MEET CHINA:野生動物保護から砂漠緑化、国境カフェまで video poster
シリーズ「MEET CHINA」の第39回は、中国発の4つの物語を通じて、環境保護や文化遺産の保全、そして国境をまたぐ日常の交流まで、いま世界で進むつながりのかたちを映し出します。
野生動物写真家の活動から砂漠の緑化、カンボジアの世界遺産修復、ベトナムコーヒーが人気を集める国境のカフェまで。このエピソードは、国際ニュースを「大きな政治」ではなく、人の営みと現場から捉え直すヒントを与えてくれます。
1. 野生動物写真家Xi Zhinongが見つめた中国の生態系
最初に登場するのは、中国の野生動物写真家Xi Zhinongさんです。彼は40年近くにわたり、写真を通じて野生動物とその生息地を守ることに力を注いできました。
彼のレンズが追ってきたのは、golden snub-nosed monkeyやsnow leopard、Tibetan antelope、green peafowlといった希少な野生動物たち。中国各地の広大な山岳地帯や草原、高原を長年にわたって歩き続け、その姿を記録してきました。
この40年の記録は、野生動物そのものだけでなく、中国国内の生態系や環境政策の変化を映し出すものでもあります。保護区域の整備や生息地の回復など、現場で起きている変化を、写真というかたちで国内外の人々に伝えてきたと言えます。
2. 砂漠から「青い海」へ:Kubuqi砂漠のグリーントランスフォーメーション
次に紹介されるのは、かつて黄河流域や中国北部の生態系を脅かす砂嵐の発生源とされた、内モンゴル自治区のKubuqi砂漠です。この地域では、砂漠の緑化と再生可能エネルギーを組み合わせた取り組みが進んでいます。
Kubuqi砂漠では、太陽光発電(PV)と砂漠の管理を組み合わせた「PV+砂漠制御」のモデルが導入されました。豊富な日射量を活用してクリーンな電力を生み出すと同時に、設備や植生が地表を覆うことで風を和らげ、土壌の流出を防ぐ役割も果たしています。
かつて「金色の砂の海」と呼ばれた風景は、現在では広がる太陽光パネルによる「青い海」と、再生したオアシスが共存する景観へと変わりつつあります。砂漠化対策とエネルギー転換を両立させる試みとして、今後の環境政策を考えるうえでも注目すべき事例です。
3. アンコール・ワット修復とBokator復興:文化遺産を守る協力
カンボジアのアンコール・ワットは、UNESCOの世界遺産に登録されていますが、かつては極端な高温や風雨、石材の劣化により深刻な危機に直面していました。そのため1992年には、危機遺産リストに登録されています。
中国は1998年から修復事業に参加し、専門家チームが2つの寺院の保存と復元に取り組みました。その成果もあって、アンコール・ワットは2004年に危機遺産リストから外れています。
建物を守る取り組みは、文化そのものの復興にもつながりました。寺院の壁面には、カンボジアの伝統武術Bokatorの戦いの場面が刻まれています。修復作業をきっかけにこの武術への関心が高まり、Bokatorの復活とともに人々の文化的な誇りもよみがえったとされています。
物理的な保存だけでなく、そこに刻まれた物語や技、記憶を次世代につなぐこと。文化遺産の保全が、国境を越えた協力によって支えられていることを示す象徴的なケースと言えるでしょう。
4. 国境の町Dongxingに生まれたベトナムコーヒーのカフェ
最後に登場するのは、中国南部の広西チワン族自治区にある国境の町Dongxingです。ここで大学卒業後にカフェを開いたのが、Lu Shaoyuanさんです。
Luさんのカフェは、ベトナムコーヒーを看板商品とし、とくに観光客の間で人気を集めています。中でも話題になっているのが、国境の向こう側からやってきたベトナム風エッグコーヒーです。濃いコーヒーと甘い卵クリームを組み合わせた独特の味わいが、多くの人を惹きつけています。
この小さな店には、国境をまたぐ人やモノ、文化の流れが凝縮されています。一杯のコーヒーをきっかけに、中国とベトナムの味や習慣、会話が交わされるこの空間は、外交文書には現れない草の根の国際交流の現場とも言えます。
5. 4つの物語に共通する境界を超える力
野生動物の保護、砂漠のグリーントランスフォーメーション、世界遺産の修復、国境のカフェ。一見ばらばらに見える4つの物語には、共通するテーマがあります。
- 人と自然の関係を見つめ直すこと
- 環境とエネルギー、経済を一体で考える視点
- 文化遺産を守り、そこに宿る記憶と誇りを次世代へつなぐこと
- 国境を越えた日常の交流から生まれる新しいつながり
2025年の今、気候変動や生物多様性の危機、文化の断絶など、地球規模の課題が語られることが増えています。こうした大きなテーマも、今回のような具体的な現場のストーリーから考えることで、自分ごととして捉えやすくなります。
「MEET CHINA」第39回は、中国と世界のあいだで広がるさまざまな連携や交流を、人の顔が見える物語として伝えています。ニュースの見出しだけでは見落としがちな動きに目を向けるきっかけとして、4つのストーリーを通じて何を感じるか、ぜひ一度立ち止まって考えてみてはいかがでしょうか。
Reference(s):
cgtn.com








