略転換
当初、トランプ政権は多くの国と関税率をめぐる個別交渉を行う方針を掲げていました。しかし、日本や欧州連合(EU)など主要な貿易相手との交渉で思うような成果が出なかったことから、大統領はこのプロセスに不満を募らせているとされています。
トランプ氏は今回の書簡について、「書簡の方がいい。送るだけだからずっと簡単だ」と語り、複雑な協議の積み重ねよりも、一方的に条件を提示する手法に傾いている姿勢をにじませました。
ホワイトハウスの戦略転換の背景には、関税だけでなく、農産物輸入の禁止措置のような非関税障壁を含む幅広い貿易協定を、短期間でまとめることの難しさがあります。多くの通商協定は、条件のすり合わせに数年単位の時間を要してきました。
まとまったのは英国とベトナム 内容は
こうした中で、これまでに正式な合意にこぎつけたのは英国とベトナムの2カ国にとどまっています。英国とは5月に合意し、10%の関税率を維持する一方、自動車や航空機エンジンなど一部の産業について優遇措置が認められました。
ベトナムとの合意では、多くのベトナム製品にかかる関税が、トランプ氏が以前に示していた46%から20%へと大きく引き下げられました。その代わり、アメリカ製品の多くはベトナム市場に無関税で輸入できるようになるとされています。
インドとEUは行き詰まり 「現状維持」を模索する動きも
一方で、合意に達すると見込まれていたインドとの協議は、結果的にまとまりませんでした。EUの外交官らも、トランプ政権との交渉で突破口を見いだせなかったと述べ、関税引き上げを避けるために、当面は現状維持の延長を模索する可能性に言及しています。
私たちはこのニュースをどう読むか
トランプ政権が12カ国に送ると表明した関税書簡は、アメリカの通商政策が多国間の枠組みよりも、二国間での力関係を前面に出すやり方へと傾いていることを象徴しているように見えます。関税率が最大70%という強い数字で示されることで、交渉の主導権を握ろうとする意図もうかがえます。
同時に、こうした動きは、企業や私たちの生活にどのような影響を与えるのでしょうか。いくつかのポイントを挙げてみます。
- 関税をテコにした二国間交渉は、長期的な信頼関係の構築にどのような影響を与えるのか
- 金融市場や為替市場は、突発的な関税引き上げリスクをどこまで織り込めるのか
- 企業や消費者は、コスト上昇やサプライチェーンの見直しにどう備えるべきか
12カ国がこの「最終通告」にどう応じるのかは、今後の国際経済の流れを左右する可能性があります。日本から国際ニュースを追う私たちにとっても、関税や通商政策がどのように決まり、どこに影響が及ぶのかを考えるきっかけになりそうです。
Reference(s):
Trump signs tariff letters for 12 countries, proposes 10%-70% rates
cgtn.com








