BRICS拡大が世界金融を再編?米関税圧力下で探る新たな連携 video poster
米国の関税政策への警戒が高まるなか、BRICS諸国はどのように多国間協力を強め、より強靭なサプライチェーンと金融ネットワークを築こうとしているのでしょうか。中国の国際ニュースチャンネルCGTNの番組BizTalkで交わされた議論を手がかりに、国際金融のこれからを考えます。
BRICS拡大と世界金融の再編
BRICSとは、新興経済国が集まった経済協力の枠組みとして知られており、近年は参加国を広げる動きも注目されています。番組タイトルが示すように、BRICSの拡大は世界の金融システムや資本の流れをゆるやかに変えつつあるとみられます。
今回のBizTalkには、Standard Bank GroupのchairpersonであるNonkululeko Nyembezi氏、復旦大学Center for BRICS Studiesのassociate directorであるJiang Tianjiao氏、エジプト貿易・産業省のeconomistであるHisham Abubakr Metwally Mohamed氏が出演し、CGTNのLily Lyu氏とMichael Wang氏が進行役を務めました。
番組では、次のようなテーマが議論されました。
- 米国の関税政策がもたらす外部圧力をどう抑えるか
- BRICS諸国の多国間協力をどのように強化するか
- より強靭なサプライチェーンをどう構築するか
- 金融協力を加速し、国際通貨システムをどのように改革するか
- グローバルサウスの声を国際社会でどう増幅していくか
米関税圧力の下で問われるレジリエンス
番組の出発点となったのが、米国の関税政策による外部圧力です。関税の引き上げや関税をめぐる不確実性は、BRICS諸国の輸出産業や投資計画に影響を与えています。個々の国が単独で対応するには限界があるため、協調してリスクを分散する発想が重要になります。
こうした環境では、サプライチェーンのレジリエンス、つまりショックへの耐性が問われます。特定の国や市場、特定の通貨に過度に依存する構造は、外部環境の変化に弱いからです。
ポイント1 多国間協力でサプライチェーンを強靭に
BRICS諸国が多国間協力を強めることは、サプライチェーンを守るうえでも意味があります。番組で共有された問題意識の一つは、関税などの外部ショックに左右されにくいネットワークをどう組み立てるかという点です。
考えられる方向性として、例えば次のようなものがあります。
- 生産拠点や調達先を複数の国や地域に分散し、特定市場への依存度を下げる
- インフラや物流網で相互補完し、モノの流れを複線化する
- デジタル技術を活用し、通関や決済などの手続きを効率化する
こうした取り組みは、単にリスク回避というだけでなく、BRICS諸国同士のビジネス機会を広げる可能性もあります。
ポイント2 金融協力と国際通貨システム改革
議論のもう一つの柱が、金融協力を加速し、国際通貨システムの改革をめざす動きです。番組では、国際金融のルールづくりにおいて、新興国やグローバルサウスの視点をどのように反映させていくかが問われました。
一つの通貨や一部の金融センターに過度に依存した世界は、制裁や金融不安の影響を受けやすくなります。そのため、BRICS諸国が協力しながら次のような方向を模索することが考えられます。
- 貿易や投資で自国通貨や地域通貨の利用を広げる
- 金融機関同士の連携や情報共有を深め、ショック時の支え合いの仕組みを整える
- インフラ投資や開発プロジェクトに共同で資金を出し合い、リスクを分散する
こうした試みは、既存の国際通貨システムを急激に置き換えるというより、多極的でバランスの取れた仕組みにゆるやかに近づけていくプロセスといえます。
ポイント3 グローバルサウスの声をどう増幅するか
番組で重視されたもう一つのテーマが、グローバルサウスの声をどう国際社会に届けるかという問いです。グローバルサウスとは、アジア、アフリカ、ラテンアメリカなど、経済成長のポテンシャルが大きい一方で、国際ルールづくりの場で十分に発言してこられなかった国や地域を指す言葉として使われています。
BRICSの拡大は、そうした国々が共通する課題を共有し、自らの優先課題を発信するプラットフォームとしても注目されています。エネルギー転換、インフラ整備、産業多角化など、先進国と異なるニーズをどのように国際議論に反映していくかは、今後の大きな論点です。
日本の読者にとっての意味
日本にいる私たちにとっても、今回のBizTalkでの議論は無関係ではありません。米国の関税政策とBRICSの動きという二つの流れが、世界のサプライチェーンと金融の地図を少しずつ書き換えつつあるからです。
日本企業や投資家の視点から見ると、例えば次のような示唆があります。
- サプライチェーン再構築の際に、BRICS諸国やグローバルサウスとの連携をどう位置づけるか
- 決済通貨や資金調達先が多様化するなかで、どの市場や金融インフラとつながるか
- 国際ニュースを読むときに、従来の大国中心の視点だけでなく、グローバルサウスの視点も意識してみること
分断の時代を超えるための対話
米国の関税政策をめぐる不透明感が続くいま、BRICS諸国が多国間協力や金融協力を通じてどのような答えを出していくのかは、国際経済の行方を左右する重要なテーマです。BizTalkでの議論は、その一端を映し出したものといえます。
国と国の利害がぶつかり合う局面が増えるほど、多様な立場の専門家が対話し、リスクをどう分かち合うのかを探る場の価値は高まります。BRICS拡大とグローバルサウスの声の高まりを追いながら、世界経済をどのような方向に導いていくべきか、私たち一人ひとりも考え続ける必要がありそうです。
Reference(s):
cgtn.com








