米議会がステーブルコイン規制法案を可決 トランプ政権のデジタル通貨戦略
米国連邦議会で、価格が米ドルなどに連動する「ステーブルコイン」を初めて包括的に扱う連邦法案が可決されました。デジタル通貨と暗号資産の規制をめぐり、世界の議論にも影響を与えそうな動きです。
米下院が超党派で可決 「GENIUS法」とは何か
米下院は木曜日、ステーブルコインに関する画期的な法案「Guiding and Establishing National Innovation for U.S. Stablecoins Act(GENIUS法)」を賛成308票、反対122票の賛成多数で可決しました。すでに6月には上院が同法案を承認しており、両院での審議を終えたかたちです。
GENIUS法は、米ドルなどの法定通貨(政府が発行する通貨)に価値が連動するステーブルコインに対して、全米レベルでの基準を定める法案です。成立すれば、米国でステーブルコインを直接対象とした初めての連邦規制となります。
ステーブルコインは、暗号資産の一種でありながら、価格変動を抑えるために米ドルなどに連動させたデジタル通貨です。送金や決済、取引所間の資金移動などに広く使われており、今後の金融インフラを左右する存在として注目されています。
トランプ大統領は支持を表明 署名で法制化へ
米国のドナルド・トランプ大統領はこの法案を支持しており、共和党議員に賛成票を投じるよう働きかけてきました。大統領が近く署名するとみられており、その時点でGENIUS法は正式に成立します。
大統領の署名後、米国にはステーブルコインに関する初の連邦レベルのルールが整うことになり、これまで州ごとに異なっていた規制や監督の枠組みに大きな影響を与える可能性があります。
同じ日に2つの暗号資産関連法案も可決
下院は同じ木曜日、暗号資産市場に関する2つの重要法案も可決しました。
- Digital Asset Market Clarity Act(デジタル資産市場明確化法案):暗号資産取引所や仲介業者、発行体などに関するルールを定める法案
- Anti-CBDC Surveillance State Act(反CBDC監視国家法案):中央銀行デジタル通貨(CBDC)を禁止する法案
これら2つの法案はまだ上院で承認されておらず、成立するかどうかは不透明な状況です。それでも、暗号資産の民間利用を重視する一方で、中央銀行が発行するデジタル通貨には慎重な姿勢を示す動きとして注目されています。
米国のデジタル通貨戦略のサインは?
今回の一連の動きからは、米国が次のような方向性を打ち出していると読むことができます。
- ステーブルコインには明確なルールを設け、市場の透明性と安定性を高める
- 暗号資産取引所や仲介業者にも枠組みを用意し、グレーゾーンを減らす方向へ向かう
- 一方で、政府や中央銀行が直接発行するデジタル通貨(CBDC)には強い懸念を示し、監視強化につながる可能性を警戒している
特に、トランプ大統領がGENIUS法を積極的に後押ししていることは、民間主導のデジタル通貨を重視する姿勢の表れとも受け取れます。今後、上院での審議や各規制当局の運用方針によって、米国のデジタル通貨政策の輪郭がより鮮明になっていきそうです。
日本と世界への影響は
ステーブルコインや暗号資産は、国境を越えて利用されるデジタル技術です。米国のルールづくりは、日本を含む各国・地域の議論にも少なからず影響を与えます。
たとえば、日本の投資家や企業にとっては次のような点がポイントになりそうです。
- 米ドル連動のステーブルコインが、今後どのようなルールのもとで発行・流通するのか
- 米国市場向けの暗号資産ビジネスに求められるコンプライアンス(法令順守)のハードルがどう変わるか
- CBDCではなく民間のステーブルコインを重視する米国の姿勢が、国際的なデジタル通貨競争にどう影響するか
デジタルネイティブ世代の読者にとっても、こうした規制の動きは、日々使っている決済アプリや海外サービスの使い勝手に直結するテーマです。米国発のルールづくりが、私たちの日常の「お金のインターフェース」をどう変えていくのか、今後も注視する必要があります。
これからの焦点
今後の注目ポイントを整理すると、次のようになります。
- トランプ大統領がGENIUS法にいつ署名し、どのようなスケジュールで施行されるのか
- Digital Asset Market Clarity ActとAnti-CBDC Surveillance State Actが上院でどこまで支持を得られるか
- 米国の動きを受け、各国のデジタル通貨・暗号資産政策がどう変化するか
ステーブルコインをめぐる今回の法案可決は、単なる暗号資産ニュースにとどまらず、世界の金融システムとデジタル経済の未来を考えるうえでの重要な一歩だと言えます。
Reference(s):
cgtn.com








