中国がEU医療機器の政府調達を制限 4500万元超案件で排除措置
中国財政省が、EU(欧州連合)から輸入される医療機器に対する政府調達の新たな制限措置を具体的に説明しました。背景には、EUが中国企業の医療機器調達への参加を制限したことへの「対抗措置」という位置づけがあります。
主なポイント
- 政府調達で医療機器を購入する際、予算が4500万元(約629万ドル)を超える案件が新ルールの対象
- EU企業(中国のEU系資本企業を除く)は、こうした大型案件への参加が排除される
- 中国に拠点を置くEU資本企業は参加可能だが、EUから輸入した医療機器の金額は契約額の50%以下に制限
- 国有企業による調達は「政府調達」に分類されず、今回の通知の対象外
- 中国側は、EUによる制限措置への「対抗的で相互的な措置」だと説明
中国財政省が説明した新ルールとは
財政省は日曜日に公表した通知で、医療機器を政府調達で購入する際の新たなルールを示しました。予算が4500万元を超える場合、輸入品を購入する必要があると判断されても、一定の条件のもとでEU企業の参加を制限する内容です。
- 予算が4500万元を超える政府調達案件で医療機器を購入する場合
- 輸入製品を調達する必要があると認められた後でも
- EU企業(中国にあるEU資本企業は除く)は入札などへの参加を認めない
一方で、中国国内に拠点を持つEU資本の企業については、一定の条件のもとで参加を認めるとしています。
EU資本企業には「50%ルール」
通知によると、中国に拠点を置くEU資本企業は、4500万元を超える政府調達案件に参加することができます。ただし、その企業が提供する製品に含まれる「EUから輸入された医療機器」の金額が、契約総額の50%を超えてはならないとされました。
つまり、
- 企業そのものがEU系資本であっても、中国国内での調達や生産などを組み合わせ
- 最終的な契約額の半分以上をEUからの輸入医療機器に依存しない構成にする
といった対応が求められる可能性があります。
「4500万元」の線引きの意味
財政省は木曜日、記者からの質問に答える形で、この4500万元という予算ラインの扱いについても補足しました。それによると、
- 単一の製品タイプを1台だけ購入する場合
- 同じ製品タイプをまとめて大量に購入する場合
- 異なるタイプの医療機器を組み合わせて購入する場合
いずれであっても、「予算が4500万元以上に達するかどうか」が基準になるとしています。つまり、購入形態にかかわらず、予算総額がラインを超えれば、新しい制限措置が適用されるという明確な整理です。
国有企業の調達は対象外
財政省はあわせて、「国有企業による調達は政府調達には分類されない」と説明し、今回の通知は国有企業の調達には適用されないとしました。
これは、同じ医療機器の購入であっても、
- 政府部門や政府関連機関による調達
- 国有企業が市場プレーヤーとして行う調達
が区別されていることを意味します。EU企業やEU資本企業にとっては、政府調達では制約が強まる一方で、国有企業や民間企業との取引など、その他の市場チャネルは引き続き重要なビジネス機会となりそうです。
EU側の動きと中国側の説明
中国商務省の報道官は日曜日、今回の措置の背景について説明しました。それによると、欧州委員会は2025年6月20日に、中国企業と中国製品がEUの医療機器の公共調達に参加することを制限する措置を導入し、中国企業に対する調達参加の障壁を引き上げてきたとしています。
報道官は、中国側はこれまで二国間の対話や政府調達に関する協議を通じて、EUとの意見の違いを解決する意思を繰り返し示してきたと強調しました。しかし、その善意にもかかわらず、EUは制限措置を取り続け、新たな保護主義的な障壁を設けていると指摘しました。
そのうえで報道官は、次のような立場を表明しました。
中国としては、中国企業の正当な権益を守り、公平な競争環境を維持するため、やむを得ず相互的な制限措置を取らざるを得ない。
中国側は、今回の政府調達での新ルールを、「EU側の制限に対する相互主義に基づく対応措置」と位置づけていることがわかります。
企業や市場への影響は
今回の措置は、医療機器という専門性と安全性が重視される分野で、政府調達と国際関係が交差する典型的な事例と言えます。具体的にどのような影響が考えられるのでしょうか。
- EU企業への影響:中国の政府調達市場のうち、予算が大きい医療機器案件では、EU企業が入札に参加できないケースが増える可能性があります。
- EU資本企業の戦略:中国に拠点を置くEU資本企業は、引き続き政府調達に参加できますが、契約の半分を超える部分をEUからの輸入品に頼れないため、サプライチェーンや調達先の見直しが必要になるかもしれません。
- 中国企業への影響:大型の政府調達案件で、中国企業や中国で生産する企業にとっての機会が相対的に広がる可能性があります。
- 医療機関・患者への影響:政府調達で選べる製品のラインアップや価格、技術の選択肢にどの程度影響が出るかは、今後の運用次第となります。
いずれにせよ、企業にとっては「どの案件が政府調達にあたり、どの程度EU輸入品を含められるのか」といった条件を丁寧に見極めることが求められそうです。
これからの注目点
今回の動きは、単に中国とEUの二者間問題にとどまらず、医療機器産業の国際的なサプライチェーンや、公的セクターの調達のあり方にも関わるテーマです。今後の注目点を整理すると、次のようになります。
- EU側の反応:中国の新措置に対し、EUが追加的な対応を取るのか、それとも対話を通じた調整を模索するのか。
- 対話と協議の行方:中国側が強調する「対話と協議による解決」が具体的な形になるのか、政府調達分野での枠組みづくりが進むのか。
- 企業のビジネス戦略:医療機器メーカーや関連企業が、拠点配置や調達先、多国間市場へのアクセス戦略をどう見直していくのか。
- 国際調達ルールへの影響:今回のような相互的な制限措置が、他地域や他分野の政府調達にも波及するのかどうか。
医療機器のように人々の生活と健康に直結する分野で、どのように「公平な競争」と「開かれた市場」を両立させていくのか。今回の中国とEUの動きは、その難しさと重要性をあらためて問いかけています。
Reference(s):
China details curbs on EU medical device imports in govt procurement
cgtn.com








