マースク幹部が語る米国関税と中国顧客の底力 video poster
米国の関税政策が長期化する中でも、中国の顧客需要は強いのか。世界最大級の海運企業マースクの幹部が、2025年の中国国際サプライチェーン博覧会の場で、その見方を明かしました。本記事では、その発言内容と国際サプライチェーンへの意味合いを、日本語で分かりやすく整理します。
中国国際サプライチェーン博覧会で語られたこと
2025年に開催された中国国際サプライチェーン博覧会で、デンマークを拠点とする海運・物流大手A.P. モラー・マースク(マースク)のシニア・バイスプレジデント、丁澤娟(Ding Zejuan)氏が、中国の国際報道機関CGTNのインタビューに応じました。
丁氏は、同社が米国の関税政策の長期的な影響を見極めつつ、ビジネスへのインパクトに迅速に対応していると説明しました。そのうえで、中国の顧客からの需要は、市場のボラティリティ(変動の激しさ)が続く中でも、強い回復力を示していると述べています。
マースクが見る米国関税政策のインパクト
米国の関税政策は、中国と深く結びついたサプライチェーンにとって、不確実性の大きな要因になり得ます。丁氏によると、マースクはこうした政策が自社ビジネスに及ぼす長期的な影響を継続的に評価しながら、日々のオペレーションに反映させています。
長期的な影響を見極めながら即応
インタビューで丁氏が強調したポイントは、次の2つに整理できます。
- 米国の関税政策の長期的な影響を継続的に評価していること
- 需要や市況の変化に対して、迅速に対応する姿勢を維持していること
関税政策の動きは、輸出入品目の構成や物流ルートの見直しにつながる可能性があります。マースクは、その変化を注視しながら、顧客企業がサプライチェーンを組み替える際の選択肢を提供し続けている、と位置づけることができます。
中国顧客の需要は「強い回復力」
丁氏は、市場の不安定さが続く中でも、中国の顧客からの需要は強い回復力を見せていると述べました。この見方は、世界経済の不確実性が続く2025年においても、中国の顧客が国際物流を通じて積極的にビジネスを展開していることを示唆しています。
ボラティリティの中でも動き続ける貨物
需要の回復力とは、単に出荷量が一方向に増え続けるという意味ではありません。為替や関税、地政学的な要因などによって短期的な変動があっても、中長期的には物流需要が持ちこたえ、ビジネスが継続しているということを指します。
丁氏の発言からは、中国の顧客が不確実な環境の中でも、サプライチェーンを維持・再構築しようとする意欲を持ち続けている姿が浮かび上がります。
日本やアジア企業にとっての意味
日本を含むアジアの企業にとって、中国の顧客需要の動きと国際物流の状況は、ビジネス戦略を考えるうえで重要な判断材料になります。特に、製造・調達・販売のいずれかで中国市場と関わりのある企業は、マースクのようなグローバル物流企業のスタンスを参考情報として捉えることができます。
丁氏のコメントから読み取れるポイントとして、次のような視点が考えられます。
- 米国の関税政策が続く中でも、中国の顧客需要は一定の底堅さを保っている可能性があること
- 国際物流企業は、関税や需要の変化に合わせてサービスやルートを調整し続けていること
- サプライチェーン戦略は、短期の変動ではなく、中長期の需要の強さも含めて考える必要があること
日本企業にとっても、関税や規制といった外部環境だけでなく、顧客需要の粘り強さや、物流パートナーの対応力に注目することが、2025年以降の戦略を考えるうえでヒントとなりそうです。
これから注目したい3つの視点
今回の発言を手がかりに、読者が国際ニュースや経済動向を見る際に意識しておきたいポイントを、最後に3つ挙げます。
- 米国の関税政策の方向性:対象品目や水準の変化が、どの地域のどの産業に影響し得るのか。
- 中国顧客の需要動向:物流需要や輸出入の構成が、どの程度の回復力を持って推移しているのか。
- グローバル物流企業の対応:マースクを含む大手が、サービスや投資の重点をどの地域に置いているのか。
2025年の国際サプライチェーンは、依然として不確実性と変動にさらされています。その中で、中国の顧客需要の底力と、マースクのような物流企業の対応は、世界経済の今を読み解くうえで重要な手がかりとなりそうです。ニュースを追う際には、単発の数字や出来事だけでなく、こうした長期的な視点も意識してみてはいかがでしょうか。
Reference(s):
Chinese customers demonstrate strong resilience amid tariffs: Maersk
cgtn.com








